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マーケティングと営業の溝を作らないためには

マーケティング業務に携わっている方でしたら誰しも一度は感じたことがあるのではないかと思う。「マーケティングと営業は分かり合えるのだろうか?」という、モヤモヤ。

もちろん営業に直接その感覚を伝えること言うことができないので、常にまとわりつくモヤモヤ。そして、成果が上がらないとさらに強まるモヤモヤ(笑)

ToCマーケと違って、ToBマーケティングは、ほぼ営業チームとの関わりは欠かせません。むしろ、そこの連携をスムーズにすることが、事業成長の鍵でもあるように思います。

本記事では、そんなよく言われる「営業とマーケティングの不仲説」のところの解決案のひとつを1つとして、お話ができればと思っております。

※ ここでいうマーケはプロモーションに寄った話です。


マーケティングと営業は仲が悪い…?

営業部門とマーケティング部門など異なる部署間の対立は、多くの企業で見られる課題です。これは、セクショナリズム(部門主義)と呼ばれる現象で、部署間の壁が強く、時には競合他社よりもお互いをライバル視するケースすらあります。このような対立の要因には、人間の本能的な行動や、縦割り組織の弊害が関係していることもあります。

例えば、マーケティング業務に関わっている方がであれば、営業チームから

「リードの質が低いのでどうにかしてほしい…」
「もっと見込み度の高いリードを提供してほしい…」
「今のリード数だと目標達成が難しいよ…もっと量がほ欲しい…」
「XXXの情報をマーケが事前に取得しておいてほしい...」

といったことを言われたことがあるかもしれません(あるいは今も言われているかも?)。それに対して、マーケティング担当者は、

「そんな質と量を両立なんて、できたら苦労はしないよ…」
「言われなくても見込み度の高いリード渡したいと思っているよ…」

と思ったり、ついには、

「営業のアプローチがやりきれていない面がある悪いのではないか?営業スキルはちゃんとあるのかな...?」

といった気持ちも湧いてくることもすごく気持ちがわかります。

ただ、そこで相容れないと突き放してしまうのと、一歩寄り添って解決に歩み寄ることで、その後のマーケティング業務の成果の可能性が高まりますし、仕事の進め方についても格段に楽になります。

その歩み寄りというのは、いかに両部署で目標に向けた指標や定量目標の「合意同意」ができているかが大きいと感じております。

マーケティングと営業の間でのSLAとは


SaaSなどのIT業界に携わっている方であれば、SLA(サービスレベルアグリーメント:Service Level Agreement)という言葉を聞いたことがあるかもしれません。SLAとは、発注者と受注者が契約する際に「サービスの品質に対する利用者側の要求水準と提供者側の運営ルールについて明文化する」ための合意になります。

(引用:マネーフォワード

例えば、マネーフォワードの場合、「当社は、プレミアムサービス利用者に対し、本サービスの稼働時間を99.5%以上維持することを保証します。」といった形で、保証する稼働率を明言しております。それを下回る場合でしたら、月額料金から返金保証をするといった取り決めも明文化しております。

これはあくまでシステムの稼働についての話になってしまいますが、それを、営業部門とマーケティング部門でも合意しませんか?というのが今回の提案です。

イメージとしましては、営業チームが目標を達成するために必要なリード数をマーケが担保すると明言すること。逆に、マーケティングチームが目標達成に必要な分のリードを取ってきたら、必ず受注までつなげ売上目標と達成するといった。お互いの宣誓のようなもののイメージです。

もちろんその中にも「リード」の定義(定義の例は下の記事で触れられています)も明言されている....ということです。

SLAを設定することでどのようないいことがある?

マーケティングと営業の間でSLA(サービスレベルアグリーメント)を設けることは、事業成長において重要です。SLAは、共通の目標を設定し、両チームが協力してKGIやKPIといった指標に向けて効果的に動くための指針となっていきます。

定義の誤解や衝突を防ぐ

例えば、SLAにより「どのようなリードが営業チームに渡されるべきか」といった役割や責任範囲が明確化され、両チームの期待値が一致します。これにより、定義の誤解や衝突が防がれ、リードの質が向上し、成約率の改善も期待できます。

「リード」という言葉一つ取ったとしても、厳密に言えば、マーケティングに携わっている方であれば、リード、MQL、SQL、SGL…など、様々なフェーズによって名称も変わり、定義もある程度理解されている方も多いと思います。

しかし、営業担当者はどうでしょう?(もちろん勉強熱心だったり、マーケの経験がある方とかであればわかるかもしれませんが)多くの営業担当者は、マーケ担当者と同等の知識はないケースもあります。その、知識の違い差がある中で、「リード」という言葉を使ってしまうと、マーケ担当者はリードフェースの「リード」と認識していても、営業担当者はMQLフェーズの「リード」と認識しており、早くも齟齬(モヤモヤのタネ)が生じてします…。

共通した目標で施策に向き合える

SLAを通じて、両チームは事業収益や成長といったKGI(重要目標達成指標)に向かって一致団結し、それぞれがKPI(重要業績評価指標)を達成するための役割を明確にします。これにより、マーケティングがリードの「数」だけでなく「質」にも注意を払い、営業が求める水準のリードを提供できるようになります。

営業とマーケティングが別の部署として並立している場合、よくあるのが、マーケティングは独自の戦略や独自の意思決定で施策やコンテンツを決めて突っ走ってしまうケースです。

これで成功するケースというのは、営業担当者が個人スキルが著しく高く柔軟な対応ができること、プロダクトが明らかに差別化されニーズへの不足もない状態であること、相当行動喚起ができるプロモーションであったことといったケースが必要です。当然、これらの条件がマッチするケースというのは稀です。

そんなラッキーなケースがない中で、どのように効果を高めていくのかというと、営業とマーケティングでアプローチ先を明確にし、共通認識を持っていくことです。
例えば、中小企業向けの勤怠管理システムを提供しているのであれば、従業員規模はどのくらいの会社なのか?部門は人事や労務分野の担当者なのか、経営層なのか?どのような課題感が導入ケースで多いのかといったところまで、掘り下げて解像度を高めること、いわゆるペルソナを定義することが大事です。

それにより、営業とマーケティングはお互い同じペルソナをイメージでき仕事を進めることができます。自然と営業はトークを調整できると思いますし、マーケもそれにあった見込み客を見つけてくることができます。それによりアポイント率や受注率も自然と変化していくのではないでしょうか?

フィードバックをし合える体制を作れる

SLAのもとで各チームの目標が明確化されれば、未達の場合には具体的な原因究明も可能になります。

そもそも、マーケティングと営業は、

マーケは中長期的な施策、
営業は短期的な施策。

マーケは量(売上のきっかけ)が重要視され、
営業は質(売上)が重要視される。

隣の部門ながら、そもそも存在目的がお互いに矛盾していることが多いわけです。

ビジネスでは、様々な変数があり、どれが問題の本質なのかを見極めないといけません。ましてや矛盾しあう関係性だからこそ、その際に、前もって基準を設定しておくことによって、本質を見抜けやすくなります。(あるいは、見抜くための分析の素材を用意して置けることができるようになります。)。

例えば、「営業のアポイント数が未達」となった場合には、まずは営業セールスと取り決めたリードの数とペルソナの含有率などを調べることができます。数は担保できていたのに、ペルソナの含有率が少なくて未達だったら、さらにペルソナに刺さるような施策やコンテンツを作成していく必要があります。

一方、ペルソナの含有率は担保できていたのに数が少なかった場合には、プロモーションのチャネルを増やすなどをして数を増やしていくという方法もあるかもしれません。場合によっては、両方担保できてたのに、営業のスキルが未熟でアポを取りきれないということも考えられます。

このような継続的な原因究明やフィードバックのサイクルを組織全体で運用できれば、さらに施策の質は高まり組織の力も高まっていきます。

最後に

ここまで、SLAの設定とマーケと営業の合意の重要性をつらつらと説いてきました。

お気づきだとは思うのですが、一つ一つは本当に小さいタネなのですが、それが増殖していくことや肥大化していくことで、溝は深くなっていくのだと思います。

企業に属している時点で、事業成長という目指すべき最終ゴールは同じです。チームのKPI、立ち位置、強気の姿勢(笑)などあるかもしれませんが、今一度寄り添ってみませんか。

次回は、実際にどのようにSLAを作っていくのかを解説した記事を書こうかと思っております。以前、向井さん(@Shun_Mukai0718) と対談した内容もぜひご覧ください。


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