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マルチリンガルが語る~小山肆成~

こんにちは、しょうごです^^
㊗30,000 PV㊗、皆様のおかげです♪

久々に登場、ふるさと和歌山オールスターズの第5弾!

今日は種痘医小山肆成(こやましせい/ 1807-1862)です。天然痘 (疱瘡)の治療に人生をかけた人物です。※種痘とは天然痘のワクチンのこと。

前々回にご紹介した、華岡青洲(はなおかせいしゅう/ 1760-1835/ 世界初の全身麻酔手術成功)より、少し後の世代の人です。

現和歌山県白浜町久木(旧日置川町久木)の名家に生まれ、京に出て修行。同じく京で、開業医として多くの人の病を診ました。

肆成
(しせい)が京で生活し始めたころ、華岡青洲は既に日本医学界の巨人的存在だったはずであり、肆成も郷里の先輩の業績を知っていたと考えられます。

ところでみなさん、天然痘って知ってますか? 僕なんかは、名前を聞いたことがある程度で、よく知りませんでした。ですが、近世まで全人類を苦しめてきた恐るべき病気です。

一度発症して回復すると二度とかからないものの、死に至ることもよくあったようであり、回復しても顔や体に痕が残るという、特に女性にとっては本当に恐い病でした。※伊達政宗の右目失明は、天然痘によるものだと伝えられています。

あばたもえくぼという諺は、この病気から来ています。
※”あばた”とは、天然痘が治ったあと、皮膚に残る小さなくぼみのこと。

結果としては、1980年のWHOによる発表で根絶が宣言されました。

ですが、英国医師ジェンナー(1749-1823)が1796年に種痘(天然痘のワクチン)を開発するまでは、運良く助かる以外、コントロールの出来ない病気でした。
※それ以前は人痘接種法という、危険度の高い治療法だけが存在した。
※ジェンナー自体も、その偉業の割に知られていません。ジェンナーは近代免疫学の父ともいわれ、その後のパスツール(狂犬病ワクチンの開発)などにも影響を与えた、近代医学の金字塔といっても過言ではないくらいの存在です。

1800年代当時、中国からもたらされた文献などで、日本でも種痘(ワクチン)の存在は医学者の間で知られていました。ただし、船旅を経て新鮮でないといけない種痘(ワクチン)が日本にたどり着くのは、容易ではありませんでした。

天然痘に苦しむ多くの人を救いたいという医師はたくさんおり、肆成もその一人でした。そして自らの力で種痘(ワクチン)を作りだすことを決意します。

家宝の刀を売ってまで独自の研究を続け、奥さんにも実験台になってもらった(華岡青洲と同じ)結果、数年後の1849年(ジェンナーより50年ほど遅れて)、種痘開発に成功。京や故郷紀州(現在の和歌山県)で、多くの民を天然痘から救いました。

緒方洪庵(1811-1863)は、種痘を使って多くの人を救いましたが、肆成はその種痘を自力で作り出しました。※Wikipediaの種痘の項目には、なぜか肆成の記述はない。

"医は仁術”を体現した立派な医師であり、貧しい人達からはお金を受け取らないか、少ない金額しか受け取らなかったため、いつまでたっても貧しかったようです。

不幸なことに55歳で夭折、肆成を支えた妻や養女も2・3年後にこの世を去りました。直系の子孫は途絶え、医療所も継承されず、その功績すら語り継がれることはありませんでした。

和歌山の医学界では、北の青洲(華岡青洲)、南の蓬洲(ほうしゅう/ 肆成の号)として、名前が語られているそうですが、日本人はおろか和歌山県でも肆成の名を知る人は多くありません。

文献の少なさで功績が知られていない、ましてや功績を疑われるなどということは非常に残念なことであります。

僕自身一人の和歌山人として、今後もことあるごとに肆成に言及し、自分の心に名をとどめていこうと考えています。

≪参考文献≫
”種痘医 小山肆成の生涯” 山本亨介 著 (1994年発行)

おわり

PS①: このブログを書きながら、現代の肆成ともいうべき、医療に携わる全ての方々の、コロナ禍における苦労を思わずにはいられません。
PS②: 作家の山本亨介氏も、和歌山県(古座町)出身

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