氷点
殺人、不倫、継子いじめ、愛、憎しみ、嫉妬、、、
数百ページ読み進めただけで、昼ドラ5回分くらいの展開がある。これでもかっ!というくらい、悲劇てんこもりの小説。
母がこの本を勧めてくれたとき、私は修士課程の2年生で、全く進まない研究と戦っていた。加えてその年は記録的猛暑で、脳も血液も煮詰まっていた。
「ずっと同じ心配ばかりしてると体に悪いから、自分に関係ない問題に時々気を向けたほうが良い」というアドバイスとともに母が貸してくれた。
読み始めると、あまりのこてこてぶりに驚くが、続きが気になり読んでしまう。
そのころ妹が喫茶店でアルバイトをしていた。3年務めているベテランアルバイターともなると、不倫カップルは察しがつき、常連客の人間関係にも詳い。妹が話してくれる喫茶店の噂話と氷点の登場人物をつい重ねてしまっていた。
登場人物の名前なんだったっけと調べてみたら、もともと朝日新聞の連載だったらしい。納得。テンポよく事件が次々発生し、次は次は?となる物語だ。
『氷点』:三浦綾子:1965年