見出し画像

#2 本を追う①/深瀬

ハードオフだったりブックオフで、みんなに教えたいくらいダサいステッカーが貼ってあるギターや、見たことのない色で光るベッドサイドランプ、腕より長い笛なんか見つけたらうれしくなっちゃいませんか?僕、深瀬はうれしくなっちゃいます。


三月、四月あたりに、名前が好きだった鶴岡市内の古書店、「阿部久書店」に行きました(ここについては次回本格的に)。
そしてそこである本に一目惚れして、昼食を(結果的に)削って衝動買いしました。

画像1

本の内容は、様々な菓子、酒、その他ありとあらゆるラベル(当時はレッテルと呼んでいた)が国語算数学習ドリルに張り付けられている。というもの。

こんなワクワクバクバクが庄内の古書店にあるなんて、僕らは知りませんでした。誰も教えてくれませんでした。

先に言っておくと、この本の製作者を突き止めるのがこの記事のおおまかな流れです。

さて気を取り直して。

この本、土の中から出てきたのかと思うほどボロボロで、繊細に扱わないとポロポロと机が茶色いかけらまみれになってしまいます。

画像2

大手食品メーカーのデザインが秀逸なのは当然かもしれませんが、鶴岡で生産されたと思われる商品のレッテルデザインも見劣りしないように感じます。

画像3

思想が強い。

画像4

子ども銀行券をそんな使い方したらお母さんに怒られますよ?

実質終戦直後らへんからじわじわと横書き文字の読み方向は変わっていったので、このレッテル本(この呼び方じゃだめ?)自体は戦前のものであると考えられます。

もともとデザインの参考に買ってみたけれど、これは細かく読んでいくといろいろな発見がありそうです。ミステリー小説の主人公になった気分です。

画像5

よーー~く見ると、

画像6

うすーーーくはしごの方の髙野の文字が見えます。

さっそく大きな手掛かり。少なくとも学習ドリルの元の持ち主の苗字ははしごの方の髙野さんみたいです。製作者も同じかはわかりかねますが。

画像7

当時のぜいたく品のレッテルがかなり多いです。
髙野っちは金持っち。

とても見づらいですが、右上の李シラップは庄内農業高校でつくられていたものみたいで、髙野さんは庄内に住んでいたと考えられます。

画像8

隙間からのぞけるドリル本体の方も興味をそそる内容です。
(Q.鳥の歌が、なぜぴったりと止んだの?A.「バンザーイ。」といったから。)

画像9

僕も解いてみたんですけど、この□にあてはまる字を書く問題、読み仮名通りの字をいれるやつかなと思ってたら途中から読み仮名がなくなって、文脈と情景から字を考えろっていう問題になって鬼ムズっす。大喜利書いたろか?

画像10

いい詩です。

画像11

目次がおもしろの吹き溜まりじゃんって思ってたら、このドリル尋常小学校第三学年=小学三年生用じゃんへ~。

画像12

途中からほとんどのページが解かれてないんですけど、髙ちゃん、迷路みたいなおもしろ問題はちゃっかりちゃんと解いてました。
お茶目さん♡

画像13

ページをめくるとそこには大量の「王様の短寸マンセル」が!!!!!!!!!????????

おそらくパステルクレヨン?狂気的な量が貼られていた。
はじめ短オマンセル(たんおまんせる)だと思ってめちゃくちゃ?????だった。

以上の情報をもとに、製作者の人物像を探っていきたいと思います。

↓しっくりくるイメージ画像がなかなかみつからなかったので、
”強い”まさお君を連れてきました。

画像14

製作者はおそらく髙野さん(すべての文におそらくがつくので以下省略)。庄内周辺の裕福な家庭で育ったようです。

時代背景的には戦前、昭和の初期で、
小学三年生らへんでレッテル本の製作をはじめたようです。

王様の短寸マンセルで絵を描くのが好きです。また、おでん缶が大好きなおやじ趣味です(今とおでん缶の価値立ち位置が異なることはもちろんわかってます)。


さて、果たしてこんなフワッフワモッチモチの人物像で製作者を突き止めることなんてできるのでしょうか。
いえ、突き止められたからお蔵入りせず記事になっているのです。
ご安心を。

製作者捜索も役立ちそうな情報はこのくらいですが、このレッテル本からは製作者の、まだ生暖かい生活を感じ取ることが出来ました。
(きっと縄文時代の貝塚を見る歴史学者さんもこんな気持ちなんでしょう。ちがいます?

こういった経緯で僕は製作者を正確に突き止めたい、そしてもし御存命ならば、本人から当時の庶民風俗的なお話を、逝去されていた場合はご遺族にお話を伺いたいなぁと思うようになりました。

しかし、フラッと阿部久書店に行ってこの本って誰が書いたんですか?と話を聴きにいくようなごんぶと精神は持ち合わせていないので、ここから4か月程時間が空きます

7月の終わり、僕はショウナイユースプロジェクトという学生プロジェクトにおこがましくも協力させていただけることになりました。

この時僕の内心のほくそえみが天井に刺さる程度には、しめしめという気持ちがありました。
これで、「庄内を紹介する記事を書く」という真っ当な名目で古書店の方へアプローチできるようになったわけです。

そういうわけで
次回!本を追ってきた」八月の第三週、お気にのハワイアンシャツを雨に濡らしながら、僕は二人の男と一緒に鶴岡の“激ヤバ”古書店「阿部久書店」への取材を敢行しました!!!

つづく


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
☆ライター紹介☆

画像15

深瀬:侮れドレッシング兼グギャグギャゴーギャン
   https://twitter.com/Carraeimoon?s=20

貴重な人生をいくらか僕に使って絶望中のみなさん、朗報です。私たちショウナイユースプロジェクトは慢性的に人手不足です。今こそあなたの持つ、未だかつてないパワーを発揮しましょう。

 公式ツイッター→https://twitter.com/shonai_youth?s=20
↑どんな些細な話でもいいのでとにかくご連絡を



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?