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少子化対策に有効なのは子育て支援ではなく、若年時婚姻優遇という暴論


進む出生率低下

日本の出生率が低下の一途をたどっている。

2024年6月5日、厚生労働省が2023年の「人口動態統計」を発表した。それによると、1人の女性が産む子どもの数の指標となる「合計特殊出生率」は1.20となり、8年連続で過去最低となった。また、都道府県別でみると、東京都が0.99と全国で最も低い数値であったという。

こうした状況を受け、岸田政権では「異次元の少子化対策」なる政策が打ち出されている。

そしてその中身の本丸が「教育費無償化」や「子育て支援の充実」といったものである。ところがこれらが少子化対策に対して効果が低いのではないか、という疑問の声は少なくない。

教育費無償化は少子化対策にならない

一見すると教育費無償化は少子化対策に最も効果的な政策に見える。事実、結婚を不安だと感じる人のアンケート回答には子育てや教育費への不安という理由が必ず上位に上がる。

記事内にも以下のような内容が載せられている。

・1950年以来すべての国で減少している世界の出生率は、今世紀末まで急落し続け、その結果、深刻な人口動態の変化が起こる。出生率は、1950年の4.84から2021年には2.23となり、2100年には1.59まで下がり続ける。 ・育児補助金、育児休暇の延長、税制優遇措置など、一部の国が実施している出産促進政策の効果も調べた。その結果、出産促進政策が実施された場合、女性1人当たりの出生数の増加は0.2人以下であり、強力で持続的な回復を示唆するものではなかった。

教育費無償化など、子育て支援をいかに充実させたとしてもそれが出生率低下につながらないことは欧州各国の例を見ても明らかです。(移民の受け入れによる出生率上昇はある)

こうした結果を受けて、識者には婚姻率の低下こそが出生率の低下の原因であるという分析をする向きが存在します。

婚姻率の上昇策はあるか

では婚姻率を上げる、特に若年層の婚姻率を上げることは少子化対策に効果がある場合、どのようにすれば婚姻率は上昇するでしょうか。

これはあくまでも私見ですが、一つは婚姻による奨学金の返済免除制度です。

2、30代の若者にとって大きな負担となっているのが奨学金の返済です。例えば20代以下での婚姻に限定して奨学金の返済が軽減、免除されるとした場合、若いうちに結婚をしないと損、というバイアスが発生するのではないでしょうか。

また同様に結婚から10年間の所得税などの軽減なども考えられます。実際、住宅ローン控除は住宅購入の動機に大きな影響を与えることを考えると一定の効果が見込めるはずです。

人間は利得を得ることよりも損益を回避することを重視する傾向があります。結婚を先延ばししている人の場合、早く結婚していれば手に入ったはずの権利を放棄することになります。この拒絶感から早婚への推進剤の効果も期待できるのではないでしょうか。

教育費無償化、子育て支援充実は経済政策

とはいえ、教育費無償化や子育て支援充実に意味がないわけではないでしょう。物入りな子育て世代において大きな負担を軽減することは第3子へのバイアスとしては考えられるでしょう。

しかしこれらの政策の本丸は少子化対策ではなく、経済政策でしょう。子育て世代の可処分所得を増やし、経済を活性化させることそのものに期待をすべきではないでしょうか。
(子育て世代の私のポジショントークという側面も存在しますが)

まとめ

出生率低下という深刻な問題に対して、教育費無償化だけでは十分な対策とは言えないのは明らかです。むしろそれは経済的な効果が優先される政策であり、少子化対策に対して副次的な効果しかないでしょう。

未婚者にとって教育費無償化や子育て支援はあまりにも縁遠い政策であり、婚姻を意識させる要因としては不十分です。その一方で結婚を一旦してしまえば、子供を産む可能性は高いのが現状における日本の空気感です。

この空気感の内に婚姻奨励策をいかに充実させるかが少子化対策なのではないかと思うのです。

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