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みんなのための空間ってなんだろう。
公共性はそこに集う人々の意識によって形成される。
じゃあ公共性を高めるために場の管理者が寄与できることってなんだろう。
このあいだ職場の映画館で起きた出来事で、うーんと考え込んだ。
この日はずーっとこのことについて考えたし、
スタッフとも意見交換したけど
結局、これだ!という答えは出なかった。
映画館スタッフとして出来ること
じゃあ障がい者の方や小さい子どもは映画館には来てはいけない、もしくはクレームがあれば強制退出させられるべきなのだろうか。
僕はどんな人でも映画館で映画鑑賞を楽しむ権利があると考えているし、誰かにとって「周りのお客様の迷惑になることを考慮して行きづらい場所」という認識があるのなら、それを変えたい。
今回のことを踏まえて「迷惑になるかもと感じているお客様」と「その他のお客様」の双方にネガティブ要因を埋める提案が必要だと感じた。
1|「その他のお客様」への提案
まず「その他のお客様」の映画鑑賞体験をなんらかの問題で著しく阻害してしまった場合、鑑賞料金の全額返金、もしくはご招待券の進呈が可能であることを劇場ウェブサイトや館内に掲載・掲示し、誰もが知れる状態にする。
これにより「ごねた人だけが得をする状態」をなくし、誰もがこの選択肢を選ぶことができる。
よくある【ご満足いただけない場合は全額返金します】制度だ。
2|「映画館に行きづらいと感じているお客様」への提案
毎月1回でもいいから定休日である水曜日などに【そういったお客様と付き添いの方だけ、もしくはそういうお客様優先の上映】を実施すること。
例をあげるなら【障がい者限定上映会】や【小さいお子様連れ限定上映会】など、いわゆるバリアフリー上映に近いもの。
とはいえそれって差別じゃね?
どちらか片方だけを救済するような措置だと、もう片方を切り捨てることになりかねない。双方にもっと良い提案ができるはずだし、豊岡劇場はそういう場でありたいと感じた。
とはいえこれって「同時間・同空間に多種多様な人たちが混在すると、干渉するから隔離しようぜ」ってことじゃん。
そんな方法にしか行き着かない自分にうんざりするし、結局はその他のお客様が大多数だからそっちのニーズを優先しようぜって結局差別じゃね?
誰もが映画文化に触れられる場所=映画館?≠公共の場?
映画館は「誰もが映画文化に触れられる場所」であってほしいなー。
過去の失敗からも、日々そう思いながら映画館運営に携わっている。
今回の出来事があってから、公共性はそこに集う人々の意識によって形成されるという側面を改めて認識した。仮に今回のような状況を他のお客様が許容するなら、それでも良いのかもしれない。
管理者として望むのは全てのお客様が快適に映画体験できること。
何を迷惑と感じるかの基準はお客様のなかにあって、運営側がコントロールできるものではない。だからといって劇場側がその基準設定を放棄してしまってもよいのだろうか。
これを解決するには「映画体験とはなんなのか」をもっと突き詰める必要があるし、劇場としてのスタンスをある程度定めないといけない。時には苦渋の決断を迫られる時もある。
公共性を高めるために場の管理者が寄与できることってなんだろう。
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