包丁の使い方(正しい姿勢)
正しい姿勢
包丁を持つ姿勢、まな板と包丁の角度、人とまな板の角度。
理想的な角度で仕事をするのが、疲れずに早く綺麗に仕事をする第一歩というのは言うまでもありません。
正しい姿勢が自然に出来るようになるのが、私の修行時代でも最初の関門だったと思います。
とは言え、私たちの若い頃は姿勢について云々、細かい所まで指摘してくれる先輩や親方は、ほぼ皆無に等しかったのが実際の所でして。
親方の包丁の使い方に憧れて、先輩が立つ姿を記憶し真似して、仕事を覚えてきたのが現実でした。
これが私たちの世代が理論的に後輩や若い者を教えられない言い訳なのですが、ずいぶんと意識は変わって来ました。
姿勢や立ち方について
さて、先日のテレビ番組で包丁を扱う時の姿勢や立ち方について、とても分かりやすい説明をしておられたのに感動しました。
それは片手の甲の上に、もう片方の手のひらを重ねる様に両手をおへその前あたりで、90度に組みます。
そして利き手を、まな板の横の縁に平行になる様に立ちます。
身体の角度は、自然にまな板に45度ぐらいになるはずです。
そして自然に足を肩幅程度に開いて、肩を支点にして肘をあまり使わず角度を固定したまま前後の運動で、刻み物をすると言う説明でした。
この説明が実に分かりやすく感じたのですが、いかがでしょう。
包丁の握り
また包丁の握りについては親指、人差し指、中指の3本で軽く握ると言う事でした。
ただし、この握りはごくごく一般的な切付の場合です。
武内なりの説明を付け加えますが、和包丁を使って刻み物をする場合は、包丁の柄を握ったら、親指と曲げた人差し指の第二関節で包丁の峰を挟んで持つのが基本です。
親指・人差し指の2本で峰の側から刃を挟み、他の指は軽く添える様に持ちます。
親指と人差し指の感覚で刃の角度であるとか前後の動きをコントロールします。
刻み物は油断すると、だんだん内側へと角度がついて刃が右に倒れる傾向があります。
自然な角度で内側へ入っていくのも実は良しとされていて、特に高速で包丁を使いこなす粗い刻み物の場合は、内側へ角度がついた方が良い場合もあります。
しかし、丁寧に薄く薄く、材料を刻む場合はまな板に対して直角に包丁を使うのが基本です。
和包丁の場合は片刃ですから刃の内側・・真っ直ぐな面、左側に神経を集中して肩の力を抜き、前後の動きで優しくまな板に刃がピタッと合うまで滑らせて切ります。
まとめ
こういう使い方をすると疲れませんし、素材の切り口が美しく刻めます。
プロの仕事においては100人前の量を想定して仕事のやり方を組み立てるのが理想です。
単純な仕事ほどシンプルに動ける環境を作る事が、まずは第一歩です。
そして楽に動ける動作、無駄なく動ける方法で仕事をすると言うのが、仕上がり時間やクォリティに大きく影響します。
ご家庭で包丁を使う際には、ぜひ包丁の持ち方であるとか身体や腕の角度と動きに気を付けてみて下さい。
正しい姿勢は、仕事を楽にします。
そして、必ず料理の仕上がりも変えてくれますから。
では、今日も良い一日をお過ごし下さい。