いい人間になりたい
私たちは起きている時間のほとんどを、働いてすごす。
どうしてそんなに働くのか。
狩猟採集時代、人間はそんなに働いていなかったそうだ。
つまり、人間が生きていくためには、サバイバルのためには、そこまで働かなくてもいい。
現代の私たちは、食べて生きていくために働かなければいけないと思っている。
でも、サバイバルのためには、そこまで働かなくてもいいはずなのだ。
私たちは働くことに巻き込まれている。
巻き込んでいるのは文明なのか、社会なのか、組織なのか、資本家なのか、わからない。
とにかく、働くことに巻き込まれている。
どんなに楽しそうに働いている人でも、今日が休みだということになれば、嬉しい気持ちが湧くだろう。
働くことに、多かれ少なかれ無理があるからだ。
私たちは、うしろから無理やり押されるようにして、ドアを開けて働きに出かける。
うしろから無理やり押す力がなくなれば、どんなに楽になるだろう。
ともかく、サバイバルであれ、巻き込まれているのであれ、自分を維持するためには、働かなければならない。
生命の体温を維持しなければならない。
自然は私の体温を奪う。文明は私の体温を奪う。社会も、組織も……
その奪いかたに、それぞれのメカニズムがある。
だから、体温を維持するしかたにも、それ相応のメカニズムが要る。
その維持するメカニズムを、ただの維持のためではない、自分を形作っていくためのメカニズムに変えたい。
言いかえれば、うしろから無理やり押す力を逆手に取って、前に進む力に変えたいと思っている。