肉の代わりになる美味いもの
植物肉といえば、日本ではもっぱら大豆ミートのことを指します。
しかし海外には大豆ミートのほかにもさまざまな種類の植物肉があります。
豆腐や納豆を好むわれわれ日本人には受け入れがたいことかもしれませんが、アメリカなどでは「ソイフリー(大豆ぬき)」食品が売れ始めています。
「ソイフリー(大豆ぬき)」が売れる要因としては、
大豆アレルギーを警戒している
遺伝子組み換え大豆が混ざるのを警戒している
大豆栽培は環境に良くないという意見がある(※)
「大豆なんて家畜の食べものだろ?」と思っている人がいる
といったものがあるようです。
それはともかくとして、大豆ミート以外にどんな植物肉があるのか、調べてみたことをいくつか紹介しましょう。
ただし今回は、原体(フレッシュ)に近い食材にフォーカスします。
ビヨンドミートやインポシブルフーズ、ジャストなど「ラボで高度に加工された植物肉(代替肉)」については話題から除外します。
ジャックフルーツのBBQ
ジャックフルーツは東南アジアなどで盛んに栽培されている果実。
タンパク質の割合は高くないが、食物繊維に富み、肉のような食感があります(細胞構造も肉に似ているとのこと)。
アメリカ人がバーベキュー好きなのはよく知られた話ですが、そのアメリカでジャックフルーツの輸入が増えています。
一昨年、アメリカの精肉工場でコロナが発生したことが1つのきっかけで、人々は肉を買うのを控えました。
でもバーベキューは止めたくない。
そこでバーベキュー肉の代わりにジャックフルーツを焼きはじめたようです。
バナナの花で白身魚
イギリスの料理が美味しいかどうかはいろいろな意見がありますね。
いずれにせよ「フィッシュ & チップス」はイギリスを代表する国民食といえます。
フィッシュ:揚げた白身魚
チップス:フライドポテト
という組み合わせです。
ロンドンのとあるフィッシュ&チップスの老舗では、海藻の風味をつけたバナナの花を揚げてフィッシュにしています。
バナナの花がベトナムで食用に売られていたことにヒントを得てメニュー化したそうです。
スイカの燻製ロースト
以前、ニューヨークのレストランが、スイカをスモークし、ローストビーフそっくりにした料理を出していました。
各種ハーブを混ぜて塩漬けした後に燻製にしています。
オリーブオイルとスイカ果汁の入ったソースをかけて食べます。
ただし、いっとき話題になったのは確かだが、メニューとして定着したかどうかはまだ確認できていません。
余談ですが、スイカはアメリカでも大量に栽培されているらしいです。
ベーコン風味の海藻
「太平洋ダルス」と呼ばれる、赤く半透明の海藻があります。
太平洋ダルスは成長が速く栄養豊富なため、高級アワビのエサにするために、アメリカはオレゴン州の大学で品種改良や養殖の研究が行われていました。
ところが数年前、研究員の1人が品種改良された太平洋ダルスを焼いて食べてみたところ、ベーコンの風味があることを発見。
その後まもなく、高級アワビのエサにする目的のほか、人間が食べるための養殖が始まりました。
正式な商品化はまだのようですが、オレゴン州の一部のレストランでは、食材や調味料に使われているようです。
サボテンステーキ
メキシコ料理の一種で、メキシコでは食用のサボテンがふつうにスーパーマーケットで売られています。
もっとも、本来のサボテンステーキは、キュウリやズッキーニに似た風味なので「肉の代わり」感はあまりありません。
ただ、「植物性の食べものを、肉みたいにして肉の代わりとして食べたい」という需要はメキシコでも増えており、サボテンを肉っぽく食べるための料理法が研究されはじめています。
アキー
アフリカ原産とされるアキーという果物は、未熟な果実が猛毒であることから、アフリカでは食用になっていません。
しかし完熟した果実は無毒。
しかも美味しいため、アフリカではなくカリブ海のジャマイカで人気だといいます。
このアキーを魚肉のかわりに食べようと、料理法が研究されているようです。
以上、定番ぽくなっているものもあれば、
「肉そっくりになるよう工夫してみたけどやっぱりダメだった的なもの」
「目下売り出し中だが、受けるかどうかわからない的なもの」
もあります。
新しい料理は試行錯誤の中から生まれる、ということなのでしょう。
なお、前述したように、今回は、原体(フレッシュ)に近い食材にフォーカスしました。
ビヨンドミートやインポシブルフーズ、ジャストなど「ラボで高度に加工された植物肉(代替肉)」については話題から除外しています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?