この家どうするの?(26)葬儀屋さん今昔・2
曾祖母・祖母、そして父の番が静かにやってきた。葬儀社は、ほぼ決めていましたが、貴重な体験。他の2社に問い合わせしました。
不謹慎な話題ゆえ、ご不快になるかたは、お読みにならないでください。
父の固定電話より
独居老人。さらに父は携帯電話をもっていませんでした。連絡は家の固定電話のみ。
よけいな情報が入らず静かで気楽で……さびしい晩年だったかもしれない。
空っぽの父の家、わたしひとりの夜。
固定電話に最後の仕事をしてもらおう。父の葬儀の依頼。
朝までに決めなくては。
大手葬祭さん
草木が眠る、うしみつ時。夜分、おそれいるところだが、24時間・通常業務の世界に電話をかけます。
「喪主」も、はじめての体験。
大手葬儀社は、問い合わせにどう対応するのでしょうか?
「では、お名前……ご住所……電話番号を……。」
大手葬儀社の青年の声。丁寧だが、なんだか明るめ。こんな時代だから……。
金額や問い合わせに、まず個人情報を、ごっそりと取っていくのか?
まぁ、悪質なイタズラとかナリスマシもあるので正直に答える。
「参列者ナシです、わたしだけ」
じぶんで言っといて、気がついた。
家族葬以下の「ソロ・娘葬」。趣味のダンスでも「ソリスト」になったことはない。こんなときに主役級、プリンシパルか。喪主という名の。
しまった、わざわざ大手葬儀社に電話せんでも……これも勉強。見積もりだけ。
こういうのは「直葬」というのね。
テンポよく手際よく、聞いてくる大手さん。
喪主が哀しみの感情におちいり、葬儀屋さんに「これまでの経緯と、えんえんと自分語りを始める」からかもしれない。
主導権をにぎり、ポンポンと必要事項のみを見込み客にしゃべらせる。葬儀屋さんは、カウンセラーでもセラピーでもないのです。
たいしたものです、商売というのは。
病院以外のたびだちの場合
補足になります。父は家で亡くなりました。わたしが第一発見者。
晴れた昼下がりの2時。横たわる父。
無知なわたしは、救急車を呼びました。
「ぼくたちは、命ある人しか病院にお連れできない。
残念ながら、お父さんは……。
医師のいる病院以外で人が亡くなれば、法律で警察を呼ぶのです。なので警察にバトンタッチをしますね」
「お父さんに、お布団をかけてあげてください。」
ほどなく警察の大きい車が家に到着。救急隊が降りてきた3人の警察のひとへ引き継ぎをして退場しました。お手数をおかけしました。
ありがとうございました。
定番のあいさつのあと、警察のリーダー?の名刺をうけとる。
目がキツイ兄さんだ。笑顔はご法度なんだろうけど。
「刑事 強行犯担当 」
ひっ! こんな強烈な名刺は、はじめてだ。
わたしの名前や父の暮らし、病歴など、ひととおりの質問と確認をされた。これが事情聴取か。
「発見時の状況の調査と、
お家を調べさせてもらいます。
お部屋の写真も撮ります。ご了承ください。」
別室で待機するようにいわれてたところに、職場を早退したオットが到着。あいさつもそこそこ、ふたりで鎮座。
二時間ぐらい、引き出しを開ける音や、ガサガサ、ゴトゴト、何かを動かしている。
カメラのフラッシュは、バシャッと、おおげさ。
これって、ガサ入れやんな。
テレビドラマでみるアレが、わが家で展開していた。刑事さんたちが家に来るなんて。
「お義父さんがキレイ好きでよかった。ありがとう。」
「日頃から、かたづけとかんと」
ふたりとも、ガサ入れにテンションが上がっていたのだろう。ポイントのずれた会話をしていた。
もしかしたら、第一発見者のわたしは容疑者。
サスペンス劇場のヒロインや。
わたしは脳内放送をしていた。
刑事さんたちが、ガサ入れを終わるまで。
(不謹慎にも来週に続きます)
いつも こころに うるおいを 水分補給も わすれずに
さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。