面白い仕事は、発信している人のところに集まる
4月。新しいことが始まる時期です。「どんな1年になるのかな」「面白い仕事が来ればいいけど・・」と思っている人もいるのではないでしょうか。
この時期に、特に新社会人や若手の方にオススメしたいのが、自分がやりたい仕事について、積極的に口に出して言い続けることです。
面白い仕事は、常に発信している人のところに集まります。
これは、17年働いている自分の実感としてもそうですし、マネージャー職になり、部下に仕事を割り振る立場になって、ますます確信していることでもあります。
そこで今日は、なぜやりたいことを発信していると、面白い仕事がくるのか、そのメカニズムについて書いてみたいと思います。
口に出したことで得た経験
最初に「面白い仕事は、発信している人のところに集まるな」と感じたのは、自分自身の経験からでした。
入社して2年目の春、少しだけ仕事に慣れてきたころに、私は「教育に関わる仕事がやってみたい」という話を周りの先輩にするようになりました。
というのも、大学で教育を専攻していて、幼稚園や保育園などの早期教育に興味があったからです。
もちろん、大学で少し勉強した程度では、仕事で戦力になるものではありません。しかし、当時のある先輩がその話を覚えていてくれて、新しい仕事に誘ってくれました。
それは、ある雑誌の編集の仕事でした。雑誌のテーマは絵本。幼稚園の先生や読み聞かせボランティアに向けて絵本を紹介する専門誌でした。
教育には興味がありましたが、雑誌の編集という仕事は初めて。企画会議に参加したり、絵本作家さんに書き下ろし絵本を作ってもらったり、時には自分で執筆もしたり、色々な経験をさせてもらいました。
さらに、この仕事がきっかけで、小学生向けの新聞で絵本紹介の記事を書くようにもなりました。
教育という入り口から始まった一連の仕事で、最も鍛えられたのが「文章力」でした。この「文章力」という武器は、その後、書籍出版や論文執筆、そしてこのnoteなどにも繋がり、今の私に欠かせない大事なものに育ちました。
そして、書籍や論文がきっかけで、大学講師の声がかかるようになり、2022年は青山学院大学、法政大学、武蔵野大学の3つの大学で、まさに当事者として「教育」に関わるようになったのです。
このように、後から振り返れば点と点がつながっています。しかし、最初に絵本の雑誌の仕事が来た時は、まさかこのようなことが起こるとは夢にも思っていませんでした。
当日は、ただただ、自分で「教育関係の仕事がやりたい」と言った手前、先輩の期待に応えないと!と思い、目の前の仕事に一生懸命取り組んでいました。それが、今の結果につながったのかなと思います。
つまり、やりたい仕事を周りに宣言することは、面白い仕事を呼び寄せる効果があると同時に、自分に対しても「一生懸命やるぞ!」というスイッチを入れることにも繋がっていたのです。
周りに宣言することで生まれる、良い意味での緊張感が、仕事を頑張るエネルギーになっていたと感じています。
マネージャーとして感じること
そんな経験もあって、その後も積極的に、自分がやってみたい仕事を周りに言うようにしました。
といっても、そんなに毎年のようにやりたいことが生まれてくるわけではありません。
2〜3年に1度程度の頻度で、「ワークショップに興味があります」「商品開発の仕事がしてみたいです」など、その時になんとなく興味があるものを口にするぐらいです。
でも、そうしていると、本当にそういう仕事がやってくるのです。不思議だなぁ、みんないい人が多いのかな、と思っていたのですが(実際にいい人は多かったと思いますが)、自分がマネージャーになってみて、そのメカニズムがわかりました。
いま、私はマネージャーとして、来た仕事に対してメンバーに仕事を割り振る立場にあります。マネージャーになってみて分かったことは、良い成果を出すには「人と仕事のマッチングが大事」だ、ということです。
マッチングとは、その人の能力や志向性と、仕事の内容が合っているかどうか、ということです。このマッチングを見定めて仕事を割り振るのが、マネージャーとしての醍醐味だと、私は感じています。
特に「やりたい事」ベースのマッチングは重要です。能力ベースだけで仕事を割り振ると、今すでに「できる」人に仕事が集まりがちです。しかし、人は自分ができる範囲の仕事が続くと、だんだん飽きてしまいます。
一方、今は経験はないが、やってみたい、できるようになりたいという強い思いがある人と仕事をマッチングさせる事は、もちろんリスクもありますが、想定外のパワーが生まれ、よい成果を生み出す可能性も秘めています。ちょうど、教育の仕事がやりたいといっていた、若い頃の私のような感じです。
モチベーション研究の世界でも、命令や給料のために仕事を行う「外発的動機」よりも、自分の内面から湧き出る「内発的動機」の方が、創造性が高い成果が生みだせることが明らかになっています。
ですので、マネージャーとして常に探っているのが、メンバーがどんな仕事をやってみたいと思っているのかという、内発的動機です。「できる事」は過去の仕事を見ればわかるのですが、「やりたい事」は、周りからは意外とよくわかりません。意外なメンバーが、意外な志向性をもっていたりします。
なので、冒頭にも書いた通り、若い人の方から「こんな仕事をしたい」という話をしてくれるのは、マネージャーとしてはとても助かります。そして、実際にそのような仕事があれば、単に良い人ということではなく、成果が出やすいという理由から、その人に割り振ることを検討します。
さらに、本人の「やりたい」という意向が分かっている事は、他部門やクライアント企業に対しても効果があります。
若くて未経験なメンバーを入れる事は、他部門からしてみれば多少の不安があります。しかし、一言「彼はこの分野に興味があると言っているんですよ」と伝えることで、いいメンバーを見つけてくれてありがとう、というポジティブな反応に変わることが多いのです。
もちろん、最後は本人が成果を出すかどうかが大事です。ですが、先ほど書いた通り、本人にとっても、「やりたい」と言った手前、責任をもってやり遂げなくてはと、いつも以上に気合が入っているはずです。マネージャーとしては、後はそのやる気を信じて見守るのみです。
面白い仕事が集まるスパイラル
このように、やりたいことを口に出す事は、自分にとっても、チームにとっても良い事が多いのです。
図にしてみると、以下のような感じでしょうか。
なお、今回は組織の中でやりたいことを発信する大切さについて書きましたが、これは組織の外でも同様だと思います。noteやSNSでやりたいことを発信していれば、同じように面白い仕事が集まってくる、良い循環が生まれると思います。
4月。何かを新しく始めるには、良い季節だと思います。ぜひ、自分がやりたいことを口に出して、周りに言い続けてください。意外と誰かが聞いていてくれて、意外なところで繋がっていくと思います。
追記(2022.04.17)
この記事についてLinkedInで取り上げていただき、嬉しいコメントをいただきました。
この投稿に対するコメントの中にも、「アピールをしておくことが大事」「グローバル企業にいると日本人はアピール下手だと気づく」「部下の立場だと、アピールしすぎて仕事が多すぎるのも困る」など、色々な気づきのあるものが多かったです。
自分の記事がこうやって会話のきっかけになったのは嬉しかったです。
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