炎症のしくみ|炎症の4徴候・慢性炎症など
こんにちはSHOです。僕のnoteを読んで頂きありがとうございます。
今回は「炎症」についてです。実は人間の身体において「炎症反応」というものはよく起きているのです。
そんなことを言われてもイメージが湧かないかもしれないですが、これは人間の身体を守るためには大事な反応です。赤く腫れたら見た目も良くないし、痛みも出る時だってあるし、正直あまり良いものではありません。
・なぜ炎症反応が起きるのか?
・炎症の特徴や徴候について
・慢性炎症について
などをまとめてみます。
○炎症は何のために起きるのか?
まずはここからお伝えしていきます。
そもそも何のために炎症が起きているのかということですが、簡潔に申し上げるとしたら「損傷した組織修復のため」です。
抽象的な言い方になってしまったので例を出して話を進めていきます。
こんな感じで転んでしまい右膝を怪我してしまい、傷口から細菌が入ってしまったケースで考えてみましょう。
怪我をして、細菌によって組織が破壊・傷つけられてしまっています。例えば、自分の家が火事や地震などで破壊・損傷されてしまったケースをイメージしてほしいのですが、その時はどうしますか?
火事だったらまずは火を消すために消防車呼ばないといけない、避難しないといけない….などなど色々なことを考えると思いますが、これは人間の細胞も一緒です。細菌をやっつける、壊れた組織を排除してきれいにし直すなど色々と行うわけです。
そのためには、これらを綺麗にしてくれるための好中球などの白血球が必要となってきます。また、組織修復のためにはたくさんの栄養や酸素も必要になってきます。
ただし、これらが多く含まれているのは血管の中に含まれている血液なのでそこまで手が届かないのです。
では、どうするのか?ことになりますが、そこで損傷した組織やその近くにいる脂肪細胞は「炎症性メディエーター」を放出します。これはヒスタミン、プロスタグランジン、ロイコトリエンなどいくつか種類があります。これ結構重要なので覚えておいて頂きたいです。
放出された炎症性メディエーターは、血管壁である内皮細胞を刺激して血管内に出入りやすくします。これを「血管透過性の亢進」といいます。これは浮腫の話の際にも出てきたものです。後で出す用語ですが、慢性炎症になっている人は浮腫になりやすいということになります。
それだけではなく、血管を拡張させることもします。これにより、平常時の10倍もの血流が流れ込むと言われています。
・血管透過性の亢進
・血管拡張
この2つの働きによって、血管内から好中球や必要な成分を含んだ血漿が流出できます。
○炎症の4兆候
●腫脹
血漿がたくさん漏れ出して貯留するので、炎症部位は局所的に浮腫になります。
●疼痛
腫れによる組織の圧迫や、漏れ出た間質液に含まれるブラジキニンなどの物質により痛みが発生します。ブラジキニンも炎症性メディエーターなので、血管透過性の亢進、血管拡張作用があります。
●熱感・発赤
血管が拡張しているので炎症部位は熱を持ち、外からは赤く見えるようになります。
○マクロファージとサイトカイン
血管透過性の亢進と血管拡張で一件落着と思いきや、そうはなりません。好中球は大きいので間質になかなか入っていけないのと、そもそもそんなに数が多くないからです。
そこで活躍するのがマクロファージです。マクロファージがTNFやインターロイキンといったサイトカインと呼ばれる物質を産生します。
サイトカインは好中球が血管壁を通過する手助けをしたり、全身にサイレンを鳴らして骨髄から大量の好中球を血中に放出させます。マクロファージも好中球も細菌や壊れた組織を貪食して組織を綺麗にしてくれます。
ちなみに、サイトカインのサイレンは肝臓にも届き、C反応性たんぱく質(CRP)という物質を放出します。なので、血液検査ではCRPが炎症を疾患の指標となっています。
○慢性炎症
ちなみに、今までお伝えしてきたものは急性炎症と呼ばれるものです。一方で、病原体から異物がなかなか除去できずに低レベルの炎症反応が続いている状態のことを慢性炎症といいます。この場合は急性炎症とは様子が異なります。
急性炎症の際に活躍する白血球は好中球でした。これは短期決戦向きの白血球と言われています。慢性炎症のように長く続く場合には、長期決戦向きの白血球に変わります。具体的には、マクロファージ、形質細胞や、B細胞、T細胞、NK細胞などのリンパ球です。
また、組織の修復も長期間続くので、線維芽細胞や血管内皮細胞という修復細胞も多く存在いたします。そして、修復が長引くと硬く繊維化した組織が増えてきます。例えば、肝硬変は肝臓の慢性炎症により全体に繊維化が広がって機能低下してしまった状態です。
○アレルギーや膠原病による炎症
免疫機能の異常で炎症反応が起きることもあります。
・アレルギー疾患:花粉症、アトピー性皮膚炎etc…
・膠原病:関節リウマチ、SLEなどetc…
これらは、免疫機能と関係して起きる炎症性疾患です。
○抗炎症薬について
最後に抗炎症薬についてお伝えして終わりにします。炎症を鎮める薬です。
・NSAIDs:バファリン、ロキソニンetc…
・副腎皮質ステロイド薬
などです。これらの薬は一体どうやって炎症を鎮めているのでしょうか?
上で炎症反応を鎮める働きがある炎症性メディエーターの話をさせて頂きました。その中でも、プロスタグランジンは疼痛や血管拡張に関わる物質です。抗炎症薬はこの物質の産生を抑制する働きがあります。
また、プロスタグランジンは、中枢神経において発熱をもたらす作用も持っているので、抗炎症薬は解熱作用も持っています。
というわけで今回は炎症についてまとめてみました。慢性炎症については、別に投稿をしていくことにします、特に食品が慢性炎症に与える影響が大きいのでそれについてお伝えしていくことにいたします。
今回は以上となります。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
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