地味~なフードテック
なにごとにも派手な面と地味な面があります。
今回は、いわゆるフードテックの世界にも派手と地味があり、地味なものもけっこう大事という話です。
フードテックとは、
食の領域を表すフード(Food)
テクノロジー(Technology)
を組み合わせた造語です。
派手なフードテック
数年前からフードテックはメディアなどで注目される言葉になっていますが、メディアが面白がるのは主に以下の3分野です。
調理家電
代替肉
分子ガストロノミー
今回は「地味なほう」にスポットを当てたいと思っているので、こっちの「派手なほう」は簡単に整理だけ、しておきます。
調理家電
3Dプリンタで食品を作る
優れたシェフの動きをAIに覚えさせ、料理ロボットが同じ動きをする
こうした調理家電の開発が進められています。
代替肉
プラントベースフード:本物の肉にそっくりなものを植物性の材料で作る
培養肉
昆虫食
こうした「代替食品」の開発もさかんに進められています。
分子ガストロノミー
科学の力で新しい食品を生み出そうというもの。
液体窒素を使った調理法などが有名です。
地味なフードテック
ではいよいよ地味なフードテックの話に移りますが、今回は2つ紹介します。
食べすぎを防ぐフードテック
意志の力を借りなくても、「よく噛み、ゆっくり食べる」ようになり、結果的に食べすぎを防ぐ。
そんなフードテックも存在します。
咀嚼センサーや食事スピードセンサー
早食い防止フォーク
など。
詳細はこちらに。
食品偽装を見抜くフードテック
産地偽装や鮮度偽装などの食品偽装を、科学の力で見抜く。
そんなフードテックもあります。
前述した「調理家電」「代替肉」「分子ガストロノミー」に比べて派手さはありませんが、社会には必要な技術ですね。
今年の春にアサリの産地偽装が、夏にはタケノコ(の水煮)の産地偽装が発覚して問題になりました。
ただ、大きな傾向としては、こんな事件やこんな事件があったころに比べると、偽装問題を耳にする頻度はやや減ってきているように思われます。
おそらく、
偽装を防ぐルール作り
政府や自治体による監視
民間団体や専門団体によるチェック
食品業界による努力
などがある程度うまく機能しているのかもしれません。
(単に巧妙化してバレていないだけなのかもしれないけど)
(参考)
政府や自治体による監視、民間団体や専門団体によるチェックなどで、フードテックが生きるケースがあるようです。
テクノロジーを使えば、たとえばこんな分析ができるとか。
食品中のタンパク質を調べることで、遺伝子組み換え原料がこっそり混入されていないかを判別する
アミノ酸の組成を調べることで、「蕎麦粉100パーセント」表示の食品に小麦粉がこっそり混じっていないかを判別する
「松阪牛」と表示できるのは雌牛のみ。雌雄の表示が正しいかどうかを食肉から判断するために DNA を鑑定する
鮮魚であるか、解凍されたものかを血球を調べることで判定をする
微量金属等の無機成分を分析することで野菜が中国産か国産かを判別する
有機栽培かどうかを確認するために重窒素と軽窒素の比率を調べる
なお、こうした分析は、たしかに
「食品会社が何かズルイことをしていないかを役所や消費者が知りたい」
ときにも使われますが、実際はそれよりむしろ
「良心的な食品会社が、偽装された原材料を誤って仕入れていないかを知りたい」
ときに使われることのほうが圧倒的に多いです。
まとめ
派手なフードテックの例:
調理家電
代替肉
分子ガストロノミー
地味なフードテックの例:
食品偽装を見抜く科学分析
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