尊大なプライド/偉大な自分|自己愛性パーソナリティ障害
こんにちはSHOです。僕のnoteを読んで頂きありがとうございます。
パーソナリティ障害には色々な種類がありますが、今回は「自己愛性」についてお伝えしていきます。
○頭をどうひねっても理解ができない
本題に入る前に、自分の昔話をさせてください。
飲食店で働いていた時の話です。
大抵のお店は「ホール」と「キッチン」の2つに分かれます。ホールの仕事は主に接客並びにドリンク作成、キッチンの仕事は主に食事調理です。お互いはほぼ独立していて、互いに仕事をすることはほとんどありません。
それを前提として、こんなことがありました。
ホールがお客さまのオーダーを取ってくるわけですが、ドリンクではなく料理がどんどん入ってキッチンスタッフの仕事が大変な時がありました。
その時にあるキッチンスタッフにこんなことを言われたことがあります。
「今度キッチンの仕事をやってください」
「このしんどさを味わってほしい」
「一回経験すれば分かると思うんだよこの辛さが」
これを言われた時の僕の気持ちをお伝えします。
「なんでやねん」
これに尽きます。
だって、仕事なんだもん。与えられたポジションを文句言わず全うすべきだと僕は思うのです。
なんでホールスタッフがキッチンスタッフの辛さを分からないといけないんだ。人員不足でやむを得ず手伝うなら分かるけど、人もしっかりいてただ自分が大変な思いをしているからって他人にその苦しさを分かって欲しいというのは僕は理解ができませんでした。
「この人は、自分のことしか考えていないんだろうな」
そう思ったのです。世の中にはどう頭をひねっても理解することができないタイプの人間がいるのです。
○自分は特別な存在なんだ
さて、本題に戻ります。
【自分は特別な存在なんだ】
これが自己愛性の人が思っていることです。
こんな心の声が漏れてきてしまっているのです。このような特別であり偉大な存在である自分にふさわしい人生を夢見ているのが自己愛性パーソナリティ障害の人です。
○自己愛性パーソナリティ障害の特徴
●プライドがとにかく高い
「自分は特別」
「賞賛されて当然だ」
「だって努力してるもん、頑張ってきたもん」
このような考えを持ち、非常にプライドが高く他人に対して尊大な態度を取ります。行動や発言をするにあたり、相手がどう思うかはほとんど気にしません。
●第一印象は良いが…
容姿が良いことが多く、オシャレで服装もかっこよく着こなしているでしょう。そのこともあってか、第一印象は好感を持たれることが多いはずです。ちょっと控えめで、それに自信もなさげに振る舞うことが多いと思うのですが、それはあくまで表面的にすぎないのです。
親しくなればなるほど身勝手な部分が出てきて、隠れていた傲慢さが目立つようになってきます。自分は何もしないで、他人を都合よく顎で使ったりと自分勝手さに拍車がかかります。
●過去の栄光をよく語る
「昔俺は○○で働いて」
「あいつは昔俺の部下でさ」
「○○さんは俺の友達でさ」
とまぁ話に出るのは昔の話ばっかり。自己愛性の人は才能や能力を持っていることもありますが、過去の栄光にしがみついたり、自慢話が多かったり、根拠のないプライドを持って「自分すごいでしょ」というアピールをしてくることが多いです。
●自分が輝けないのは周りのせいだ
繰り返しになりますが、自己愛性の人は「自分は特別なんだ」と思っています。特別であるのに今の自分が輝けないのは、周りが自分のことを正当に評価しないせいだと考えます。要するに、自分が原因ではなく、他人や周りの環境のせいにするのです。
●批判は聞かない、むしろ….
自己愛性の人は、批判されることをとにかく嫌います。他人が親切心から色々と教えてくれているのに、それを欠点を指摘されていると思い込みキレたり反抗したり、暴言・暴力をもって対処しようとします。
ただし、その指摘が正論すぎたり自分ではもうどうしようもない、逃れることができないんだと分かると、人生おしまいだくらいにひどく落ち込みます。
●自分より弱い相手を攻撃する
自分より弱く抵抗できない相手に向かっていくことが多く、相手が嫌がろうが怖がろうが、そんなの関係ねぇってやつです。
なぜこう考えるのか?
それは「自分は特別な存在なんだ」と思っているからです。自分のやっていることは許されるんだ、特別なんだから当然だと思っているんです。
●対人関係を避けるようになることも
色々書いてきましたが、これを読んできてどうでしょう。正直、コミュニケーション取るのは難しいなって思いませんか?
実際そうで、対人関係で問題を起こしやすいので、自分のプライドを守るために積極的に人と関わらなくなっていきます。自分の欠点が露見するのが嫌なのです。自己愛性の人はとにかく失敗したくない、傷つきたくないのです。
●他人の幸せや成功を素直に喜べない
これは「自分が特別だから」です。私はこんなに頑張っているのに、こんなに苦労しているのに、対して努力もしてないあいつがなんで幸せになってやがるんだとか思うのです。要するに嫉妬です、嫉妬。これだとシンプルに性格が悪いので、どんどん孤立していきます。
○自己愛性パーソナリティ障害の診断基準
下記をご覧ください。
○自己愛性パーソナリティ障害になる要因
キーワードは「自己愛」です。
自己愛とは「自分を大切にできる能力」のことをいいます。少なからず誰にでもあるものだと言われていて、年齢を重ねるごとに成熟していくといわれています。成熟していくと精神医学では自分を肯定して愛することができる状態になるといわれていて、さらに、成熟すると自分以外の他者にも愛情を注げるようになるといわれています。
自己愛性パーソナリティ障害の人は、自己愛が未成熟な状態にあると言えます。自己愛が未成熟な状態とは、ありのままの自分を受け入れ愛することができていない状態をいいます。
上では「自己愛性パーソナリティ障害の特徴」ということで色々書いてきましたが、これらは幼い頃の未成熟な自己愛が自分を守るために残ったものだと言えます。このタイプの人たちの心の奥には「傷ついた自己愛」があります。
例えば架空の人物としてAさんとしましょう。
Aさんは幼い頃の母親との思い出を振り返ると、学校のテストで成績が良いと褒められて、美味しいご飯を作ってくれたりお小遣いもくれた。だけど、成績が悪い時はこっぴどくキツく怒られていたそうです。
・100点以外は0点と一緒!
・あなた、誰の子だと思っているの?
・お兄ちゃんをみてご覧なさいよ!○○大学に行ってるのよ!
・今のあなたの成績じゃ無理!
・生きている価値もない!夕食抜き!!
親からはありのままのAさんを受け入れてもらうことはありませんでした。だからAさんは必死になって頑張ってきたのです。
このようなタイプの人は「勝ち負け」にこだわるようになります。とにかく負けたくない。負けたくないから自分を誇大化させ特別な存在なんだと思うようになるのです。
もし、負けだと感じてしまったら全てを失うかのように落ち込むのもこれが理由です。何を頑張ればいいのか、負けてしまった自分に存在価値などないと思うのです。
人の能力には限界があります。できることもあればできないこともあるのです。それを受け入れることが出来ればいいのですが、自己愛性パーソナリティ障害の人は口では綺麗事を言ってたとしても本心では認めることができません。
負けるのが嫌だから、他人に認められたいからという想いを原動力として頑張ってきたという自負があるから、それをへし折られてしまったら何も残らないと思ってしまうからなのです。このように幼少期の教育課程が原因となって自己愛性パーソナリティ障害になることが多いです。
○周りの人はどうすればいいのか??
では、上のAさんの妻Bさんのケースで考えてみましょう。
Aさんは自己愛性のタイプの人なので上で書いた「特徴」の全部を持っていると仮定します。BさんはAさんに何とかして寄り添いたいと考えていますが限界が近い….どうすればいいんだと悩んでいるのです。
まず、自己愛性の人は「他人を利用することは当たり前」と考えています。
何度も繰り返しますが「当たり前」なんです。COWCOWさんの当たり前体操が流れてきそうです。
なので、Bさんがどれだけ献身的に尽くそうがAさんが感謝の意を表することはないでしょう。
何か問題なことが起きて、その原因がAさんにあったとしてもそれを認めず他人に責任転嫁します。Bさんが良かれと思ってAさんに正論を振りかざしたら、おそらくものすごい剣幕で反抗してきます。
・うるさい!!
・お前にそんなことを言われたくない!!
・誰に言ってるんだ!!
・そもそもお前がしっかりしないからいけないんだ!!
・だからお前のせいだ!!!!!
こんな感じに。
・感謝はしません
・何か意見を言えば話をすりかえて攻撃してきます
・完全に逆ギレもいいところ
要するに、通常にコミュニケーションを取ることが非常に困難なのです。真っ向勝負、向き合っても意味がないのです。
だから、Bさんが出来ることは、鏡になることなのです。
Aさんの特別さ、偉大さを映し出す鏡となるのです。鏡はそのままを映し出すからです。
Aさん:「俺ってすごいのかな?」
Bさん(鏡):「そう、あなたはすごい」
このように対応することで、自己愛性の人は「やっぱり俺はすごいんだ!!!」と自信を持ち能力を発揮できるようになります。
そうすると、AさんのBさんに対する対応が変わってきます。
「Bさんがいてくれたから今の俺がいるんだ」
こうやって思うようになるのです。
自己愛性の人のパートナーはキラキラとしている人ではない方が良いです。なぜなら、例えパートナーであっても、自分より成功したり輝いている人が許せないからです。
個性が強いパートナーではなく、献身的に支えてくれる、主張はほぼしない、何でも受け止めてくれるパートナーが理想です。事業などをやって自分がメインでどんどんと前に立ち、主張もし目立つタイプだと衝突しまくるのでうまくいきません。
だからもし、Bさんが外見も派手でモテモテの人だとAさんは気が気でないので続きません。ライバルになってはいけないのです。勝負してはいけないのです。
というわけで、今回は「自己愛性パーソナリティ障害」についてまとめてみました。ここまで読んで頂きありがとうございました。