「 神無月の精進料理」 2023年10月
すっかり秋めいて、いちょうの木にオレンジ色のぎんなんが、たわわに実る季節となりました。たからの庭では金木犀が、例年よりだいぶ開花が遅かったですが、今年もいっぱいに良い香りを放っています。この花をシロップ漬けにして餡に練りこんだ空羽さんの練り切りは食べるのがもったいないほど美しく、おいしいんですよ。
さて、今月は…
ご飯は、もち麦、キヌアなどの十数種の雑穀と、甘いあけぼの大豆を炊き込んだご飯にしました。汁は、きのこに葉物野菜で夏の名残を感じるスープに。メインの味噌煮は、ぐっと赤味噌の濃い味わいで秋を表現。里芋に焼き目を付けるのがポイントです。香ばしさがでてコクにつながります。
副菜1は、南瓜の和え物。今年の南瓜は甘くておいしいですね。今回使用したのは「雪化粧」という種類の皮が白っぽいものですが、丸のまま保存すれば、非常に日持ちしますし、とても甘くほくほくの南瓜です。マヨネーズで和えてサラダにする方が多いと思いますが、オリーブオイルのドレッシングで和えるのもさっぱりとしておいしいですよ。お好きなドライフルーツやナッツなど加えていただくとコクがでてよいかと思います。
副菜2は、べったら漬けにしました。毎年日本橋で行われる「べったら市」は、江戸から続く東京の秋の風物詩。2023年は10月19,20日に4年ぶりに行われます。麹でべたべたすることから「べったら」となったとか。
本来は塩で下漬けし、もち米と米麹の床に砂糖を加えて漬けますが、おうちでも手早く漬けられるよう、薄く切り、塩で軽くもんでから、甘酒に浸す方法で作り、砂糖不使用にしました。
1.雑穀ご飯、2.茸とレタスのスープ、3.里芋と厚揚げの味噌煮、4.南瓜と隠元の和まぜ、5.即席べったら漬け
1.雑穀ご飯
材料:米700CC、雑穀60g、あけぼの煎り大豆50g、水940CC、塩麹大2
1) 米は洗ってざるに上げて、15分はおいてから雑穀を足して浸水・調味し、さらに20分は置いてから炊飯する。
2.茸とレタスのスープ
材料:出汁1000CC(昆布出汁と干し椎茸の戻し汁)、干し椎茸4枚、えのき1/2パック、占地1パック、レタス4枚、
塩小1弱,淡口小1、ごま油大1、胡椒少々、片栗粉大2(昆布出汁大2)
1) 干し椎茸は一晩冷蔵庫で戻したものをスライス、榎木は3cmに、占地はほぐして、レタスは食べやすい大きさにちぎっておく。
2) 出汁を温め、レタス以外の材料を入れて煮立ったらアクを引いて2,3分煮る。
3) 2)に調味し、水溶き片栗粉を加えて、最後にレタス、胡椒、ごま油を加えて盛り付ける。
3.里芋と厚揚げの味噌煮
材料:里芋600g、しし唐各2本、厚揚げ1・1/2枚(250g)、生姜スライス15g、油適宜、水100CC、粉山椒適宜
煮汁:赤だし味噌60g、砂糖大1、酒50CC、みりん50CC,(味調整用:醤油大1)
1)里芋は皮をむき、1cmの幅に小口切にして、さっと洗っておく。
2)厚揚げは長い辺を1/2に切り、1cmの厚さに切っておく。
3)獅子唐は軸を切っておく。
4)フライパンに油を敷き、3)だけ先に炒めて取り出しておく。
5)煮汁の材料を混ぜておく。
6)油を足し、1)をふいて両面焼き色が付くまで焼いて、生姜、厚揚げ、水をたし、煮汁を加え、2,3分煮て、里芋が柔らかくなっているのを確認して、最後に獅子唐をまぜて火を止める。
7)盛り付けて粉山椒を振る。
4.南瓜と隠元の和まぜ
材料:南瓜500g、インゲン80g、レーズン大2,胡桃5.6粒、カレー粉かクミン少々
和え衣:油大3、米酢大1、塩小1/3、はちみつ適宜
1) 南瓜は皮をトラ剥きして1口大に切り、10分蒸して薄塩をしておく。
2) 隠元はさっと塩ゆでしてき上げし、2cmくらいの斜め切りにしておく。
3) 和え衣の材料を混ぜて1,2,レーズン、割った胡桃を加え和える。
5.即席べったら漬け
材料:大根300g、塩大根正味の2%、甘酒80CC、唐辛子1本、味調整用(塩麹、砂糖適宜)
1) 大根は洗って皮をむき、3㎜厚さの銀杏切にして、2%の塩を振って脱水させる。
2)1)をしっかりしぼり、甘酒と、種をとって小口切した唐辛子を混ぜて、しばらく置いておく(できれば数時間)。味を見て足りないようなら塩麹や砂糖少々で調整する。
10月のデザート
創作和菓子・空羽kuu 「キンモクセイ」
レシピ&原稿:温石会 入江亮子
(北鎌倉たからの庭<旬を楽しむ精進料理> 10月の献立より)
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