組織の持つ力を最大限に発揮するには?
皆さんこんにちは。
突然ですが今までの経験の中に、こんなことありませんでしたか?
「仕事は嫌いじゃないけど、人間関係が...」
「あの人に言われるとどうもやる気が...」
(逆に、ある別の人に言われるとなんだか前向きな気分で取り組める!)
「仕事は好きだけど、ここではやりがいを感じない...」
こういう時って、心の中のぼやぁ〜っとした何かが引っかかるんですよね。
なんだかわからないけど、前向きな気持ち仕事ができない。
それでいてそんな時は、仕事を終えても達成感が無かったり、
そもそも仕事がうまくいかず誰かとぶつかってしまったり...
なんて事ばかり続いてしまいます。
あとはスポーツを経験された方でこんなこともありませんでしたか?
”格下チームが格上チームに、大きな大会で勝利”
”個人のレベルはあまり高くないが、試合では凄い力を発揮するチーム”
聞いたこともあるかもしれませんが、
格下を格上を倒す事を、”ジャイアント・キリング”
と、サッカーでは呼びます。
感じられた方もいるかもしれませんが、
これら2つの例えって、全然違う話ですよね。
でも、似ていないようで共通のある力が働いているんです。
〜有形と無形、2つの力〜
少し話は変わりまして、
皆さんもご存知の通り、自衛隊というのは日本の防衛のために存在する組織ですが、自衛隊の教育では、こんなことについて学びます。
それは、”戦場において発揮される2種類の戦闘力”についてです。
1つは、ライフルや戦車などの形に見える戦闘力、「有形戦闘力」で、
もう1つは、団結、指揮、規律、資質といった、人間の内側に隠された目に見えない戦闘力、「無形戦闘力」です。
これらは、どちらの方が重要などと優劣をつけることはできません。
どちらも欠かすことのできない、大切な戦闘力の要素です。
有形戦闘力というのは、それぞれ”諸元”(1分間に最大○発撃てる等の、装備品それぞれの能力)というものがあって、その使用には必ず限界があります。
しかし無形戦闘力というのは、潜在的な個人の責任感や任務遂行意欲を引き出すことができ、その効果は計り切ることが出来ないとされてます。
そしてこの無形戦闘力ですが、自衛隊に限らず私たち一人一人の身の回りにも同質のものが存在しており、学校や職場などの人間関係、チームスポーツにおいては顕著に現れます。
今一瞬みなさんの頭の中に浮かんだかもしれませんが...笑
今までで1回は言われた事があるのではないでしょうか、
「根性で負けるな」「気合が足りない」「自分の熱意が全て」
かなりド定番の喝ですね〜笑
ですが、無形戦闘力が指しているのはこれらとは大きく違います笑
完全に間違いではないとは思うんですけどね笑
個人的な見解になりますが、有形戦闘力と無形戦闘力は、
”相乗的に力を発揮するものでなくてはならない”
と考えています。
つまり、どちらかだけでベストパフォーマンスは発揮できません。
「有形の力によって無形の力が刺激され、無形の力がさらに効果の高い形で有形の力を行使する...。」
つまり有形と無形がお互いに力を引き出し合う、というイメージですね。
同じ鉛筆1本で描く絵でも、素人とプロでは全く作品の出来栄えが変わってしまうとか、あとは料理も同じですよね!
もちろん有形戦闘力は諸元を上回る能力は発揮できない(無理やり使うと、必ず故障し、長期的な成果は得られません)ので、いかに無理なく有形戦闘力の最大パワーを引き出す事ができるのかは、大きなカギを無形戦闘力が握っていることになります。
〜”無形の力”は生き物〜
先述したとおり、
無形戦闘力は、団結、指揮、規律、資質などの人間の内面的要素から成り立っています。
これらは自己完結できるものではなく、組織を構成する複数の人間関係が土台になって生まれるものも含まれているため、各個人に焦点が向く気合・根性・情熱といった要素だけでは必ずどこかで頭を打ってしまいます。
さらに無形の力には
”正にも負にもベクトルが無限大に伸びる”という性質があります。
この記事の冒頭で挙げた例に見られるように、
人間関係が原因で仕事の効率や質に加え、組織全体の士気が下がる
というような事象の原因には、人間の欲求や感情、理性が隠されています。
それらが無形の力を構成する重要な要素であるとともに、その影響によって、無形の力のベクトルや質などが劇的に変化することを物語っています。
ではどうすれば組織として無形の力の質をより高くする事ができるのか。
僕が思う大切な要素についてざっくりですが列挙します。
・個人の承認欲求(他の人から1人の個人として認められ、かつ自分の存在
を自分で認めている)が満たされていること。
・組織の中で自分の役割や存在意義を見出していること。
・組織の共通の認識を理解し、自身が望むものと重なっていること。
・仲間の存在とその支援に、心から感謝していること。
・組織として力を発揮するため、自分ができる最大限を尽くしていること。
これらの要素が頂点となり、多角形の図形を構成します。
各頂点それぞれの内角が大きく、また面積が広ければ広いほど、個人の人格や、自己犠牲の精神、他を認める人間性といった、内面の能動的成長を促す正のスパイラルを、より高い質で生みます。
少し難しい表現にはなりましたが、グラフを挿入するスキルがないので許してください泣
簡単にすると、
土台ができてこそ個人の内面的な成長を促す事ができます。
この内面的成長の中に、道徳的精神の成長や感情的知性の成長なども含まれ、個人の成長が組織の成長を刺激し、またそれが個人を刺激する、正のスパイラルを形成するというものです。
ちなみですが、クラスに1人は”ムードメーカー”的存在がいましたよね。
彼らは、存在するだけで周りの人を明るくできたり、楽しい気分にすることができます。
これは、無形の力発揮に物凄く貢献していると思っています。
だってそこに居るだけで誰かを笑顔にして前向きにしてしまいますから笑
こういった、楽しいムードにすることができる能力も、無形の力発揮に大きな役割を果たしていることの1つなんです。
ただそれに頼り過ぎてしまうと、その人がいなくなってしまったり、その人自身が燃え尽きてしまったりしたときに、大きな負の力が働くことを忘れてはいけません。
何事も、一方的な依存は禁物です。
話を戻しまして、
何度も書いてある通り、無形の力というのは、個人的要素と組織的要素が複雑に絡み合っており、簡単に一元的要素では言い表す事ができません。
まるで生き物のように、各個人のその日のコンディションによって発揮できる力の大きさも変わりますし、ある大きな部分で欠落が見られますと、それが原因で著しく無形の力の質が落ちたり、あるいは負の方向に大きくスパイラルを生み出すことにも、簡単につながります。
常に高い質で維持するためには、先に列挙したような基本の”栄養素”をバランスよく摂取し続けることが重要です。生き物なので笑
ここでいうバランスの良さというのは、日々の生活の中で先ほどの5つについて実感することです。どれか1つを集中的にというわけではなく、サイクルのようにグルグルと回りながらそれぞれを実感することが大切です。
そうすれば、その栄養素が次の活動のためのエネルギーとなり、より質の高い刺激を、個人にも組織にも与え続けることができると思います。
〜無形の力と目に見えない立役者〜
無形の力の効果は本当に無限大で、
力が正の方向に大きく働くことで、同じ疲労でも感じ方が180℃変わったり、逃避反応をするところで真っ向から向き合えたりと、とてつもないスパイラル効果を生む事ができます。
その結果、冒頭のジャイアント・キリングのように、テクニックを運動量や連携などでカバーしたり、ここぞというところで自分や仲間を信じたプレーができるようになるんですね。
(あ、これは無形が無形を刺激しているスパイラル...これも1つの例かな?)
少ない力で大きな成果を残すチームというのは、このスパイラル効果を最大限に発揮できています。
みんながそれぞれお互いの得意分野と苦手分野を理解し、カバーし合うことでミスをミスのまま終わらせない、むしろそれがお互いの信頼を深め合うところまで力を発揮しています。
しかも、上下関係の枠を超えて一つの目的達成に邁進することができています。
そんな職場で働けたら、毎日爽快ですよね。
アクション映画で出てくる精鋭チームみたいな笑
では職場の人間関係やチームスポーツなどで、どう活かせばいいの!?
という話になるんですが、
正直なところ、今は自分でまだそれらしい答えが見つかっていません。
なんとなくではありますが、組織を束ねるリーダーのポジションに就く方、もしくは1人でも部下を持つ先輩の立場にある方などが、”無形の力”の重要さに気づき、また素直な気持ちで学び、体現していく必要があるのではないかとは思っています。
また、上下関係はあれど、同じ目的に向かって進む仲間であるということを常に証明し続ける姿勢も大切だと思います。
やはり上のポジションに就く方の影響力は、他に比べて大きいですよね。
そういう方が率先して根性論を展開してしまったり、メンバーの心のモヤモヤに気付いてあげられなかったりすると、下にいる方の忠誠心や帰属意識は気づかないところで崩壊を始め、気づいた時には時すでに遅し...ということになってしまいます。
それを防ぐ方法としては、
雰囲気の大きな下落を避けるために、適切な評価制度を設けることや、
評価する方が日頃からしっかりと、誰がどのような貢献をしているのかを
理解しておくことが大切なのではないかと考えています。
無形の力を発揮するには、
「個人のエゴを超えて組織に貢献しよう、そして全員の成果として喜ぼう」という気持ちが、一人ひとりに浸透することが重要です。
そのためには、目に見える数字や利益などだけで評価するのではなく、
なぜその人がそのような成果を残すことができたのか、
誰が陰ながら支えていたのかというところまで
しっかりと把握することが、大きな分かれ目になると思います。
先ほど挙げた”ムードメーカー”のような精神的支柱を担う人は顕著な例です。
「彼がいてくれたからこそ、誰かが前向きになれた。」
その貢献は適切に評価されるべきです。
彼らは見返りを求めてムードメーカー的存在になっているのではありません。
しかしながら、その貢献をちゃんと認められるのと、”いつものキャラ”と言って放置されるのでは大きな違いがあります。
誰だって感情がありますし、褒められれば嬉しくなるものです。
そういった”承認”から始まり、より良いスパイラルが生まれていきます。
〜まとめ〜
多くの方は、無形の力をただの精神力や団結力と同じものとして捉えがちですが、実はもっともっと複雑です。
個人の問題と思いきや、実は相手と一緒に創らないといけないものなので、一人ひとりの自覚だけでは得られない力なんですよね。
いくら個人に呼び掛けても、それだけでは大きな力を得られません。
全体的なチームプレーであり、個人プレーではありません。
きちんと順序を守って、相互依存の関係に進むことが大切だと思います。
それがあって初めて”表面的な結果”として個人の能力がより良い形で発揮されるように現れてきます。
ただ、これはあくまでも結果であり、組織としての本当の価値は、それまでのプロセスの中にあります。
さらに多様化が進む現代においては若い世代を中心に、何事も複雑さが日に日に増していると言っても過言ではないと思います。
テクノロジーだけでなく、人間の内面的世界でも複雑さが増し、これまでになかった新しい問題が次々と生まれる今日の世界では、やはり状況に合わせた適切な対応が必要になります。
僕がここで述べた持論についても、ある一定の条件が整った場合のみになるでしょうし、その条件について自分で理解できていない分、かなり未完成な持論ではあると思います。
とりわけチーム作りや人間関係にまつわるトピックでしたので、正直これという答えはないと思っています。
十人十色という言葉があるように、10の組織にはそれぞれベストな10の解決策があるはずです。
でも、こうした目に見える力と目に見えない力について深く理解することが、誰かの可能性を引き出し、さらには組織の可能性を引き出すことに繋がるのではないでしょうか。
組織の持つ力を最大限発揮するには?
今後も僕の中では永遠の課題になるでしょう笑
最後までお読みいただき、ありがとうございました!