コミュニケーションがうまい人が自然に書いている「クッション枕詞」
こんにちは!
営業や社内調整のメール・チャットの場面で、相手に不快感を与えずにうまく自分がもっていきたい方向に誘導できる人っていますよね。
そういう人たちの文章を観察すると、相手がメッセージを受け取りやすくするような言葉、いわば「クッション枕詞」をよく使っていることに気づきます。クッション枕詞とは「お手数をおかけしますが」「もし可能でしたら」など、説得・提案・依頼・質問・反論といったシーンで使える言葉です。
今回は、この「クッション枕詞」のテクニックについて、具体例を交えながら解説していきます。
「下から入る」or「前を向かせる」
「クッション枕詞」は、大きく2つの方向性に分かれます。
1つめは「下から入る」。代表的なのが「お手数をおかけしますが」「お忙しいなか恐縮ですが」など、申し訳なさや謙虚さを表現するときに使う方向性です。
2つめは「前を向かせる」。たとえば「生産性をより高めるご提案なのですが」「コスト削減につながる案件がありまして」など。相手のメリットを先出しすることで、「おもしろそうだな」「どういうこと?」と思わせて、前のめりになって読み進めてもらえるようにする効果があります。
みなさん、きっと「下から入る」のほうは日常的に使っていることと思います。ぼくもメールやチャットでよく使っています。
一方で「前を向かせる」は難易度が高いというか、パッと出てきづらいですよね。結果、レパートリーが「恐れ入りますが」と「お手数おかけしますが」しかない、という人も多いのではないでしょうか。
以下で紹介している例は、「下から入る」もありますが、ぜひ「前を向かせる」を意識しながら読み進めてもらえればと思います。
相手が気持ちよく答えてくれる「クッション枕詞」
相手から情報を引き出したいとき。ただ質問を投げかけるだけだと、相手は「押しつけがましいな」「尋問されてるみたい」と感じてしまうかもしれません。そんなとき、こんなクッション枕詞が効果を発揮します。
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(例)
門外漢で恐れ入りますが
→専門外の話題を扱う際に使用すると効果的です。
◯◯の参考にさせていただきたくお伺いしますが
→相手の経験や知識を尊重する姿勢が示せます。
◯◯で悩んでおりましてご意見を頂戴したいのですが
→自分の課題を率直に示すことで、相手の協力を得やすくなります。
◯◯さんがこれだけの実績を出している秘訣を少しでも吸収したいのですが
→相手の成功を認めつつ、学ぶ姿勢を示します。
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上司やクライアントに提案するときの「クッション枕詞」
新しいアイデアや方法を提案するときの文章って悩みますよね。特に上司やクライアントに対しては、相手の立場や経験を尊重しながら言葉を選ばなければなりません。そんなシーンでは、次のようなクッション枕詞が役立ちます。
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(例)
ジャストアイデアですが
→相手の反応を和らげつつ、斬新なアイデアを提案する際に使用します。
ぜひこれだけはお伝えしたいのですが
→相手の注意を引き、メッセージの重要性を伝えられます。
従来の方法とは異なりますが、◯◯につながりそうな案がありまして
→変化への抵抗を和らげつつ、潜在的なメリットを提示できます。
貴社の◯◯に沿った提案をさせていただきたいのですが
→クライアントのニーズや目標に合わせた提案をする際に有効です。
◯◯の長期的な成長を見据えた提案なのですが
→大きな変更や投資を提案する際に使うことで、短期的な視点だけでないことを示せます。
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議論の方向性を変えたいときの「クッション枕詞」
仕事上でやりとりをしていると、議論が建設的でない方向に進んでしまったり、核心から外れてしまったりすることがありますよね。そんなとき、さりげなく話題の方向性を変えるのに効果的なクッション枕詞があります。
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(例)
別の観点から考えると
→現在の議論に新しい視点を導入する際に効果的です。
ちなみに
→ 会話の流れを変えずに、補足的な内容を自然に追加するときに使えます。
ところで◯◯に関してなのですが
→ 話題を切り替える際に有効です(「ところで」は本当に万能です……)
これまでの話の流れから少し逸れるかもしれませんが
→議論の主題から逸れた内容を提起する際に使用します。
この議論をより深めるために、別の切り口で考えてみると
→建設的な姿勢を示しながら、新たな視点や要素を提示したいときに有効です。
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ここで紹介したのはごく一例ですが、「クッション枕詞」は、相手への配慮を示しつつ、自身が望ましい方向に導く方法です。
ただし、業界や状況、使用する人間によって適切さが変わります。たとえば、より直接的でカジュアルな表現(「ちょっとしたアイデアがあるんですが」など)が好まれる業界・企業もあるでしょうし、反対に「誠に恐縮ではございますが」のような形式的で丁寧な表現が適切とされる業界・企業もあるはずです。一括りに「これ」と決めつけず、シーンや相手の立場を見極めて、使う言葉を選ぶのがベターです。
では、また次回の記事でお会いしましょう。