ストローはフレックス
朝晩だけ秋が濃ゆい。
そのぶん、アイスコーヒーの影はうすくなる。ぼちぼち。
(725文字)
オシャレなカフェもなく、ファーストフードもないころ。
友だちと行くのは喫茶店だった。
コーヒーはまだ飲めない。
紅茶のおいしさも知らない時代。
みどりの炭酸水とか、ジュースとか。みんな色のついた飲みものを注文する。ドリンクなんてコトバもない。
喫茶店のストローの袋は紙だった。
ストローの袋で、よくあそんだ。
くしゃっと袋をちぢませストローを出す。
袋は白い紙の毛虫に変身。
(苦手なかたスミマセン)
毛虫を灰皿にポン。
スポイトよろしく、ストローでコップの水を吸い上げる。
ぽたぽたっ。
しずくを落とす、毛虫に。
じわじわじわじわ……。
しずくをあびた毛虫がヘビに。
みょ〜ん……。のびのび。
宴会芸ならぬ喫茶店芸。
うひゃひゃあ。ヘビ。ヘビ。
初めて見るふりをする。男の子には。
ストローの袋はビニールになり
店によってはハダカになった。
携帯電話は静かにメールを送る。
スマホになったら、メールはLINEになり画面しか見ない。
いつから、こうなったのか。
近所の喫茶店で。
今年のアイスコーヒー注文率は、過去最高だなと。いつもストローの袋をむいて。
ここのストローの袋は紙だ。「FLEX」
フレックスって書いてある。
商品名かな。知らないけど。
むかしのストローは細かった。
いつから出始めたかな?
ストローの吸い口ちかくで曲がるヤツ。
いままで名前、知らなくて。
ストローはフレックス。
ストローの袋でできたヘビは
ビチョビチョになってしまったね。
ストローはフレックス。
フレックスしすぎたヘビとわたし。
アイスコーヒーを飲みほした。
いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに
さいごまで お読みくださり
ありがとうございます。