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鹿児島県大崎町の〝まちぐるみの循環システム〟から、食農の循環へのヒントを見つける
旅の記録②は鹿児島県から。
思いつきで行き先を決めたけれど、鹿児島県には会いたい人や訪れたい先がいくつもあった。
まずは、二人のサイトウさんが設立した合作株式会社。サイトウさんのお一人、西塔大海(さいとうもとみ)さんは、神山町のつなプロ(地方創生戦略 まちを将来世代につなぐプロジェクト)アドバイザーでもあり、神山の友人らとも繋がりのある方だ。今回は、合作株式会社を設立したもうお一人のサイトウさん、齊藤智彦さんと数ヶ月前に参画したという井上雄大さんからお話を伺うことができた。
宮崎県綾町から車で2時間弱。目的地は鹿児島県大崎町。
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大崎町ではこれまで20年以上に渡り、リサイクルの取り組みを続けている。
〝まちぐるみ〟でリサイクル
2021年4月、県内外の企業などと協働する「一般社団法人大崎町SDGs推進協議会」(以下、協議会)が発足。合作株式会社は、協議会の参画団体でもある。私たちのNPOとはスケールが全く異なる事業だけれど、神山の食・農の循環を考える上でヒントを見出せるのではないかと思い、お話を伺った。
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上の写真はリサイクルの分類方法を見える化したボード。おもて側には、27品目に分別できる入口が並んでいる(下写真)。プラ、その他の包装容器類もすべて洗って乾燥させる。住民は自力でここまでやらねばならない。良い取り組みなのはわかっていても正直「めんどくさい」と思う人も少なくないだろう。焼却施設の延命化とそれらにかかるコスト等、住民に丁寧に説明する機会を重ねてきたのだという。これまでに実施した住民説明会は450回を超えている。
大崎町の取り組みは、リサイクルするだけで終わらず、生ごみや草木などの有機物(全体の60%を占める)を発酵させ、完熟堆肥として農地へかえすところまでやっている。すごい。
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世界の未来をつくる町へ
リサイクル率はすでに80%を達成し、今はリサイクルの前段階である消費財や物流の仕組みから見直していく研究、開発に取り組んでいるという。使用済み紙オムツのリサイクルは実装できる段階に入っており、酒類のアルミ付き紙パックからリサイクル可能な紙パックへの変換は企業と連携しながら開発を進めているとのこと。大崎町のことでありながら、他地域や日本国外にもつながる消費財のアップデート。とても興味深い。
小中学校向けの教材開発も始まっているそうだ。
〝ごみ〟は誰しも自分の問題として日常的に接しているものごと。毎日「手間がかかるなぁ…」と思いながらごみの仕分けを作業的にこなすのと、循環している全体像(ビジョン)を知りながら取り組むのとでは、作業の意味合いも意識の持ち方も変わってくる。子ども時代からそれを当たり前の感覚として身につけた子どもたちは、町や世界をさらに良くしていくような未来図を描けるのかもしれないなーなんて思いながら。
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神山でできる 〝 食と農の循環 〟
今年から、弊NPOで管理している畑でビニールマルチ(本来は乾燥防止、雑草対策で使われる)の使用をやめた。ビニールマルチに代わる資材は、なるべく子どもたちが知る身近なものにしたく、町内にある農業高校で栽培している麦の藁をいただいた。高校から小学校へ、資源が巡る。Community Supported な食の循環。いずれ土に還る資材を使うことで、結果として〝ごみ〟も減る。
できるところから変えていっているものの、まだ生ゴミや野菜クズの始末までは取り組めていない。今後「資源の循環」を可視化できれば、活動そのものが教科横断的な学びにもなっていくだろうなと想像できた。
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ほんものとは、人をだまさない。自分中心にならない。そして地球の環境を汚さないもののことである。
〝食べる〟ことも〝ごみを出す〟ことも日常的で身近な行為。それらの日常行動が変わっていくプロセスで、ものの選び方や買い方、食べ方(使い方)の判断軸が育まれるのではないかと想像する。市民と企業と行政がより良い未来に向けて力をあわせる取り組みに触れられて、力が湧いてきた。
<参考記事/動画>