インクルーシブ哲学へ⑭:近寄ってきてくれた
▲ 前回
2024年11月4日
障がい支援団体主催の仮装イベントに、ボランティアで参加しに行った。
僕は用意していたピーターパンの服に着替えた。
大勢の人たちがいる野外の会場で、僕はお手伝いをするためにそこにいて、誰にどう話しかけてよいのか、わからない。
挨拶をすることくらいしかできない。
そんな中、近寄ってきてくれる人もいた。
女の子が近寄ってきて、僕に向かって両手を振り、僕の腕を少しつかんで、どこかへ行く。
若い男の人が近寄ってきて、僕のことを指さして、「ピーターパンだ」と言った。
僕よりも大きい若者がニコニコしながら近寄ってきて、僕の前で立ちどまってニコニコしていた。
猫の仮装をした女の子が、指で僕のお腹をつついた。
そのたびに、僕はとても嬉しくなった。
反応したくなったし、反応した。
これが対話でなくて何だろう。
魅力的な人たちがいて、出会いとふれあいがあり、心から楽しい。
こうした経験から、簡単に学べることがあるはずもない。
僕が学びつつあることがあるとしたら、「障がいをもつ人への接し方」というものはないということなのかもしれない。
ひとりひとりが、あまりにも違う人間だ。
他者は実存だ。
そんな当たり前のようなことを、ひしひしと体で感じる。
僕は学ぶことなどできないのかもしれない。
ひとりひとりと出会いながら、自己が変容するのかしないのか、待つことしかできない。
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