
2023/7/24週|プロダクトマーケティングが担うべきこと(『LOVED』を読んで)
『LOVED 市場を形づくり製品を定着に導くプロダクトマーケティング』を読んでいます。『INSPIRED』や『EMPOWERED』に続くシリーズの一つで、プロダクトマーケティングに焦点を当てた書籍です。
まだ自分自身も咀嚼中の部分はあるのですが、本社からプロダクトマーケティングに関する基本的なことを紹介させていただきつつ、感じたことをメモしておきたいと思います。
まず以下が本書の内容紹介です(Amazonより引用)
【内容紹介】
最高の製品であっても、市場では負けてしまう。
「負け組」と「勝ち組」はどこで勝負がつくのか。
それは、より優れたプロダクトマーケティングを持っているかどうかだ。
優れたプロダクトマーケティングは、市場に投入する最良の方法を指示することである。
これにより市場のプロダクト評価が形づくられ、プロダクトのストーリーが語られるきっかけとなる。
『INSPIRED』『EMPOWERED』に続くSVPGシリーズの一つである『LOVED』は、プロダクトチーム、マーケター、起業家、そして製品とビジョンを持つすべてのリーダーに向けて、最高のプロダクトマーケティングの基本を説明する。
MicrosoftとNetscapeでプロダクトとマーケティングのリーダーとして活躍し、カリフォルニア大学バークレー校の工学部大学院講師でもある著者が何百もの企業とのコラボレーションから得た教訓を抽出し、現代のプロダクトマーケティングの決定版としたのが本書だ。
プロダクトマーケティングの四つの基本やプロダクトマジャーなど他職種との連帯、GTM戦略やメッセージングのキャンバスなどが多くのシリコンバレーの事例とともに紹介されている。
『LOVED』は、顧客や市場を中心にしたダイナミックな実践によりプロダクトが熱狂的なファンを生み出し、市場での潜在能力を最大限に発揮するための招待状だ。
【目次】
PARTⅠ プロダクトマーケティングの基本
アンバサダー、ストラテジスト、ストーリーテラー、エバンジェリスト
PARTⅡ プロダクトマーケターの役割
スキルと責任、パートナーシップ
PARTⅢ プロダクトマーケティングの戦略
戦略を導くコンセプト
PARTⅣ ストーリーとメッセージング
効果を生み出す実践とプロセス
PARTⅤ プロダクトマーケティングリーダー
組織変革と成長、人材採用と育成
プロダクトマーケティングの役割について
まず本書からいくつかプロダクトマーケティングの基本について引用させていただきます。
まずはプロダクトマーケティングの重要性の高まりと、プロダクトマーケティングが答える問いに関する下記の一節です。
プロダクトマーケティングの役割自体は、これまでも長年にわたって存在してきた。しかしテクノロジープロダクトやテクノロジーサービスにおいては、革新のスピードが速く、非常に過密な競争環境にあるため、プロダクトマーケティングが特に難しく、これまで以上に重要視されている。
強力な技術力を持つプロダクト企業において、プロダクトマーケターは、プロダクトの最終的な成功に不可欠な、とても基本的な問いに答える助けとなる。
・ターゲット顧客にリーチするための最適な方法は何なのか
・顧客がいつ、どのようにプロダクトの存在を知ることができるのか
・顧客がプロダクトの捉え方を理解できるように、プロダクトをどのようにポジショニングするのか
・顧客の潜在的なニーズに響くように、価値をどのようにメッセージングするのか
・顧客はどのようにプロダクトを評価できるのか
・誰が、どのように購買の意思決定を行うのか
・最後に、もし取り組みがうまく行き、顧客がプロダクトを気に入ってくれた時に、その顧客はプロダクトを気に入っていることを、友人や同僚にどのように伝えることができるのか
次に、プロダクトマーケティングの目的は下記のように定義されています。
プロダクトマーケティングの目的は、ビジネス目標を達成するための戦略的なマーケティング活動を通じて、市場のパーセプション(知覚)を形成し、プロダクトの定着(アダプション)を促進することだ。
プロダクトマーケティングは、市場に向けたすべての活動につながる、戦略的な意図とプロダクトのインサイトをもたらす。
また、Go-to-Marketエンジン全体(マーケティングと営業)にまたがる勝つための計画をまとめ上げ、マーケティングチームと営業チームが成功するために必要なすべての基礎的な活動を提供する。
更に、プロダクトマーケターの役割は下記の4つに集約されると述べています。
プロダクトマーケティングの基礎から始めよう。その基礎はたった四つの基本に集約され、そこからすべての重要な仕事へと続いていくのだ。
基本1:アンバサダー: 顧客と市場のインサイトをつなぐ
基本2:ストラテジスト: プロダクトのGo-to-Marketを方向付ける
基本3:ストーリーテラー: 世界がプロダクトをどう捉えるかを形づくる
基本4:エバンジェリスト: 他者がストーリーを語れるように
マーケティング(コミュニケーション)とプロダクトマーケティングの違いについては、下記のように言及されています。
モダンなマーケティングチームは、メッセージを詳細化し、キャンペーンを展開し、プログラムを管理し実行する各領域のスペシャリストで構成されている。デマンドジェネレーション、デジタル/ウェブ/検索、広告、ソーシャル、コンテンツ、インフルエンサー、コミュニティ、アナリストリレーションズ、マーケティングオペレーション、パブリックリレーションズ、マーケティングコミュニケーション、ブランド、イベントなどである。
その多くは企業内のマーケティング部門に所属している。マーケティングチャネルの種類は非常に多い。本書の巻末に専用の付録を付けて解説している。企業が大きくなればなるほど、マーケティングはより複雑で多層的になるのだ。
マーケティングのスペシャリストは、自分たちの仕事をうまくやるためにプロダクトマーケターを頼る。プロダクトマーケターは、プロダクトのどの部分を宣伝するか、誰をターゲットにするか、ターゲット顧客が気にかけるものの理由は何か、どのチャネルが最も重要か、を明確にする。また、マーケティングと営業によるGo-to-Marketエンジンの行動がビジネスインパクトにつながるように、プロダクト組織との橋渡しをする。
感じたこといくつかのメモ
❶ちょうど1年前くらいに自社のプロダクトマーケティング組織の例も含めて下記のような記事を書いてました。
『LOVED』で触れられている内容の一部(上記で引用したような部分)はこの記事で書いていることとほぼ一致している感覚ではありました。
特にプロダクトマーケティング以外のマーケティングチームとのパートナーシップの方法に関しては全く同じスタンスのように映りました。
❷『LOVED』で触れられているプロダクトマーケティングの機能定義はタイミーのそれと比べるとやや広い印象があり、全社としてどうあるべきかのディスカッションをするチェックリストとして有用そうな印象です。
❸上記引用で触れていない部分で、面接の際にスキルセットを測るための質問群も直接的に参考になりそうでした。
❹さいごに、プロダクトマーケティングの話題からはややずれるものの、最もわかりみが深い…と思ったのは、「マーケティングリーダーシップとは、個人としてのマーケティング能力のことではなく、チームのパフォーマンスとそのパフォーマンスをイネーブルメントするあなたの能力のこと」という話の部分で、総じてマーケティングリーダーは「マーケティングの卓越性にこだわるのをやめるべし」という話です。これもまさにマーケティング部署のマネジメントロールの役割として考えていたことであり(個人としての是非は一旦置いておく)、直感に反するし、キャリアの中で葛藤が生まれやすいところではあると思いますが、考えないといけない重要なポイントです。
参考
企業の経営者の方、マーケターの方、プロダクトマネジメントに関わる方の誰が読んでも何かしら学びのある書籍だと思いますで、ぜひご覧ください。今回はこの辺りで。。
📓この記事について
株式会社タイミーで執行役員CMOを務めている中川が、マーケティング関連の仕事をしている中で感じたことを綴り、コツコツと学びを積み重ねる『CMO ESSAY』というマガジンの記事の一つです。お時間あるときにご覧いただければ幸いです。オードリーのオールナイトニッポン 📻 で毎週フリートークしているのをリスペクトしている節があり、自分も週次更新をしています。
タイミーは、すぐに働けてすぐにお金がもらえるスキマバイトアプリです。
いいなと思ったら応援しよう!
