読書感想文「ガリバー旅行記」
言わずと知れた世界の名作小説「ガリバー旅行記」。話の内容は知っていても、実際に読んだことのある人は多くないのではないでしょうか?今回、僕も初めて最後まで読み切ったのですが、そこには衝撃の事実がありました。
ガリバーが訪れたのは「小人の国」だけではなかった
「ガリバー旅行記」で最も有名なのは、小人の国に流れ着き、彼らにつかまっている風景だと思いますが、実はガリバーが旅行していたのは、「小人の国」を含む4つの不思議な国だったのです。
一番始めに訪れたのは「小人の国」ですが、次に訪れたのは「巨人の国」です。皮肉なことに、今度はガリバーが小人となって、かつての小人たちの目線を味わうこととなります。
3番目に訪れたのは、「空飛ぶ島」です。そこでは、変な知識が横行しており、まともに話すこともできない人たちにガリバーは苛立たしい思いをすることになります。
最後に訪れたのは、「馬の国」という馬が人間のように振る舞い、人と猿の中間のような生き物を家畜として使役する国です。そこに住む馬たちは、論理的な考えをする上に、性格も温厚で、ガリバーがもう人の国には帰りたくないと思うほどです。
物語を通して、人間観を伝える
ガリバーが訪れる国の種族は、どれも個性的で、穿った見方をすれば、作者の人間観が表わされているように思います。そう思って、本書を読むと、最後に訪れた「馬の国」は、作者が人間を野蛮で醜い生き物として捉えていたと考えることもできます。
本書のように、物語を通して、作者の人間観・世間の捉え方を伝える作品はたくさんあり、僕が読んだ中ですと、芥川龍之介の「河童」や百田尚樹の「カエルの楽園」が該当すると思います。(両作とも、人間を別の生き物に置き換えているというのは共通しています)
単純に物語を楽しむのも素晴らしいですが、こういう変わった読み方もたまにはいかがでしょうか?