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「仮想通貨的な何か」Lineage リネージュ 昔話007

※ちょっと体調が悪いのですが、毎日アップを途絶えさせたくなく、急ぎで作った記事をアップします。後で加筆修正する可能性が高いです。
追記:ちょっとずつ修正しております。
 
 記事の中で何度かRMT(RealMoneyTrade)という言葉を出していますが、当時のRMT事情について、私が知る範囲で書いてみたいと思います。

 RMTというのは、ゲーム内のアイテムや通貨を、現金で売買取引することを言います。

 このRMTは公式では禁止行為にしているゲームが多いと思います。
 ただ一括りに禁止行為とは言っても、運営が積極的に取り締まり、発覚すればアカウント停止・キャラクター削除などの処置を取られるものから、事実上黙認されているものまでさまざまです。

 RMTはほとんどのゲームでは事実上黙認状態だと思います(RMTそのものやその仲介・エスクローを事業として行っている会社があるほどです。)。
 理由としては、運営側がそれを把握することが非常に難しいからではないかと思っております。

 例えば引退して装備品をすべて売るというケースを考えてみましょう(ちなみに私は引退者のアイテム一式を60万円で購入したことがあります。自分で使うために購入したわけではなく、すぐに合計110万円ほどで売りさばき、50万円ほどの利益を手にしました。)。

 理由などは割愛しますが、通常は先にお金を銀行振込などで支払うことが多いです。
 その後、メールやチャットツールで、お互いがアイテム受け渡しに使用するキャラクター名を伝え、受け渡しを行う日時とゲーム内での場所の約束をします。
 約束した日時になれば、売主のキャラクターが買主のキャラクターに対して、(多くの場合は高額な)装備の全てを無償で渡します。

 このうち、運営側が把握できるのは、ゲーム内通貨などの対価を支払うことなく、アイテムの受け渡しが行われたということだけです。
 ゲーム外でお金のやり取りがあったかどうかは把握できません。

 つまり引退した方が、友達や家族に装備をあげた場合とRMT行為は、運営側からは、ほぼ見分けがつきません。
 その他にもゲーム内で対価を受け取らずにアイテムなどを受け渡すことはしばしばあります。仲間内での装備やゲーム内通貨の貸し借りなどもありますし、ゲーム内での後輩のような人にお下がりの装備をあげたりすることもあります。
 またチームのリーダーが、アジトの家賃や戦争費用などの運営費をメンバーから徴収している場合もあります。
 少し特殊なケースとしては、異性(場合によっては異性になりすましたプレイヤー、いわゆるネカマやネナベ)にアイテムを貢いでいるなどという場合もあります……
※仲間内にあまりにも貢がせることがうまく「プロのネカマ」と呼ばれている男がいました。

 またゲーム内通貨と日本円の間の相場がどのように決まるかですが、世の中にある他の商品と同様、需要と供給のバランスで決まります。
 基本的には月日が経過するごとに、ゲーム内通貨の価値が下がっていきます。
MMORPGは多くの場合、徐々に強さのインフレ化が進みます。それに伴って、ゲーム内通貨もインフレ状態になっていくのです。

 例えば私がRMTという行為を初めて知ったころ(リネージュJP2カノープスサーバーの割と初期、黙殺同盟がすべての城を所有していた頃です。)。
 1M=100万アデナは23000円でした。私がRMTを最後にやった際は1Mが8000円程度まで値下がりしていたと思います(リネージュから離れて久しかったのですが、引退する友人に頼まれて、RMTの代行をしました。)。
※なお投稿後、現在(2021年6月23日)の相場が気になってRMT関係のサイトを見てみたところ、5億アデナ=500Mを31432円で販売している方がいました。1Mあたり63円。約20年前の100分の1以下の価格ですね。

 つまりここには先行者利益のようなものがあるということです(新しいゲームやサーバーができると、そこで一気に稼いで辞めるという人も中にはいました。)。
 知人で最も稼いでいたであろう方の1人から、1週間に100万円のペースで稼いでいた時期もあると聞いたことがあります。

 そこまで極端でなくても、引退して装備を売ったお金で車を買ったというような話であれば、複数の方から聞いたことがあります。
 一番印象に残っているのが、「リネージュのやりすぎで大学を留年することになったので自主退学し、すべての装備をRMTで売却して得たお金を、パジェロの新車購入費用と、公務員試験予備校の学費に充てた。」という方です。
 その後、実際に公務員試験に合格し、地方都市の市役所の職員として働いていました(ゲーム内で最強のボスモンスターであった火竜ヴァラカスをたった6人で倒す方法を見つけ出し、メンテで修正されるまでの1週間の間、ヴァラカスを乱獲した後に引退されたのです。)。

 カッコ悪い例としては、リネージュのやりすぎで仕事をサボってクビになり、ゲーム内の知人から借りた装備を勝手に売却して、家賃に充てたという人もいました(この方はそのまま引退することになりましたが、最後にゲーム内でお詫びの手紙を遺していきました。)。

 RMTは直接関係ないのですが、男気を感じた逸話としては、RMTをしていたと噂される、有名韓国人プレイヤーの話があります。
 日本サーバーでのプレイを辞めることにした彼が、日本で所属していたチームのリーダーに世話になったからと、高額アイテムの1つをプレゼントしていったというのです(ちなみにリネージュは韓国産のMMORPGであり、韓国が本場です。)。
 売れば20万円程度になったであろう、高額だったアイテムでした(リネージュを知る方のために書いておきますと、ROTC=テレポートコントロールリングです。当時は10Mほどで取引されていました。)。 

 RMTに手を染めているプレイヤーの多くは、通常のゲームプレイで稼いだアデナやアイテムの一部を、現金に換金していたのだと思います。
 しかし私がやっていたことはそうではなく、仕入れて売るという商売でした。ゲーム内で手に入れたアイテムは、引退するそのときまでは自分で使用していました。それと並行して、仕入れたアイテムやゲーム内通貨に、利益を乗せて転売することで幾らかの利益を得ていたのです。

 私自身がどれほどの利益を出していたかの詳細は伏せますが、仮に1日8時間をRMTのために費やしていたとすると、年間利益は1000万円程度だったと思います(1日4時間しかやっていなかったかもしれませんし、10時間以上やっていたかもしれません。やっていた期間も書かないので、金額の予想はできないでしょう。)。
 ここで私が学んだことは「どんな仕事でも、自分1人で一生懸命にやれば、年収1000万円ぐらいには届くんだろうな。」ということです。

 なぜ私がRMTである程度稼ぐことができたのか、1つは詐欺行為に対するリスク管理の点で優れていたからで、もう1つはゲームプレイヤーとしてアイテムの相場などにもそこそこ深い知識を持っていたからだと思っています。
 まずRMTは詐欺行為の温床でした。お金を振り込んだけどゲーム内でアイテムがもらえない。またはアイテムを先に渡したのにお金が振り込まれない。そのような話を頻繁に見聞きしていました(そのため、詐欺をどうにか避けたいという方が多く、RMTを扱う会社がマージンを取っても成り立つのだと思います。)。

 私には若干の法律に関する知識があったことも手伝ってか、仕入れをする際に詐欺にあうことは一度もありませんでした(ミナミの帝王とかナニワ金融道が大好きなのです)。
 一見あやしそうに見えても、実際は詐欺ではないという取引を見つけ出して、仕入れにつなげることができました。そして売却をする際は、優良な固定客を複数抱えることで、安全に売却をしていました(詐欺の温床ということは、購入する側からしても、取引したことがある方から買う方が、安心できるということです。そう、若干割高な価格設定であったとしても。)。

 ゲーム内の知識は、アイテムやゲーム内通貨の価格変動を敏感に察知することに役立ちました。
 予定されるアップデートの内容から、需要が高まるアイテムなどを予測することができたのです(単純な例を1つ挙げると、新しい装備の追加が予定されている場合、防具強化スクロール・武器強化スクロールという、アイテムの強化をするアイテムの需要の増加が容易に想像できます)。
 私以上にそういった方面や数字に詳しい人で、まるでアービトラージ(裁定取引)のようなことを、ゲーム内で行っている方もいらっしゃいました。

締めくくりに

 MMORPGであるリネージュにハマる前、私はTCG(トレーディングカードゲーム)にハマっていました。
 日本ではTCGというと遊戯王やポケモンカードゲームの方が知名度が高いかもしれません。私がプレイしていたのはMagic:TheGatheringという、世界で最初に作られた米国産のTCGでした。

 10代後半のとき、"よっさん"というあだ名の友人とこんな会話をしたことをよく覚えています。
私「よっさんはバイトとかせえへんの?」
よっさん「バイトするぐらいなら、カードを売るなあ(アメリカから仕入れて)」

 実際によっさんは中学生か高校生の頃から、カードを個人輸入していました(私は成人してからですが、トランプを個人輸入して、ヤフオクなどで転売していたことがあります)。
 クレジットカードを持っていないので、国際為替?というものを使っていたような記憶があります。

 これは私にとっては衝撃でした。なんとなく、いずれ皆、企業に勤めてサラリーマンになるものかと思っていましたが、それ以外の稼ぎ方もあるということについて、10代にして実感を持つことができたのです(何しろ同じ年の友人が実践しているのですから。)。
※なお、よっさんは18歳のときに「まずはメガバンクに勤めて、30歳ぐらいになったら辞めて経営コンサルタントにでもなろうかと思っている。」と語っていました。
 実際に大学卒業後にメガバンクに就職した彼は、一度趣味に関連する企業に勤めた後、経営コンサルタント的な士業の仕事をしています。

 RMTは私にとって、たった1人で商売をやるという良い経験になりました。
 今は個人事業主として仕事をしておりますが、当時の経験が少しならず活きていると感じております。

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