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興味ない人を引き込むための、「主語を小さくする」話し方

会議やプレゼンテーションで一番大切なのは、相手を引き込むこと。

でも、相手が聞きたがっている場合は良いのですが、興味が無かったり、面倒だな…と思われている場合、相手を自分の話に引き込むのは難しいですよね。

私が一番難しいなと感じているのは、非常勤講師として教壇に立っている大学の授業です。大学生は、興味があって授業を取る人もいますが、単位のためにしかたなく取っているような人もいます。

そして、学生たちは素直なので、つまらない授業からは分かりやすく離脱していきます。なので、どうすれば、そこまで興味がない学生を、授業に引き込むことができるかな…といつも悩んでいます。

そんなある日、「なるほど!」と思う記事を発見しました。その記事に書かれていたのは、「興味がない相手には、主語を小さくして話なさい」というアドバイス。

そこで今回は、その記事や自分自身の体験をもとに、相手をどうやったら自分の話に引き込めるのかについて、書いてみたいと思います。

実際に、主語を小さくしてみた


私が面白いと思ったのは、大阪大学で日本国憲法を教えている谷口先生という方の記事です。谷口先生は記事の中で、「興味のないオーディエンスにはとくに『小さい主語で話す』ことがだいじです」と語っています。

「たとえば日本国憲法前文の1文目も、「日本国民は」という主語の代わりに、「谷口真由美は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」として読んでみる。そうすれば、動詞が全部自分にかかってきます。阪大の講義でも、学生たちに、自分のこととして肚落ちするには、主語を自分にすることだ、と話していました。」

Forbs Japan

この「主語を小さくする」という言葉に、なるほど!と思いました。

思い返せば、私も大学の授業で色々と試している一つに、この「主語を小さくする」に近いものがありました。それは、「マーケティング・リサーチ論」という授業の初回に話している、ある例え話です。

「マーケティング・リサーチ論」は、300人を超える大人数クラス(オンライン)です。初めて専門科目を学ぶ2年生も多く、「マーケティング・リサーチ」っていかにも難しそうな名前に感じるのではないかな、と思います。

そこで、初回の授業では、マーケティング・リサーチの定義を「消費者のニーズを調べてまとめること」などと定義したあと、こんな話をしています。

「定義だけ聞くと、難しそうですよね。でも、皆さんも日頃の生活の中で、実はマーケティング・リサーチを実践しているんです」

「この中に、家族にプレゼントを贈ったことがある人はいますか? もちろん、いますよね。例えば、お母さんに贈る誕生日プレゼントを選ぶ時のことを考えてみてください。お母さんは何が欲しいか、考えますよね。

「『そういえば、最近足が冷えると言っていたな。じゃあ、暖かいスリッパを買おう』というふうに、相手のことを考えるのではないでしょうか。中には、お母さんに何が欲しい?と直接的に聞く人がいるかもしれません。お母さんと離れて暮らしている人は、近くの家族に探ってもらうかもしれません」

「そうやって、相手が欲しいもの、つまりお母さんのニーズを探った上で、プレゼント探しの参考にしているわけです。これも、マーケティング・リサーチのようなものです。企業はより多くの人たちに買ってもらいたいため、調査も大掛かりになりますが、基本的な考え方は同じなのです」

厳密に言えば、マーケティング・リサーチとプレゼント探しは違います。しかし、学生たちから集まった感想をみていると、学生にとって聞きなれない、「マーケティング・リサーチ」という言葉を、すこしは身近に感じてもらえたのではないかと思います。

学生からの感想を、いくつかご紹介します。

「マーケティング・リサーチについて、身近な話題を取り上げながら説明してくださったので、とても分かりやすかったです。マーケティング・リサーチと聞くと難しい感じがしますが、普段の生活で何気なくやっていることなんだなと感じました。相手の気持ちになって、「想像をすること」がとても大事だということが分かりました」

「身近なこととして挙げられていた、プレゼントを贈る際にも消費者のニーズを考えているという例が非常に分かりやすかったです。マーケティングというと、あまり日常において縁を感じられないようなものだと思っていたのですが、他者への贈り物や喜びそうなことを考えるというのも、言われてみれば十分ニーズを探しているのだと気づきました」

「マーケティング・リサーチについて、動画を見る前はアンケートなどの調査を直接行うことがメインであるというイメージをもっていました。しかし、動画内で親にプレゼントを贈るというケースをもとに説明してくださっていたためマーケティング・リサーチというものをより身近に感じることができました」

学生の感想より一部抜粋

このように、第一歩目として、マーケティング・リサーチを身近に感じてもらえたことや、マーケティング・リサーチにおいて一番大事な「相手の気持ちを考える」ことに気づけてもらえたことが、嬉しかったです。

これは私が授業でなにげなく使っていた例え話ですが、冒頭の記事に紹介されていた「主語を小さくする」という言葉を知って、「そういう事だったのかも」と理解することができました。

ビジネスでも「主語を小さく」は使える


この「主語を小さくする」という考え方は、大学の授業だけでなく、ビジネスの現場でも使える考え方ではないかなと思います。

ビジネスの世界においても、大きな話をしなくてはいけない時があります。そして、興味がない人を引き込むのに苦労している方は、結構多いのではないかと思います。

特に、オンライン会議などで自分の意図を伝えるのは、より重要となると言われています。

例えば、4月は会社の方針発表のような話が多かったと思います。このような話は、どうしても主語が大きくなりがちです。しかし、「我が社は」「この事業は」という話ほど、聞き手からは「自分とは関係ない、遠いもの」と思われてしまいがちです。

そんな時は、この「主語を小さくする」という手法が役に立つかもしれません。「あなたは」「あのお客さんは」など、相手にとって、身近で実感がわきやすいものに置き換えて話すことで、相手に対して「自分に関係ある話だぞ」と感じてもらえるのです。

私も、特にマネージャーとしての仕事の時は、大きな主語を使いがちです。ですので、メンバー一人一人と話す時は、意識して「主語を小さくする」ことを試してみたいと思います。

※Twitterでは気になる記事や出来事を投稿中。仕事でもうまく「主語を小さくする」ができたら、投稿してみたいと思います。


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