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東工大の「女子枠」からアファーマティブアクションによる逆差別問題を考える

つい先日、東京医科歯科大学との統合が発表された東京工業大学が、今度は別の問題で話題になっています。

2024年度の入試から女子枠として、総合型や推薦型において女子枠を導入し、全体で10%強を女子枠を設定するというものです。

入試の概要

以下は総合型の募集人員の一覧です。

東京工業大学 プレスリリースより

理学院、工学院は男子は受験不可となっています。

また、もともと女子学生の志望者が少ない理学系や工学系の機械や電気を中心としたテコ入れであることが見て取れます。

女子優遇制度が逆差別ではないか、という批判

こうした東京工業大学の女子優遇制度に関しては、逆差別に該当するのではという批判もあります。

総合型選抜と推薦型選抜のうち、60%以上が女子枠となっており、明らかに男子の受験生にとって明確に不利となる入試形式です。

また、この制度の場合、全体に入学者の14%が女子優遇制度からの入学者となります。
(実際にはここに一般入試組の比率を加えるので、20~30%の女子比率となると予想されます)

そもそも、東京工業大学のこうした制度を利用しない現時点での女子比率は学部生でも15%程度を維持していて、工学系大学としては極端に女子比率が低いわけではありません。

一方で、東京大学の場合、女子比率は全学部生で20%、工学部の場合は12%、理学部の場合は10%となっています。

数値として見ると、東工大が極端の女子比率が少なく、その是正のための制度とするには極端な比率であるのがわかります。

そして、この制度の制度入学をすることができない男子学生が一定数発生することは間違いないでしょう。

アメリカでのアファーマティブアクションの例

アメリカ、カリフォルニア大学では1973、1974年に受験したアラン・バッキという白人男性が大学を訴えています。

この裁判では大学が人種という要件が大学入学要件としては認められるが、16%という具体的な数値枠を設定することは違法であるとして、バッキは入学が認められています。

日本における大学入試の場合、具体的な数値を上げているため今回の東工大の件に関しても訴訟となった場合、どういった解釈がなされるか興味深いところです。

九州大学の前例

2010年、2012年の入学試験において、理学部数学科の後期試験において、9人の枠のうち5人を女性枠とすると発表しました。

ところが、この発表の1年後、2011年に大学側は中止を発表します。

中止に関して、大学側は専門家からの法の下の平等の観点から疑義があるといった指摘や、女性枠で入学した学生が「女性枠」というレッテル張り避けることを理由として挙げています。

着地点はどこか

果たして、今回の東工大の新制度がどういった結末となるかはまだ不透明です。

2018年度に起こった、女子の点数を下げるという医学部不正問題は女性という理由で点数を下げて入学者を選別していました。

これに対し、男女逆であるとはいえ、女子枠を確定的な数値として設定するアファーマティブアクションがどこまで認められるのか、今後の動きが気になるところです。

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