ドームを崩す?|珈琲の時間
1.ドームを崩す/崩さない?
最初の蒸しの工程では、豆に含むガスを放出されてドームができる。見ていて楽しい時間ですね。新鮮なコーヒー豆はガスを多く含むので、大きなドームができる。さらにお湯を注ぐ際、このドームはできれば崩したくない。
「中心から『のの字』にゆっくり注ぐ」「ドリッパーの壁際ににお湯を注がない」と、お作法のように言われています。つまりドームは崩さない。
一方、ワールドバリスタチャンピオンの井崎氏は、「お湯と粉が混ざって、成分が抽出されるのだから」「均等に攪拌される」ことが重要と言っています。つまり、ドームを崩すということ。
この違いは何?
そして、あなたはドームを崩しますか?
「コーヒーの表現」蕪木氏著を読んでいて、あることに気づきました。
2.ペーパードリップ≒ネルドリップ なのか?
ペーパードリップの抽出メカニズムをどのように理解するかで、お湯を注ぐ所作に違いが出るのではないか?
透過式: ネルドリップ → ドームを崩さない
浸漬式: フレンチプレス、サイフォン → ドームを崩す
ペーパードリップはネルドリップ的。つまり、透過式抽出法。
ネルドリップは外側に壁がなく、お湯を注ぐとコーヒーの層を通過してコーヒー成分を抽出するので、コーヒー豆の層が崩れることはない。
一方、ペーパードリップは、フィルターの外に壁があり、お湯は跳ね返り、対流して豆の層を崩す可能性がある点でネルドリップと異なる。
そこで、コーヒー豆が暴れないよう、中心からそっとお湯を注ぎ、壁際にはお湯を注がず、コーヒー豆の透過層を崩さなければ、ネルドリップ的な抽出方法に近くなる。
一方、サイフォンやフレンチプレス的な浸漬式だとみれば、お湯とコーヒー豆が混ざり合ってコーヒー豆の成分が抽出されるのだから、積極的にお湯と豆を攪拌させる必要がある。
前出の井崎氏は、お湯と豆がよく混ざるよう高い位置からお湯を落とし、さらにサーバーを揺する(回す)。
もっと積極的に、スプーンで攪拌しながらお湯を落とすことを推奨する人もいる。
3.で、どちらを選びます?
「結局、どちらがうまいか?」ですよね。
でも、私の味覚と抽出技術が追い付いていないので、味覚と抽出技術を鍛えることにします。
私の天邪鬼な性分は、お作法的な所作に反発しまうので、しばらくは、スプーンで攪拌しながらお湯を落とす方式で進めてみようと思います。
参考資料
・「コーヒーの化学」旦部幸博著 講談社
・「世界一美味しいコーヒーの淹れ方」 井崎英典著 ダイヤモンド社
・「珈琲の表現」蕪木祐介著 雷鳥者