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「いっちょー」
素人のくせに、完璧でいなきゃ。
こうめの人生100年は全て自分達次第。何かをやってあげなきゃ。ある意味常に自分達を急き立ててきたトトとカカを救ったのは、こうめの
「いっちょー」という言葉だった。
子どもができて改めて知ったのだが、
世の中には育児書が多過ぎる!
とりあえず、生まれるまでの数ヶ月はひたすら読み漁ったが、結局何を信じていいか分からないまま、あっという間にこうめが生まれた。
英語喋れるようにしてあげたいよね。
数にも強くなってほしいよね。
運動神経も良くなってほしいよね。
自分のこととなると、もうほしいものってほとんどないくせに、こうめのこととなると、
「ほしい」が止めどなく出てきて、
絶対に失敗したくないがゆえに、
どれも諦めきれない。
絵本も、パズルも、英語の教材も、
数に強くなるというガラクタも。。
目につくと、どうしても手にとってしまう。
子どもを幸せにするために、
人生で触れてきた「全てのよかったこと」を
注ぎ込むのが子育てだと思い、少しいっぱいいっぱいになっていた。
ある日、カカもトトもちょっと疲れてて、イライラするようになってるなと感じて、思いきって一日ダラけてみることにした。
でも、自然とこうめにかけてる言葉は、
「どこにも連れて行ってあげられなくて、
ごめんね」。
「1日つまらなかったよね。ごめんね」。
トトもカカも、罪悪感だけが募る中、
こうめだけは違っていた。
「あんぱんぱん、いっちょー」。
「あっちーくー、いっちょー」。
「ねんねー、いっちょー」。
一日中、全てやることをトトとカカと
「一緒」にできることが嬉しいのだろうか。
びっくりするほど、ずーっと笑っていた。
何かをやらせるよりも、一緒に何をやるか。
いや、むしろただ一緒にいるだけで、
子育ての何割かはすでに十分達成しているんじゃないか。
こうめの、楽しそうな「いっちょー」は、
すっと心を軽くしてくれた気がした。
あの日以降、
こうめに「ありがとう」と伝えることが
増えた気がする。
「一緒にゴロゴロしてくれてありがとう」
「一緒にご飯食べれて嬉しいよーありがとう」
「一緒に遊んでくれてありがとう」
こうめが生まれてきた頃と今とでは、
「ほしいもの」が変わってきたのかもしれない。
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