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SNSとテスト正答率の相関を真面目な顔をして分析する文科省、あるいはマスコミこそ何かが低下しているのかもしれない


全国学力調査

先日、4月に実施された全国学力調査の結果が公表されました。

このテストは全国の小6と中3を対象に実施された学力調査(国語と算数・数学2教科)で、同時に生活状況などのアンケートも実施されていました。

SNSの利用時間と学力テストの関係

その結果の中でSNSの利用時間と学力テストの結果に言及されている報告がなされています。

SNSや動画視聴に費やす時間が2022年度と比べて延びていることが明らかになった。さらに、これらの時間が長くなると平均正答率が低くなる傾向もみえた。
(中略)
また、SNSなどの使用時間と、各教科の平均正答率も調べた。どの学年どの教科でも、使用時間が長いほど、正答率が低くなる傾向がみられた。特に差があったのは中3数学。使用が4時間以上のグループと30分より少ないグループでは、平均正答率が18.5ポイント違った。最も差がなかった中3国語でも、12.3ポイント差があった。

まずこの結果に関して言えば、調査するまでもなくあまりにも明らかでありどうして鬼の首を取ったかのように報道がなされているのか全く意味が分かりません。

SNSに可処分時間を取られているために、視聴率の低下や新聞購読者数の減少に悩むレガシーマスメディアのネットに対するやっかみがその根底にあるのかもしれません。

相関性は必然

まず確認しておかなければならないのは、本アンケートで判明したのはSNSと学力の相関関係が存在するという事実だけです。すなわち、SNSを利用する時間の長い子供ほど調査の正答率が低い、という相関性のみなのです。

こうした記事を読んだ人が誤認しやすいのが、「SNSを使うほど学力が下がる」、「SNSは脳の働きを低下させる」といったロジックです。

ところがここではSNSの利用前と利用後による脳機能の測定やそうした現象を引き起こす原因物質などについても調査をしたわけではないのです。

あくまでもSNS長時間利用者の正答率が低いという事実が存在するということだけが判明しているのです。

そう考えれば、この結果はむしろ必然でしょう。SNSを長時間利用するような家庭の子供は保護者の学習管理、生活管理がきちんとできていない家庭である可能性が高くなります。そうした家庭の子供の学力が高いケースは少なく、当然ながら正答率は低いはずです。

そうした分析も記事内には存在します。

「スマホなどを持っていない」グループは、使用時間が「30分未満」グループよりは平均正答率が低かった。文科省によると、持っていないグループは、所得や学歴といった「家庭の社会経済的背景」(SES)が低い可能性があり、高SESグループよりは平均正答率が低くなる傾向があるという。

結局のところ、この調査はスマホというよりも、家庭環境や所得と学力の相関性に注目した方が良いように感じます。

文科省か、マスコミか

正直な話、この記事に書かれていることを文科省やマスコミが本気で文面通りに分析しているとすれば、彼らの何らかの低下を心配せずにはいられません。また、仮にこれを分かっていながらポジショントーク的に(文科省は経産省主導のアンチGIGAで、マスコミはネットへの競争心から)公表したとすれば、モラルか羞恥心の低下を疑う必要があるかもしれません。

現場の教員はこうした生徒の環境を外的に変化させることは不可能です。また現状を受け入れた上で、指導に生かすしかありません。そう考えると、いかにスマホやタブレットの使用やSNSの利用をコントロールするか、その術を生徒に伝えていくかということがこの記事から得られた結論なのではないでしょうか。

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