日本酒の世界(2)「日本酒は日本の美しき文化の源」
こんばんは、食彩アドコムです。
前回は、日本酒の誕生が「日本ならでは」という理由を記事にしましたが、今回は、日本の文化でもある日本酒の歴史について。
前回の記事はこちら
日本酒の起源
日本酒の起源は今だ定かではありませんが、縄文時代の紀元前600年ごろ(約2600年前)に日本に稲作が伝わって以降、弥生時代(紀元前10世紀~紀元前3世紀)には日本酒造りが始まったと推測。
中国の「魏志倭人伝」には、日本酒が豊作祈願として捧げられたとの記述があることから、3世紀には既に日本酒を嗜み神事に関わっていただろうと。
その後の「古事記(712年)」「日本書紀(720年)」には、お米で出来たお酒の記述があります。
ということで、およそ1300年前の奈良時代(710年~794年)には米麹を使った醸造法が普及し、日本に定着したようです。
日本酒のはじまりは「口噛みの酒」
日本酒は、最初は神事において、神様のために神に仕える巫女さんがお米を口に含み噛んで壺の中に吐き出して発酵させた、ことが日本酒のはじまりと。
その後、「古事記」「日本書紀」には記載がないようですが、「大隅国風土記(713年頃)」には、村中の男女を呼んで同様にお米を噛んで容器に吐き出し、一晩以上かけて酒を醸して飲んでいたとの以下記述があります。
「大隅の国には、一家に水と米を設けて、村に告げ回らせば、男女一所に集 りて、米をかみて、酒槽に吐き入れて、ちちぢりに帰りぬ。酒の香いでたる時、又集りてかみて吐き入れし者ども、これを飲む。名づけて口がみ酒とい う。」(岩波:日 本古典文学大系『風土記』)
この日本酒ができる原理は、お米を噛んで吐き出したものに水を加えておくと、唾液中のアミラーゼでお米のデンプンが糖化され、自然に入り込んだ酵母菌によって発酵してアルコールができお酒になる、という。
当時は、地方で知る人ぞ知る秘密の飲み物だったのかも。。。
「醸す」の語源
麹を発酵させてお酒や醤油などを醸造することを「醸(かも)す」というが、その古語である「醸(か)む」と「噛(か)む」が同音であるのは、この口噛みの酒に由来するそう。
平安時代(794年~1185年)には、お酒から生み出された発酵を応用して(醸すことにより)、貴族は、(塩)・酢・酒・ひしお(醤油の元)の四種(しす)として貴重な調味料として使ったようです。
日本酒の発祥地は
諸説あるようですが、島根県出雲大社のお膝元には「佐香(さか)神社」というお酒と農業の神である「久斯の神」を主祭神と祀った神社があり、「日本書紀」「出雲風土記」にでてきます。
旧暦の10月10日の「神無月」、日本で唯一出雲の「神有月」には、全国から出雲大社に「八百万の神」が集まる際に、「久斯の神」が道中を労いお酒を醸し振舞ったと言う。
また、出雲地方には、スナノヲノミコトが八岐大蛇(やまたのおろち)を倒すために非常に濃く強いお酒を造らせたという神話があります。
「古事記」「日本書紀」にはこの神話にある「八塩折之酒(やしおりのさけ)」が登場、出雲地方が日本酒発祥の地と言われる由縁とも。
2点から日本酒発祥の地は出雲で間違いない???
(日本酒の発祥地は諸説ありますので、コメントいただければ嬉しいです)
日本酒は美しき日本文化の伝統そのもの
日本では、季節の節目をお祝いする行事としてのお正月や節分など、特に日本の四季を彩る代表的な五節句、豊作を祝う祝祭、季節ごとの表情を楽しむお花見、お月見、などでは必ずといっていいほど日本酒の存在が。
また、鏡開きや、成人式、結婚式、お葬式など、冠婚葬祭やお祝いの際にも当然のように日本酒が。
日本では、古来より日本酒は欠かせない存在。
この際の酒、必ず何方かが代表して振舞いますよね。それは、神様の代理を担っているから、、、と思う。
かつて日本人は、食べ物や飲み物が貴重だったため、先ずは神様に捧げてお祈りした後に皆で公平に分け合い、神様の前で食すという食事作法があったといいます。
誰かが独占するのではなく、神様が公平に分け与えて下さるという考え方。
「お天道様が見てる」「罰が当たる」というのも、神様の下。
自然と神は一体で、みな八百万の神に見守られている。全てのモノに神が宿っており、言われるまでもなく悪事を働かない。
素晴らしい考え方ですね!
因みに、お正月には「お神酒」と今でも言い、また、神社で行われるお祭りでお供え物として捧げられた日本酒は、ご神事が終わると「おさがり」として振舞われることがあります。
これもその名残なのでしょう!
貴重なものを平等に分かち合い、食事と日本酒を通じてコミュニケーションを円滑にする日本文化、美しい伝統だと思います。
日本酒は、日本の美しき文化の源だということを忘れてはならないと、改めて思う。
(参照記事:菊正宗様HP、酒仙人直伝よくわかる日本酒)
最後までお読みいただきありがとうございました。