この家どうするの?(55)かたづけ開始
父の持ち家は空き家に。突然死で遺言もなにもなく。ちいさな一軒家だけがのこりました。つぎは家の片づけ。とりあえず「捨て」にかからないと。
(1565文字)
ご近所さんに、あいさつから
もともと交流がない父子家庭。
父は世間の面倒なことを嫌い、母と離婚した。人間の断捨離。
うちの両親の離婚をひとことでいうと、こんなかんじ。
家族を捨て離す。
(個人の感想です。お許しください)
父はそれから40年あまり生きたから、この世にもう未練はなかったのだろう。
好きなように生きたから。
ぽつんとのこる。カタチあるものは、いつかは消える。しかし父の購入した、ちいさな一軒家は。
住みびとあらず、この世にのこる。
この家どうするか。
どちらにせよ「片づけ」しないと。
週に2回、「普通ゴミ(日常ゴミ)の日」があり、捨てれるものはすこしづつ出した。
わたしは、同じ大阪市内の賃貸マンションにオットとふたりぐらし。電車で小一時間の距離、しばらくは一軒家に通うことにした。
ぽつんと建つ父の家に。
となり近所に住むひとに、まずはあいさつ。
「父がお世話になりました。
警察が来て騒々しくして、ご迷惑をおかけしました……」
わたしは父の家には、よりつかず。なので父の近所づきあいなども不明。しかし今後のこともある
下町の一軒家。
近所のリーダー格のSさん宅から、あいさつをする。
こんなことから、はじまりました。
粗大ゴミ
日常的に出るゴミとは別のゴミもある。自治体により「大型ゴミ」とか「有料回収」など名称があるであろうゴミ。電話やネットで申し込むタイプのゴミだ。
父は必要最小限のモノしか持たずだった。 が、くらしに「粗大ゴミ」はつきものだ。タンス・テーブル・下駄箱などの家具がそれにあたる。
父もどうせ断捨離体質なら、旅行用のコロコロひとつのひと「ミニマリスト」まで極めてほしかったが、それすら知らなかったようだ。最低限の事務的な家具と同居していたのだった。
寝具の失敗
昭和時代、どこの家にも「客用ふとん」はあったかも。うちも例外ではなく、押し入れの中に鎮座していた。シーツ・電気毛布など寝具類もごっそりと。
ぜんぶ引っぱり出す。
父が生前、使っていた寝具はもちろん不要。大きいものは粗大ゴミにするが、うすい夏用のふとん などは、ハサミでジョキジョキ。
週2回の「普通ゴミ」に出すためだ。
2〜3枚ぶんの ふとん片?を、かき集め半透明のゴミ袋に詰めこむ。3袋できたが、ハサミ持つ手は疲れてしまった。
これで終わり、いけそうだな。
あれっ、夏用のふとんがもう1枚、のこっていた。
もう手がだるい。めんどくさい。
うすいふとんだから、丸めてゴミ袋に入れよう。
普通ごみに出そう。
ふとんを踏んだりして圧縮させグイグイと。なんとかゴミ袋に押し込む。袋のまわりに公告チラシや紙ゴミで巻いて隠せばいいや。
軽いしゴミ袋の大きさに収まった。ふとん片の3袋と、ふとん本体の圧縮1袋、まとめて捨てちゃえ。
喜び勇んでごみ収集場所に転がした。
いい仕事したつもりで賃貸マンションに帰った。次回はセトモノ(陶器)をちびちびと捨てる計画。
セトモノは10袋。父は祖母のコレクションを大切に保存していたのだ。
使えそうなうつわ、すこしだけ残したが、ほとんど不用品だった。
父の家の中に集めて置いてきた。
次のゴミの日。
セトモノを捨てようと父の空き家に入って、まずは手洗いを。
ピンポーン!
玄関前にだれか立っている。
セールスかな?
父が設置した防犯モニターを見る。
近所のリーダー格のSさんだ。
ええぇ、苦い表情ぉ……。
それは……ぁ……あ!?
彼の手には、こないだ捨てたはずの……
夏のふとんのゴミ袋!?
ダルそうに持っていたのです。
(つづきます)
いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに
さいごまで お読みくださり
ありがとうございます。
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