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久方ぶりの中国訪問⑤ 中国にも紅葉がある

合肥滨湖国家森林公园に到着した僕たちは、適当にブラブラと散策を始めました。特に行きたい場所はなかったので、何も考えず、自然に身を任せます。

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1 愛情の橋

中国語が読めないので、どういう経緯でこの橋が愛情の橋と呼ばれるようになったのかはわからないですが、愛情の橋という文字があるのは当然認識できたので、バスを降りて行ってみることにしました。彼女といる時には、愛情の○○とか、恋人の△△とかがとても輝いて見えます。一人でいる時は、愛の̻▢▢なんて知ったことか、朽ち果ててしまえなんて思っているので、つくづく僕は都合のいい人間ですね。

なんて書いてあるんだろう

これが愛情の橋です。思ったよりも短く、淡泊な橋でしたが、一応愛を意識して渡ってみることにしました。十人以上乗ると危険だそうです。

愛の橋を渡った後の方が、愛を育むのにいいような場所が広がっていました。池(?)に島が点在していて、島と島が橋で繋がれています。人がほとんどいないので、まるで仙人の里に迷い込んでしまったような、東洋風の神聖さを感じました。

安徽省の昔ながらの特徴を持った橋もありました。彼女がそう言っていたので、恐らくそうなのでしょう。美しいですね。中国の建築物は、静かな水面との相性がいいと個人的には感じます。長い裾を持つ服を着たくなるのは僕だけでしょうか。

今回二人が撮った写真の中でベストショットともいえるのが上の写真です。モネの睡蓮を連想してしまいます。写真に対して言う感想として適切かはわかりませんが、べっとりとしていて絵具で書いたような雰囲気があるのが好きです。
アーチ状の橋の下を通って、木々の姿を映していない水面が、まるで夜中の月光が海に一本の線を引くように真っすぐ伸びています。シンメトリーではないですが、シンメトリーが持つ美しさも感じて、何度見直しても飽きません。現実も写真も、両方素晴らしい。
僕が死んで何百年か先に、この写真が凄い市場価値をつけられていたら嬉しいです。

ダックたちの休憩。
平和
ローストダックにして食べたい。

2 中国の紅葉

日本人として、紅葉は日本の専売特許だという強い気持ちもありますが、そんなわけがありません。季節がある以上、植物は姿を変えます。この合肥滨湖国家森林公园でも、木々が緑から暖色に変わり、美しい光景を作っていました。

時速ニ十キロのバスの中から、その光景は見えてきました。ブラウンの葉を持つ木々が両脇に立ち並んでいて、紅葉の世界に入り込んでいくような没入感がありました。やりますね、中国。

日本の紅葉よりも暗い色で、しっとりとした印象を抱きました。寒さの中にある紅葉という感じがしました。美しさと同時に、自然もまた寒さを堪えているんだという実感が湧くような、強さと重みを感じたのも新鮮な経験でした。
僕たちが写真を撮っている橋が、先程述べた島と島を繋ぐ橋で、落ちたら極寒の池となります。もちろん頑丈な作りなので、誤って落ちることも、途中で橋が崩れる心配はありません。言いたいのは、見てもらえばわかるように、紅葉を全身で感じられる橋だ、ということです。

3 猫

合肥滨湖国家森林公园には、自然だけでなく、子供向けの遊園地や、敷地内を探検できる簡易的な列車もあって、エンターテイメント性に富んでいます。夏はキャンプもできるっぽいです。ただ、僕たちは子供向けの遊園地に興味はないですし、今は冬ですし、運悪く簡易的な列車も故障中で、エンターテイメントに触れる機会がありませんでした。
ようやく乗馬体験ができる場所に辿り着いたものの、到着して気づいたことが一つあって、別に馬に乗りたくはない、ということです。馬なら日本でも乗れますしね。わざわざ一切わからない言語で指導を受けて馬に乗る必要があるのかどうかと、疑問に思ってしまったのです。タイでゾウに乗るとかならわかりますが、中国で馬か……。かつて関羽が乗ったと言われる赤兎馬だったら乗ってみたいです。

そんな風に、馬を前に行きつ戻りつを繰り返していると、この公園に住み着いていると思われる猫たちが集まってきました。恐らく、人間に近寄ってちょっとなでさせればエサが貰えるということを学習しているのでしょう。一切の警戒心なく近づいてきました。

猫たちの思惑はわかっていても、可愛い。

中国の人たちは猫が大好きで、見かけると「ミーミー」という声で呼び、これが不思議と本当に猫が寄ってきて、若干強すぎるのではないかと心配になる力で猫をなでなでします。時には猫は完全に心を許し、お腹を見せて地面に転がることもあります。今回も、たまたま近くにいた中国人が、お腹を見せている猫の肉球をこれでもかという程押していて、猫の肉球を触ったことのない僕は、とても羨ましく感じました。ただ、どうしても僕は、野生の猫が持っているかもしれないウイルスなどを恐れてしまって、易々と触ることができない性を持っています。猫の肉球、触りたい。

彼女目線

僕たちはエサを持っていなかったので、段々と申し明けない気持ちになってきました。

ごめんな

以上で、合肥滨湖国家森林公园の思い出は終わりです。中国の森林、中国の紅葉、中国の猫はどうだったでしょうか。終始落ち着いた雰囲気が公園には広がっていて、こういう場所にくると、人が多くて騒々しい現在の中国のイメージが消え、高校の時に読んだ漢詩の世界に引き込まれる気がして、気持ちが静謐になります。馬鹿みたいな表現をすると、中国三千年の歴史を心で堪能する感覚です。はい、馬鹿みたいですね。

さて、どれだけ美しい景色を見ても、残念ながらお腹は満たされません。そろそろお腹が空いてきました。移動する時間です。

続く。

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