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『金沢 洋食屋ななかまど物語』 -上田 聡子- を読んで

あらすじ

金沢にある老舗洋食屋「ななかまど」。

店を継ぐことが夢の娘・千夏は、母の言葉を胸に父を手伝いながら店を守っていました。

そんな千夏には恋する相手、東京に帰ることが決まっている美術を学ぶ大学院生・丹羽。

一方で、父が婿候補として連れてきた新しいコック・紺堂は、千夏に想いを寄せており、彼もまた店を一緒に守っていこうとしています。

恋愛と店の将来、その二つの間で揺れ動く千夏の選択は、金沢の美しい街並みを背景に描かれる純愛物語です。


感想

『金沢 洋食屋ななかまど物語』は、古都・金沢を舞台に、洋食屋を継ぐ夢と恋愛の間で葛藤する千夏の物語が優しく描かれています。

千夏が抱える恋愛と店の二つの大切なものを天秤にかけ、悩む姿には共感を覚えました。

登場人物は皆好意的で、特に父親の「婿にコックを」といった設定が少し古風ながらも温かく描かれている点も、この物語の魅力です。

ストーリー自体はシンプルですが、それがまた親しみやすく、登場人物たちの心情に寄り添うことができます。

特に、若くして人生の大きな決断を迫られる千夏には、応援したくなるでしょう。

軽いタッチで読める一方で、選択の難しさや後悔のない生き方についても考えさせられる部分があり、深い余韻を残す作品でした。

どんな人におすすめか

『金沢 洋食屋ななかまど物語』は、恋愛と家業の間で揺れ動く若者の葛藤に共感できる方、また古風な設定の純愛物語を楽しみたい方におすすめです。

特に、夢や家族を大切にしつつも恋愛に悩む若い女性、もしくは金沢の情緒ある街並みを舞台にした物語が好きな人にぴったりです。

軽い読書がしたい時や、温かい人間ドラマに触れたい方にもぜひ手に取ってほしい一冊です。

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