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「神無月の精進料理」 2024年10月

10月も半ばというのに、まだ汗ばむ日も多く、今年は秋が短い予感…。とはいえ、朝晩の冷え込みが感じられる頃となりました。

10月は「神無月(かんなづき)」と呼ばれています。日本全国の神様が出雲大社に集まるためとも言われており、出雲では「神在月(かみありづき)」と呼ばれますね。また、10月には長崎おくんち、十三夜、ハロウィンもあり、茶の湯では名残の月でもあります。

食材では、秋の実りが楽しめる季節。野菜では、南瓜、薩摩芋、栗、松茸、蓮根、果物では、柿や梨、ぶどうと盛りを迎えます。

さて、今月の献立ですが、一度はゆっくり甘露煮を伝えたいなと思っておりましたので、旬の栗を使った稲荷寿司をやりました。ゆっくりとは言っても限りがありますので、本当は2日がかりでシロップの濃度をあげていくのをかなりショートカットしました。数日中に食べてしまうのであれば、この方法でいいかと思います。

添えの細巻は、菊花と干し椎茸のうま煮を巻きました。巻物の具も旬を生かしてもっと自由でいいかと思います。

汁は、朝夕の冷たい空気で冷えた肺を潤す、白木耳を使った汁です。榎木や蓮根といった白の食材をいっぱい使って、棗も添えました。

主菜は、大豆肉の竜田揚げです。湯でもどしてから軽く絞り、生姜をきかせた醤油を吸わせて揚げます。
竜田揚げの名前は、奈良県の竜田川の紅葉に由来し、衣が紅葉のように美しく色づくことから来ていますので秋にいいなと今回やりました。冷めるとぼそっとなりますので、お弁当などには向きません。ぜひ揚げたてを召し上がってください。

副菜1は、薩摩芋の金平。甘くてホクホクとおいしくなってきた薩摩芋を少し太めの棒状に切って、人参や隠元と炒めました。醤油はすぐ煮詰まってしまうので、少し出汁を足してあります。

副菜2は、牛蒡の塩麹和えにしました。牛蒡を短冊に切ったら、さっとゆでて、熱いうちに塩麹タレと絡めます。これはおせちにも使えます…というか、おせちの「たたきごぼう」の変形です。醤油の部分を塩麹に変えただけです。皆さんも、例えば砂糖を蜂蜜に変えるなどして、毎日のお料理でいろいろ楽しんでみてください。

1. 栗稲荷寿司と細巻
2.白木耳と蓮根汁
3.大豆肉の竜田揚げ
4.薩摩芋の金平
5.牛蒡の塩麹和え

「神無月の精進料理」 2024年10月

1a.栗稲荷寿司

栗稲荷寿司と細巻

材料:米600CC、水690CC 油揚げ各1枚
打ち酢:酢60CC、砂糖大1、塩小1
A煮汁:出汁300CC、砂糖50g、三温糖10g、醤油大2・1/2
B追い:三温糖大2、味醂大1
栗各2個、明礬水(ミョウバン小1,水600CC)、水300CC、砂糖300g、塩少々、梔子(くちなし)の実1個

栗稲荷寿司①

1)油揚げは箸を上下に転がしてから1/2に切り、3分ほどゆででざるにあげたらしっかりへらなどで押して油抜きし、さらに軽く絞って水気を切って、出汁にいれ、煮立ってきたらAの砂糖を加え少々置いて醤油を加え、中火で落し蓋をして5分煮る。Bを足して火加減を強め、1,2分で火を止め、置く。

栗稲荷寿司②
栗稲荷寿司③
栗稲荷寿司④

2)米は洗ってザルに上げ、浸水20分で炊く。10分置いたら飯台にあけ、打ち酢をし、切るように混ぜ、団扇で扇ぎ、40gに軽くまとめ、1)に包み込む。

栗稲荷寿司⑤
栗稲荷寿司⑥
栗稲荷寿司⑦

3)栗を煮る。栗は渋皮までむき、水に漬けて、全部むき終わったら明礬水に20分は漬けてからきれいに洗ってひたひたの水から、梔子の実を入れて静かに煮て、粗熱をとっておく。

栗稲荷寿司⑧
栗稲荷寿司⑨

4)水300CCに150gの砂糖を加え火にかけシロップを作り、そっと3)の栗を入れ弱火で紙蓋をして数分煮てから、半量のシロップだけとり煮詰めて、最後に塩少々を加えて、栗に戻す。

5)4)をできれば1晩おいてから1/2に切り、2)に載せる。

1b.細巻

材料:菊花1/2パック、酢少々、甘酢:酢50CC、砂糖大3、塩少々
寿司飯@80g×4 、海苔2枚 干し椎茸6,7個、
煮汁:干し椎茸戻し汁100CC,砂糖大3、醤油大2,みりん大1

1) 干し椎茸は一晩水に漬けて、千切りにして、戻し汁だけで煮て、温まってきたら砂糖を加え数分したらほかの材料を入れて、煮汁がほぼなくなるまるまで煮る。

細巻①

2)菊は花びらだけを、熱湯に酢を加えてさっとゆでて2回ほど水を変えてからざるにあげ、甘酢につけておく。

細巻②
細巻③

3)1/2に切った海苔を巻きすにおき、その上に寿司飯80gを置いて向こう1cmは空けてセンターに椎茸と菊花をおき、まいて、6等分にし、稲荷とともに盛り付ける。

細巻④
細巻⑤


2.白木耳と蓮根汁

白木耳と蓮根汁

材料:白木耳7g、蓮根150g、棗(なつめ)各1/2個、榎木1/2パック、
出汁1000CC、醤油大1,塩小1/3、ごま油大1

白木耳と蓮根汁①

1) 白木耳は水で30分程度戻し、石付をとって、小房に割いておく。

2) 蓮根は良く洗い、ポリ袋に入れたたいておく。

白木耳と蓮根汁②

3) 榎木は2cmに切り、棗は湯で戻して1/2に切っておく。

4) 出汁に木耳を入れてを温め、20分程度煮て、柔らかくしたら、蓮根と榎木を入れて3、4分煮て調味し、最後に戻した棗を入れて、胡麻油を加え、椀にもる。

白木耳と蓮根汁③


3.大豆肉の竜田揚げ

大豆肉の竜田揚げ

材料:大豆肉各3個、片栗粉適宜、大豆油適宜、酢橘(すだち)各1/4個
漬け地:醤油大2~3、酒大2,おろし生姜大1

1)大豆肉は5分ゆでてからそのまま10分置いて戻してから軽く水気を絞って漬け地に漬けてもむ。

大豆肉の竜田揚げ①
大豆肉の竜田揚げ②
大豆肉の竜田揚げ③

2) 1)に片栗粉をまぶし、170度程度の油でカリっと揚げ、酢橘を添える。

大豆肉の竜田揚げ④


4.薩摩芋の金平

薩摩芋の金平

材料:薩摩芋2本(300g)、人参1/2本、隠元5、6本、大豆油大2、黒いりごま適宜
タレ:出汁・酒・砂糖各大1,醤油大2

1)1) 薩摩芋は4cm長さ、7mm角に切って水に放っておく。

薩摩芋の金平①

2) 人参は1)よりやや細めに切り、インゲンは4cmに切っておく。

薩摩芋の金平②

3) フライパンに油を敷き、しっかり1)~3)を炒める。

薩摩芋の金平③

4) 火が通ったところでたれの材料を加え、煎りあげる。

薩摩芋の金平④

5) 盛り付けて、黒いりごまを振る。

5.牛蒡の塩麹和え

牛蒡の塩麹和え

材料:牛蒡2本(100g) 
衣:酢・塩麹各大1,砂糖大1/2、白いり切ごま大2

1)牛蒡は洗って3cmの長さの短冊に切って水にさらす。

牛蒡の塩麹和え①

2) 酢(分量外)少々を入れた水から1)を茹でて、きあげし、熱いうちに衣と和える。

牛蒡の塩麹和え②
牛蒡の塩麹和え③


10月のデザート
創作和菓子・空羽kuu 「艶栗」

空羽kuu 「艶栗」

レシピ&原稿:温石会 入江亮子
(北鎌倉たからの庭<旬を楽しむ精進料理> 10月の献立より)


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