【滋賀県】発酵の魅力、豊かな自然資源と食文化(1)
昨年末、ご縁(機会)があって、発酵の街と称される滋賀県高島市を訪れました。その驚くべき発酵文化をご紹介したいと思います。
発酵のテーマパーク 滋賀県高島市
高島市は、びわ湖の北西に位置し三方を山に囲まれ、滋賀県湖西地域で最大の安曇川を中心とした幾つもの美しい川がつくる扇状地。
そこには日本でも珍しい水と発酵の文化があります。比良山系からびわ湖に流れる潤沢な美しい湧き水があり、年間を通じて湿度が高く発酵に適した気候と風土。昔から日本海の若狭から鯖街道や塩街道を通って京都へ運ぶ道中で保存健康食として発酵により息ずいてきた街、びわ湖で採れる魚や近くの山で採れる農産物により豊かな食文化が育まれた街、であることが容易にうかがえます。
また、近江高島駅周辺は、織田信長が安土城の対岸を抑えるために築城させたという大溝城跡がある城下町として高島商人(近江商人の先人)が繁栄させ、町割り水路など、約400年もの歴史の面影を感じることができます。
そのような場所で、古くから鮒ずしが生まれ、醤油、日本酒、お酢、味噌、等発酵食の数々が造られています。
では、今回見てきた場所の一部を紹介します。
1.針江の「川端(かばた)」
そこでは、鯉や梅花藻の美しい情景も見る事ができます。
究極のエコ生活、美しい景色、地域とのふれあい、がそこにはあります。
清らかな美しい水が流れています。清流にのみ育つ梅花藻を見る事ができます。
針江の川端(かばた)、いたる所で水が自噴しています。
2.古良慕(コラボ)
高島市には夜に到着したため、先ずは古民家再生の発酵食で迎えてくださいました。
京都の祇園で割烹料理を営んでいた島村義典がつくる野菜をふんだんに使った御食事。
ごはんは、おくどはん(かまど)で炊いたもの。
喫茶スペースにある薪ストーブの裸火も素敵でしたが、奥にある島村葭商店収集物のお宝には驚き。
3.天空の棚田
急峻な傾斜地に階段状につくられた美しい景観の「天空の棚田」は、滋賀県内で唯一「日本棚田百選」に選ばれた畑地区にあります。
いまや海外でも有名になっている気さくな澤井おばあちゃんにもお会いでき、畑漬けを見せて頂いた。
この畑漬け、漬けたあと1日に2~3回は必ずまめに混ぜ、5日ほどしてやっと味がなれて美味しく食べられるようになるそうです。また、重石が重すぎても漬物がつぶれて固くなってしまうそうです。ぬかみそ漬けなら一日に一回、比べて畑漬けは手間がかかりますが、きっとこの「手間」が味を決める大切な要素なんだと思います。
畑漬けは、かつておばあちゃんは販売を試みたこともあったようですが、発酵が進むのが早く、真空パックなどにいれても袋がパンパンに膨らみ日持ちがしないため、結果的に現地以外では販売していないようです。
当然、ここでは畑の肥料は鶏糞や有機肥料を使い、水は山から引いている山水を使っています。
澄んだ空気に空が青い。絵に描いたような青い空の原風景がここにあります。NHK連続ドラマ「スカーレット」の一部撮影もここで行ったとの噂。
サービス精神旺盛の澤井おばあちゃんが、わざわざ畑漬けを見せてくれた。感謝!
4.上原酒造
「不老泉」で有名な上原酒造は、日本の原風景が残る湧き水めぐる水の街高島市の新旭エリア。
針江の地下水脈の美味しい水で造るお酒は絶品間違いなし。
今では高島市に酒蔵は5軒しかないという。
ここ上原酒造のこだわりは、
・自社精米(品種に応じた精米率をコンピュータ制御)
・山廃仕込み(蔵付き天然酵母の活用、酵母添加を一切しない)
・天秤しぼり(圧縮機を使わず美味しい所だけを酒にする)
針江のきれいな水に、木槽天秤しぼり、極寒手造り山廃仕込、山廃純米吟醸、と聞くと贅沢感は否めない。
黒塀の佇まいが、歴史ある昔ながらの酒蔵を思わせる。
山廃仕込み、天秤しぼり、等お酒ができるまでの工程を見る事ができる。
きれいな湧き水は、酒蔵で直接採取できる。ここで、美味しい湧き水も飲めます。
発酵の魅力、豊かな自然資源と食文化(2)へと続きます…