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全国集会で「平和の種まき」ー労働組合が抱える矛盾


第74回教育研究全国集会が終了

日本教職員組合(以下、日教組)が主催する第74回教育研究全国集会が1月26日、終了しました。この集会は基本的に毎年行われている日教組の集会です。

今回は「全ての子どもの豊かな学びを保障する」とのアピールを打ち出して実施され、1万人の超の教員が参加し、500本のリポートを基に議論があったとあります。

内容に関する違和感

このニュース、そして記事に違和感を抱かない人がいるとすればそれは日教組文化にしっかりと染まった人か、あるいは日教組という組織を最初からこうしたものだと認識している人でしょう。

その違和感とは、打ち出されたアピールやリポートの中身に関してです。なぜならば、これらのほとんどが教育活動の内容や取り組み、方針についてのものであり、労働環境改善や部活動地域以降などの労働問題に関してのものではないからです。

一般的に考えると、労働組合の集会で議論のテーマになることは労働者の賃金や権利、待遇改善に関する内容であるはずです。これは民間で考えれば一目瞭然です。例えば大手メーカーの労働組合がより良い製品のための技術開発に関して議論や、企業や製品の広報活動に関しての現状報告を行うでしょうか。

ところが教員の場合、「労働組合」の集会であるにも関わらず、そこで行うのは教育活動の報告会ないのです。どう考えてもこれは労働組合の体を為していないのは明らかでしょう。

いまだに左翼活動に熱心な日教組

この集会に関して、日教組のホームページにも開催の報告が掲載されています。

以下サイトからの引用です。

今年、戦後80年を迎える節目の年を前に、日本被団協が2024年ノーベル平和賞を受賞したことは大きな喜びであり、改めて「教え子を再び戦場に送るな」の不滅のスローガンのもと、引き続き平和教育の実践研究を推し進めることを決意すると述べました。

「教え子を再び戦場に送るな」をいまだに使い続けています。周辺諸国やロシア情勢が緊迫している中で、お花畑の世界を歩いているように見えるのは気のせいでしょうか。

記念講演に関しても以下のようにあります。

 記念講演では中村涼香さん(元高校生平和大使 KNOW NUKES TOKYO共同代表)と畠山澄子さん(ピースボート代表)が「戦後80年、今、未来に伝える平和」をテーマに対談しました。対談の最後には、「教職員や身近なおとなが、一生懸命伝えようとしていることは、必ず子どもたちの心に残ります。学校で平和教育を続けることは大変です。私たちも応援できることがあれば応援したいと思います。みんなで社会のあちらこちらに平和の種まきを一緒にやっていきましょう」と日教組組合員へのメッセージをいただきました。

あまり良い評判を聞かないピースボート代表と左翼活動家として最近頭角を現している「元平和大使」との対談です。労働組合の取り組みなのに「平和の種まき」がメッセージというのはなかなかに興味深いところでしょう。

日教組とはどんな組織か

そもそも日教組とはどんな組織でしょうか。

正式名称は「日本教職員組合」、学校職員の労働組合の連合体です。設立当初は旧社会党、共産党を支持する団体でしたが、共産党系が全教組として離脱して現在の形となっています。

君が代斉唱や国旗掲揚に対する反対の立場を示している、左翼的教育を推進する立場であったことから、近年は一般の国民の中には反感を感じる人が少なくない状況となっています。そのため教員の入会者も減少の一途をたどっており、現在は2割弱にまで組織率が低下しているようです。

本来の目的を見失った組織の末路

日教組に関して、今後も組織率の低下が進むのは間違いないでしょう。今回の全国集会で表に出ている情報を見る限りでも、現場教員が入会したい、助けになると考えにくい内容が多く、また思想が特定の方向に偏っているため広く入会者を募ることは難しいでしょう。

特に昨今の若者は思想的にバランスを重視したり、あるいは国粋主義的な人も少なくないため、日教組とは相いれないケースが多いように感じます。

公立学校に勤務する知人の話を聞く限りでは、労働問題に関して多少の働きかけはあるし、力になってくれることも稀にある、ということのようですが、政治色の強い団体に入会するのをためらう人が多いのが実際のところのようです。

現在における教員の労働環境が表面化する以前に日教組が本務に立ち返っていれば、教員の労働問題や教員不足はここまで大きな社会問題とはならなかったようにも思います。

設立目標を見失った組織の末路こそが、まさに現在の日教組なのでしょう。せめてもう少し労働問題に傾注する方向性へ舵を切るか、新たに労働問題に関しての組合組織が設立されることが望まれているのではないでしょうか。

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