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1on1で気づきを得るために、最後に必ず聞いている「ある質問」
年度末ということで、部の所属メンバー全員と、1年間を振り返る1on1ミーティングを行なっています。
年度末の1on1では、期初に立てた目標の達成度を確認するだけでなく、もうすぐ始まる新年度のヒントになる気づきがあればいいな、と思っています。
そのために、1on1の最後に欠かさず聞いていることがあります。それは、「今日話をして、気づいたことはありますか」という質問です。
この質問によって内省する時間持てるので、本人も私も多くの気づきを得ることができます。
今日は、私が気づきのある1on1にするために工夫していることや、1on1の最後に必ず聞くある質問について書きたいと思います。
1on1に限らず、1人でも、今期を振り返り、来期の目標を考えたいと思う時の参考になれば嬉しいです。
まず聞く。そして質問
下記の記事のように、色々な企業で1on1による面談が広がっています。
「1on1」とは、管理職と部下が1対1で向き合う対話の場で、上司が部下の話を聴くことを基本とするもの。渡辺さんの場合は週1回ひとり30分前後、電話やスマートフォンのビデオ通話アプリ「フェイスタイム」でじっくり向き合う。まずは話を聴いたうえで、目の前の業務について、部下の「成長」と結びつけながら語るようにしている。
私の会社でも、年に何度か1on1の機会があります。今日は、年度末の1on1について紹介してみたいと思います。
1on1は、メンバーが記入してきたシートを話すところから始まります。期初に書いた目標に対して、どれくらい達成できたのか、事前にシートの記入をお願いしています。それを投影しながら説明してもらいます。
このステップでは、私はほとんど口を挟まず、最後までしっかり聞くことを意識しています。「あのことも書いたらいいのに」「こういう風に書いたらいいかも」など、聞きながら気づく点もあります。しかし、手元にメモしておいて、後でまとめて伝えることにしています。
本人が話したいことを、最後までしっかり聞く。これが、最初のステップでは大事だと思っています。
次のステップは「質問」です。説明してくれたシートをもとに、私の方から質問をしていきます。
質問には大きく2種類あります。
1つ目は、シートの説明の中で、単純に、よくわからなかった点に対する質問です。
2つ目は、今期成果が出たことや、思うように成果が出なかった点に対する質問です。
例えば、期初に「Aを達成する」としていたのに、期待通りの結果が出せなかった人には、「なぜ、Aが達成できなかったと思いますか?」と聞きます。
決して、「Aが達成できなかったじゃないか」と責めるのではなく、質問形式で訊くことが、次年度のヒントを見つける上でとても大事だと思っています。
成果が出なかった背景には、実際に挑戦してみて、初めて分かった難しさがあります。
ともすると、「なぜかうまくいかなかった」「コロナのせいでうまくいかなかった」など、ざっくりとした振り返りになりがちです。しかし、このままだと来年度のヒントにはなりません。
そこで、上手くいかなかった理由を冷静に振り返り、言語化する時間を取ります。また、どうすれば目標を達成できるのか、そのアイデアも考えます。課題や解決の方向性が見えてくると、来期の目標が立てやすくなるのです。
このように、特に成果が出なかった点については、責めるような気持ちは全く無く、次年度に向けたヒントを一緒に探すような気持ちで、質問をします。
ただし、これらの質問は、1on1の最中に急に思い付かない場合もあります。そこで、重要なのは、1on1の前に5分ほど時間をとって、想定質問を準備することです。そうすることで、短い時間でも深く掘り下げることができます。
自分の感想を伝える方法
ここまでのステップでは、「聞く」「質問する」を通じて、本人の言葉で1年間を振り返ってもらいました。最後のステップは、私からの感想を、私の言葉で伝える時間です。
ここでの伝え方は、以前noteでも書いた「2ストライク1ボール」形式を意識しています。
最初に、1年間の感謝と、特に貢献してくれたポイントを、私なりの言葉で話します。
次に、多少耳が痛くても、改善が必要な点について、「これは次年度の挑戦だと思います」という風に、なるべく前向きに伝えます。
また、「こうすべきだ」と断定するのではなく、「私は、こうすべきだと思ったけど、どう思いますか?」と訊くことで、本人にとって違和感がないかどうか、その場で確認するようにしています。
このステップでも、私が勝手に改善点を伝えるのではなく、二人で一緒に改善点を探している、という意識で会話をするようにしています。
そして、いよいよ最後です。
節目の1on1ミーティングの終わりには、いつも必ず次の質問をするようにしています。
「今日話をして、気づいたことはありますか」
そうすると、多くの人が、少し黙り込んだ後で、その人にとって一番取り組むべき課題を語ってくれます。特に、1on1をしている最中に気づいた重要な課題について、話してしてくれる場合が多いです。
この最後の振り返りの時間が、本人にとっても、私にとっても、一番大事な時間です。本人にとっては、来年度に向けた挑戦を明確化する機会になります。冒頭にも書いた通り、期末の1on1の目標は、成果を自慢するのでもなく、責めるのでもなく、来年度に向けたヒントを見つけることです。
本人が内省する時間を取るためにも、最後に必ず5分ほど時間をとって、この質問をするようにしています。
また、この質問は私にとっても重要です。今回の1on1でどこが本人にとって一番響いたのかを確認することで、次回の1on1に向けた改善の気付きを与えてもらう時間にもなります。
この質問は、会社の研修で教えてもらったのですが、実際に使ってみたらとても有効でした。
ぜひみなさんにもお勧めしたいです。
ここで、1on1の進め方をまとめます。
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まだまだ改善の余地はありますが、「来年度のヒント」を目的に置いた1on1のよりよい方法を、今後も研究・実践していきたいと思います。
みなさんの1on1のやり方や、効果的な質問があれば、ぜひ下記のTwitterにコメントお願いします。
年度末なので、私が1on1で実践している方法について書きました。部下がいる方はもちろん、一人で振り返る時にも参考になれば嬉しいです。
— 岡田 庄生 / HAKUHODO Inc. (@s_okada) March 15, 2022
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1on1で気づきを得るために、最後に必ず聞いている「ある質問」|岡田庄生 | ブランド戦略コンサルタント @s_okada #日経COMEMO https://t.co/Y9ZiFWjtmu
追記(2022/3/16 15:29)
「何を問うて場を閉じるのか」という下記のコメントを読んで思い出したのが、「ピークエンドの法則」です。カスタマージャーニー設計などで、顧客体験を高めるには、WOW!という瞬間(ピーク)と、終わり方(エンド)が大事だ、と言われています。1on1も顧客体験の視点で見れば、最後どのように終わるのかを考えるのは大事だな、と気付かされました。
1on1の締めくくりに、何を問うて場を閉じるのか。シンプルですが、とてもパワフルな質問。僕もライフコーチングのセッションの最後には必ず投げかけている質問です。十分に語る時間のある場で、聴いてもらえて、視点を増やした関わりの最後、日常に価値を持ち帰るために、収穫してもらう。ギフトだ。 https://t.co/A2ZN6wqOkO
— まー | ZENKIGEN 1on1可視化ツール「revii」のカスタマーサクセス (@ma_ZENKIGEN) March 16, 2022
また、まーさんからは、下記の質問の仕方も教えていただきました。いずれもぜひ使ってみたいと思います。ありがとうございました。
「今日ここまでお話されてみて、気づいたことを教えてください」「今日この時間に得られた価値をたった一つ挙げるなら、何が思い浮かびますか?」といった訊き方をしています。場で得たものを改めて言葉にして頂くことで、ちゃんと日常に繋がっていくなぁと実感しています。
— まー | ZENKIGEN 1on1可視化ツール「revii」のカスタマーサクセス (@ma_ZENKIGEN) March 16, 2022
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