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映画感想『モアナと伝説の海』

ネタバレ気にせず
2はまだ観てないです。

海が綺麗に尽きる

僕は海が好きなんですよ。圧倒的に山より海派で、わりかし精神が参っている時には、海の映像だけでも涙腺が緩みます。

今作は本当に海が綺麗で、数々海を舞台にしたディズニー映画が世の中にはありますが、その中で断トツの豊かさを持った海でした。まるで現実と理想が合わせって調和を持ったような感覚を抱きました。というのも、アニメーションだということは明らかなのに、もしかしたら南国の海に行けば、本当にこれくらい透き通って美しい海が存在しているんじゃないか、と想像できるような現実感もあるからです。

個人的に一番美しいな、と思ったのは島の周りに広がるエメラルドグリーンの海です。入りたい。

無性に南国に行きたくなってきました。オーストラリアでもいいですし、できればポリネシアあたりの名もなき島国に飛んでいきたい気分です。

マウイは何なんだ

モアナは非常にわかりやすい人物描写がされていて、語る必要性をあまり感じません。彼女の振舞いからは、古い価値観からの脱却を如実に感じました。

不思議だったのはマウイの存在で、こいつはモアナの師匠の立場になったかと思えば、主人公を奪いかねない立場にもなり、かと思えば事件を起こした張本人の立場にもなり、能力通り変幻自在の立場になりました。

見ている最中は非常にモヤモヤしました。こいつのせいで世界が闇に包まれたのに、何でこいつと一緒に行動をする必要があるのか。そのくせ、いちいち自信を無くしてうじうじしますし、中途半端にかっこつけて、最後もちょっと謝って終了です。

果たして制作陣はマウイをどう扱おうとしていたのでしょうか。

モアナの行動を正当化するための道路工事をさせていただけのようにも感じますし、あるいはもう少し踏み込むと、旧世界の人間が、新世界で生きていく上での苦悩を現していたようにも感じます。個人的には後者の考え方が気に入っています。例えば男性至上主義だったり、白人至上主義を根本的に持った人間が、頑張って多様性の社会で生きようとした結果、あたふたとするダサさを表現しているのだとしたら、少し納得できるような気もします。

なんやねんこいつとは思いつつも、テーマや隠された意味を考える中で、このキャラクターは非常に重要な鍵を握っているように感じました。

ハッピーエンドは似合わない

ふと思うのが、今の多様性を重視される社会において、ハッピーエンドはもう時代遅れなのかもしれないということです。

物語が展開していく以上、全ての人の生き方を尊重していくと、めでたしめでたし、では済まされません。キャラクター数が少ない今作でさえ、モアナは世界を救ったかもしれないけれど、世界を闇に包んだマウイが無罪放免なのは納得がいきませんし、モアナが島から出ることに反対だった父が、物語の最後では抹消されて、島から出ることに肯定的になってしまいます。島で一生暮らす生き方だって正しいはずなのに……と僕は思います。

ディズニーはハッピーエンドがお決まりですから、例え話の広げ方は多様性を重視していても、畳み方で結局一つの考え方に押し込められてしまう側面があるんじゃないかと思います。……難しい。


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