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カラアゲの卒業から1年半。グリーンカレーの味の実験を開始しました。
「おいしい…!! 作りたい !!!」
この瞬間がやってきてしまいました。
とある日にパートナーさんと一緒に神奈川から東京の方に遊びに行ったのですが、その時にタイ料理屋に入りました。ここ3ヶ月くらいなぜだかカオマンガイ(タイの蒸し鶏)を作ることにハマっていて、タイ料理屋を見た時にピンと来てお店に入ったのでした。ただ、今回は別のものを食べようと思い、2人でトムヤンクンとグリーンカレーを注文しました。
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料理が到着し、話しながら何気なくグリーンカレーを食べると、ついつい目を見ひらいてしまいました。「おいしい…!!」という言葉がついつい口からこぼれます。旨みと辛さのバランスが絶妙で、とっても素敵な味でした。次の瞬間に「これを再現してみたい」という気持ちも湧いてきました。
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これこれ。これなんですよ。ここ数年の私のことを知っている人は私がカラアゲを揚げていたことを覚えているかもしれません。たくさんの場所でカラアゲを揚げ、それをお布施していくということを2年ほど続けていました。
2024年時点で私は33歳ですが、実はカラアゲの味の開発をしていたのは15歳か16歳の頃からです。味の開発の最盛期は大学生の頃。実家の近所に売ってあるカラアゲの味が好きで、それを再現したいと思って作り始めたのが一番初めの頃のカラアゲを作る動機でした。
何十回もカラアゲを作っているうちに、食べたことがない味の感覚が生じるようになりました。作って食べると、食べたことがない”その味”に作った味が近いか否かがわかるのです。そこからひたすらカラアゲを作り、それが30歳の時に突如「おふせする」ことと出会ってしまいます。(交通事故みたいなものです。)散々揚げた後、カラアゲを手放そうという感覚が訪れ、2023年5月20日にSNSで「カラアゲを手放します」という宣言をしてカラアゲの流はひと段落しました。
再現したいという思いから、大量の実験を行い、
オリジナルのレシピを開発していくという流れ。
私は実験精神と遊び心を中心におきながら試行錯誤をするのがそもそも好きなのです。
そこで舞い込んできたのが、グリーンカレー。
おいしい味を再現したり、自分が好きな味を作ってみたいー!という気持ちが渾々と湧いてきています。
お肉を使ってきたカラアゲの開発の時と違い、宗教や文化背景の異なる人たちにユニバーサルに食べることができるものにしていきたいです。
作りたい気持ちが湧いてきたので、さっそく次の工程に移ります。
次は実際にグリーンカレーの試作です!
Ready for cooking
下北沢でタイ料理屋さんを後にして、その日、東京を堪能して普段お世話になっている神奈川のお寺に帰りました。頭の中はグリーンカレーでいっぱいです。お寺に帰った次の日にお寺の方にお会いした際に、ピシッと気をつけをして「相談があります!」と切り出しました。
「グリーンカレーを2日後の昼に作らせてもらってもいいですか?」
「ありがとう〜お願いします」
これで、グリーンカレーを作る環境の仕込みが終了しました。このお寺ではお昼にお寺の庫裡(間借りの居住空間)に住むご家族と職員さんとその時々の来訪者でご飯を食べます。もうずっと前からそのようにされています。
「お昼ご飯を作らせてもらっていいですか?」という提案は、みんなで作るご飯を作るという意味です。みんなのご飯を作る時には買い出しの時の材料費はお寺の会計から出してくれます。
私はグリーンカレーを作りたい
私が作ると毎日料理をつくる役割の方の負担が減り、お寺側は助かる
私もお寺の会計からグリーンカレーを作ることができ、金銭的に助かる
という構図が生まれ、無事、グリーンカレーの開発を行うことができる流れが調いました。
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グリーンカレーを作る日の前日、最寄り駅と横浜駅に行き、材料を買い集めました。グリーンカレーを作るにあたって重要なのは、青唐辛子とココナッツミルクです。特に料理にココナッツミルクを使ったことがなかったので、どういう味になるのか興味津々です。
あと、たくさんのグリーンカレーの味を体験することが大事だと思ったので、グリーンカレーのレトルトパックも4種類ほど書いました。レトルト商品と商品化されているグリーンカレーペーストと自作のグリーンカレーペースト、それぞれを比べながら、脳内(身体)に味をマッピングしていけるようになっていけるようになっていけたらと思います。
グリーンカレーをつくってみた
さて、グリーンカレーを作る日。まずは簡単にストレッチして身体をほぐし、台所に移動して掃除機がけをしました。身体と環境を調えてから始めます。作りたい気持ちになるまで、いったん待ち、インターネット上に転がっているレシピの数々を見ながら、しばし過ごしました。ある程度経ったところで作りたい気持ちが湧いてきたので、調理に取り掛かりました。
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有機万願寺唐辛子も購入しました。
唐辛子のヘタを包丁で切り落とします、それぞれの唐辛子をかじってみます。万願寺唐辛子の方が、少し辛い。いろいろかじって自分に合うものを探していくしかあるまい。
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全てかじりました。
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作り始めたら、カラアゲを比較実験していた頃のことを思い出して、結局4種類のグリーンカレーを比較することになりました。
1種類目:グリーンカレー(唐辛子 1)
2種類目:グリーンカレー(唐辛子 2)
3種類目:グリーンカレー(唐辛子 2/ペーストにイカの塩辛入り)
4種類目:ヤマモリのレトルトグリーンカレー
ここから料理をつくることに集中していたので、写真が残っていません。料理工程はとっても楽しかったです。
ちなみに、今日は「ガーヤトリーマントラ」という真言の歌を聴きながら作りました。太陽神を讃える真言です。
ガーヤトリー・マントラ(Gāyatrī Mantra。ガヤトリーマントラ、ガヤトリマントラとも)は、ヒンドゥー教における最高峰のマントラとされ、ヴェーダ聖典のエッセンスすべてを含むと言われている古いマントラのことである。
マントラという言葉は「心の解放」という意味らしいです。Wikipedia にはヒンドゥー教のマントラですと書いてあったのですが、仏教の世界にもガーヤトリー・マントラは取り入れられている模様。先日訪ねたカウンターカルチャー専門の本屋さんの店主さんが教えてくれた歌でした。これを聞きながら作っていると、めちゃくちゃ異国情緒感が出ました。
こちらの音で空間を満たし、パクチーなどの香りのキッチンにお寺の方が入ってきた時に「わぁ、違う国になってる!!」という反応がやってきたことも面白かったです。どこか違う世界がそこに立ち現れてくる感じ。非日常感が現れてくる環境の作り方についても、今後、意識を向けていきたいと思います。
作っているうちに、あっという間に完成。写真を撮り忘れたのですが、無事作り切ることができました。作り終わった時に「いい感じの身体感覚」も生じてきました。作ったことで満足しましたね。毎回満足する。それでいて、植物が伸びたい方向に伸びていくように、自然と向かいたい方向に伸びていく。満足しながらも成長するという感じでやっていきたいですね。
実食とフィードバック
今回、めっちゃありがたかったのが、食べてもらって、すぐにフィードバックを得ることができるという点でした。お寺の昼ごはんでグリーンカレーを出すと、職員さんたちがフィードバックを下さいました。
イカの塩辛入りのカレーが一番好き!という人もいて、その反応は意外でした。
唐辛子の辛い方のカレーが好きな人もいました。マイルドな方が好きな人もいました。
というか、みんな色々ですね、当たり前ですが。
レトルトカレーはさすが…!! という味でした。
おいしいグリーンカレーを作っていくぞ!という気持ちが豊かに実った1回目のグリーンカレー作りになったと思います。
下北沢で食べた味は、私が今回作ったカレーやレトルトカレーの味よりも「うまみ」が強かったように思います。私が向かいたい方向は、いったんそちら方面ですかね。また食べに行って、研究しようと思います。
今後の展望:食糧他給センターのグリーンデー
Green Day といえば、アメリカのロックバンドですが、グリーンカレーを振る舞う日のことをそのうちグリーンデーと呼びながら実施できるようにしたいと思っています。まずはグリーンカレーの味を美味しいものにすること。そこから、他の方々に振る舞う流れを作っていきます。
展開の仕方は、喜びの波紋が広がっていくようなイメージです。
波紋1:自分が喜ぶグリーンカレー
波紋2:パートナーが喜ぶカレー(パートナーさんはグリーンカレーが好きなので私がグリーンカレーを作りたいと言い始めたら喜んでいました。カラアゲの時よりも反応がいいです。笑)
波紋3:今回のお寺のケースのように、滞在させて頂く場所など、いわゆるお店ではない空間で一緒に食べる機会を生むカレー
波紋4:不特定多数の人がやってくる場面で、一緒に食べる機会を生むカレー
波紋5:不特定多数の人がやってくる場面で、その人たちがその場で食べていくカレー/持って帰るカレー
「グリーンカレーを提供していく」と考えると、ついつい不特定多数の方々に提供していく”お店”のような形態を想像しますが、私がより注力していくのは、上に書いた波紋1〜波紋3を大事にする展開の仕方です。自分の周りの方々が喜ぶ形を作りつつ、余裕が出てきたら波紋4〜波紋5へと展開していくようにしていきたいと思います。
突然ですが、私は「私が生きる糧を頂くこと」「周りの人たちに生きる糧を贈ること」を幽玄会社というアートプロジェクトとして行っています。特に生きる糧の中で重要なのが「食」で、「頂いている」という感覚を深めていく機会作りを行なっていくことを「食糧他給センター」と呼んで遊んでいます。
植物の命を大切に頂いて始まる一連の流れは、まさに植物世界からの他給の流れであり、その贈り物を受け取ることから始まります。その贈る流れをグリーンカレーという仮の形に仕立て、食料他給センターを通して皆さんにお贈りしていけるように調理から提供の流れを豊かに実らせていけたらと思います。
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頭の中でにわかにグリーンブームが起こっている今日この頃ですが、中沢新一の「緑の資本論」を思い出しました。
『資本論』の核心である価値形態論を一神教的に再構築することで、自壊する資本主義からの脱出の道を考察した、画期的論考。
この緑の資本論は一神教的なイスラーム経済のあり方を鏡にして、資本主義を相対化しようと試みている本です。自分の感覚としては一神教というよりも、多神教的な感覚を前提として、なおかつ資本主義システムだけではない世界を構築して遊んでみたいと思っています。ただ、単純な「利潤の追求」だけではない世界線を歩いてみるという点は、緑の資本論のメッセージにも通じるかもしれません
そんな意味合いでの「Green /グリーン」を模索し始めると、もはやグリーンカレーの話は置き去りになり、戻って来れなくなる気がしましたので、ここで終わります。
さいごに
こんなことを考えたグリーンカレー制作でした。
あーだこーだ書いているけれど、結局はせっかく植物の命を頂くのだから、おいしく調理して食べたい/食べてほしいという気持ちです。しばらく味の開発に勤しもうと思います。
知り合い・友達へ
グリーンカレーが美味しいお店をご存知の方はぜひご飯に誘ってください!
また、各地にグリーンカレーの味の開発拠点(キッチン)があると嬉しいので、作る場所を分かち合ってくださる方がいたら、ご連絡ください!
そんな感じで、おわり。
読んでくれて、ありがとう!
材料費を賄ってくれたお寺さん、
ありがとうございました!!
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