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食料自給率、気になる? 気にならない?

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(グラフの出典:農林水産省)

食料に困っていない日本

「スーパーマーケットの棚がスカスカで食品が買えない」
「お金はあっても食べものがない」
…このような事態を、筆者個人はこの10年ほどで3回、経験しました。

  • 1回目は、東日本大震災のあと。

  • 2回目は、強烈な台風が来た前日に、あちこちで買い占めが起きたとき。

  • 3回目は、コロナ禍が広がってマスクやティッシュペーパーが不足したとき。

食品もけっこう不足しました。
たとえば納豆が棚から消えました。

とはいえ、災害などの場合は別として、日常生活でそういう経験をすることはあまりないと思われます。
実際にはわたしたちの近所のスーパーマーケットにはさまざまな種類の食品が所狭しと並んでおり、食べたいものはだいたい何でも買うことができます。
少なくとも、そのように「見えます」。
品不足が常態化するイメージはありません。

むしろ食品の廃棄のほうが心配なくらいです。

食料自給率は低い

そんな飽食の状態を危惧する意見もあります。

日本の食料自給率はカロリーベースで4割くらいの水準。
この「4割」という数字が高いのか低いのかは、他国と比較してみると分かります。
先進国と呼ばれる国々の中で、食料自給率が4割という日本は、だいぶ低い位置にいます。

日本も昔はもっと自給率が高かった。
それがだんだん下がってきて、2000年ごろに4割になりました。
それから四半世紀ちかくのあいだ、4割という低水準が続いています。

食料自給率が低いということは、多くの食料を海外から輸入しているということ。
世界のどこかで紛争があり、その影響で海外から日本に食料が来なくなったら、わたしたちは食べもの不足に陥る可能性があります。

なので日本政府は何とかして食料自給率を上げようと懸命になっています。
食育に携わる人々の多くも、食料自給率の低さを問題視しています。

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「食料自給率が低くても大丈夫」派の主張

じつをいうと筆者自身はわりと最近まで食料自給率の低さを心配していませんでした。
「自給率が低くても全然かまわない」と思っていました。
理由は
「たしかに日本は海外の農産物を必要としているけれども、海外の農家だって日本に農産物を輸出したいはず」
だからです。

日本が海外農産物を買うのをやめたら日本は食料不足で困るけど、海外の農家もお金が入らなくて困る。
つまり日本と彼らの利害は一致している。
売りたい側と買いたい側の利害が一致しているなら、お互いに依存しているわけで、紛争があろうと何があろうと何とかして商売は続く。

なかなか上がらない自給率をなんとかしようと税金を使うよりも、世界で紛争がおきないように平和努力をすることに税金を使うほうがよほど効果的じゃないか。
そうすればこれからも食料は輸入できるし、海外の農家もつぶれずに済む。
大丈夫、食料自給率の心配をするよりもやるべきことは他にある。

と、最近まで思っていたのですが…。

「食料自給率が低いのはまずい」派の主張

前述したように筆者個人はわりと最近まで食料自給率の低さを心配していませんでしたが、いまは考えをあらためています。
やはり自国の食料は自国で何とかしないといけません。

考えをあらためるきっかけになったことは2つあります。

1つは、紛争をなかなか止めることができない世界の現状です。

もう1つは、3年ほど前、世界各国の農家に農業資材を販売しているヨーロッパの企業と話す機会があり、ショックなことを言われたことです。

「海外の農家はもう日本にあまり関心を持っていない」
「昔はたしかに日本がお得意様だったけど、今の関心先は日本ではなく中国だ」
「日本が農産物を買ってくれなくても、もう困らない」

そんなことを言われました。
もしかするとそうなのかと心のどこかで思ってはいたが、はっきり言われました。

筆者が信じていた
「海外の農家と日本の消費者は互いに依存し利害が一致している」
というのはもう過ぎた幻想なのかもしれません。


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