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書籍分類/IT技術書ではないけどITエンジニアに役立つ本

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IT技術書ではないけどITエンジニアに役立つ本の紹介記事です。
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2023年7月の記事一覧

読書メモ:客観性の落とし穴/村上靖彦

本の概要『客観性の落とし穴』 データによる可視化や比較の問題点が語られている。現代社会によくある数値化は結果的に良くない影響もあるという主旨であり、「統計は集団に対するラベル付けであり、個人の数値とは別物であるため、数値の比較にこだわるべきではない」とか、「ヒトが可視化・比較をすることを選ぶようになって、あるいは可視化・比較できるような仕組みを作ったことで、便利になった反面でこれができることの弊害が社会に悪い影響を与えている」といった指摘がされている。 全編を通して客観性

¥300

蔵書紹介:データサイエンティスト・ハンドブック/丸山宏, 神谷直樹, 山田敦

本の概要『データサイエンティスト・ハンドブック』 統計分析や機械学習の基礎的な計算理論や方法論について図表を使って浅く広く説明されている。どちらかといえば入門向けのつくりになっているが、説明の表現がお堅いので難易度は高いようにも思う。概念設計くらいのレイヤーを扱っており、実装のレイヤーは扱っていないように見える。データサイエンスだけでなく、BIツールのようなデータマネジメントやデータアナリスト方面の記載も含まれている。本書は世間的にはあまり評価されていないようだが、書かれてい

蔵書紹介:IBMを強くした「アナリティクス」 ビッグデータ31の実践例/Brenda L. Dietrich, Emily C. Plachy, Maureen F. Norton

本の概要『IBMを強くした「アナリティクス」 ビッグデータ31の実践例』Brenda L. Dietrich (著), Emily C. Plachy (著), Maureen F. Norton (著), 山田 敦 (翻訳), 島田 真由巳 (翻訳), 米沢 隆 (翻訳), 前田 英志 (翻訳), 高木 將人 (翻訳), 岡部 武 (翻訳), 池上 美和子 (翻訳) IBM社の業務課題に対するデータアナリティクスの取り組みの事例が紹介されている。業務の背景や取り組みの方法

蔵書紹介:エンジニアリング組織論への招待/広木大地

本の概要『エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング』 エンジニアリングの組織論について体系的・多面的に書かれている。アジャイル開発、心理的安全性、不確実性、技術的負債、OKR(目標管理)など実務的なテーマを幅広く扱っているため、プロダクトマネージャーや経営層・管理職、チームを良くしたいと考えている人なら役に立つだろう(たとえそれがマネジメント以外の立場であっても)。 購入経緯と読書状況SNSで高く評価されているクチコミをよく見たため購

蔵書紹介:やり抜く力 GRIT/アンジェラ・ダックワース

本の概要『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』アンジェラ・ダックワース (著), 神崎 朗子 (翻訳) やり抜く力が重要であるというグリット理論が書かれている。グリット(GRIT)は才能によらずに成功するための心理特性で、Guts(度胸)、Resilience(復元力)、Initiative(自発性)、Tenacity(執念)の各要素の頭文字を取って付けられている。著者はグリット研究の第一人者の心理学者で、本書はビジネス書

蔵書紹介:問題発見プロフェッショナル―「構想力と分析力」/齋藤嘉則

本の概要『問題発見プロフェッショナル―「構想力と分析力」』 本書は問題解決の前段階にあたる問題発見のためのテクニックが説明されている。具体的には問題発見の4P(※)や MECE、トレンド分析、相関分析、パレート分析などの多くの方法論について書かれている。問題の洗い出しとその可視化や評価ができるようになるだろう。コンサルタントやエンジニアによる上流工程での活用が想定される。 (※)問題発見の4P:Purpose・Position・Perspective・Period(マーケテ

蔵書紹介:問題解決プロフェッショナル―「思考と技術」/齋藤嘉則

本の概要『新版 問題解決プロフェッショナル―思考と技術』 問題解決のための2つの思考(ゼロベース思考と仮説思考)と2つの技術( MECEとロジックツリー)について説明されている。本書もコンサルタントによく読まれている定番書で知名度が高い。エンジニアでも上流工程・要件定義、設計などに活用できるだろう。 昨日紹介した『考える技術・書く技術』とは共通点が多く、書店や本棚ではよく一緒に並んでいる(ダイヤモンド社によるコンサルタントのテクニックを学べるA5サイズ・ハードカバー本)。し

蔵書紹介:考える技術・書く技術/バーバラ ミント

本の概要『考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則』バーバラ ミント (著), Barbara Minto (原名), 山崎 康司 (翻訳) ロジカルシンキングのフレームワークの一つであるピラミッドストラクチャーについて説明されている(本書の翻訳ではピラミッド構造と呼ばれる)。ドキュメンテーションやプレゼンテーションにも通じるテクニックであり、頭脳労働者であれば仕事の質や効率を上げるために学習すると良い。特にコンサルタントによく読まれている定番書・原典であり、知

蔵書紹介:アジャイルサムライ−達人開発者への道−/Jonathan Rasmusson

本の概要『アジャイルサムライ−達人開発者への道−』Jonathan Rasmusson (著), 西村 直人 (監訳), 角谷 信太郎 (監訳), 近藤 修平 (翻訳), 角掛 拓未 (翻訳) アジャイル開発の方法論を学ぶときの定番の一冊。アジャイルに関わるなら本書を読んでいないとモグリ扱いされてしまう、というくらいの定番になっている。内容はかなりの骨太で難しい。また、本の厚さはあまりないが、中身の紙が薄いので見た目以上にボリュームが多い。 アジャイルの手法は一般的なウォー