傀儡師の四季【創作】
傀儡師。だれもが読めるようになりました。「かいらいし」または「ぐくつし」ですね。
えべっさん・十日戎 (とおかえびす) の日になると、おもいだす。
わたしの妄想・創作です。ご容赦のほど。
(1607文字)
傀儡師(かいらいし)
兵庫県西宮市。「福男えらび」でおなじみ、えびす神社・総本社の西宮神社があります。
そして、すこし北に銅像があります。
あなたは、だれ?
もより駅は……
●阪神電車・西宮駅…徒歩約3分
いつのまにか、カンバンが立った。
「かいらいし」と 、フリガナがあります。以下「かいらいし」と読んでください。
傀儡師 かいらいし?
あなたは傀儡師なのですか?
「わたしですか。
わたしは、百大夫です。
人形つかい。傀儡師といわれています。」
傀儡師といっても、こわくはありませんよ。
かかえているのは、木箱と人形。人形をつかって、だれにでもわかりやすく、えびす神の教えを講じる芸能人。みなで、ここに住んでいたのです。
ここは傀儡師の始祖といわれる「百太夫神社」の跡地。
わたしは、いま西宮神社にいるのです。
西宮神社
西宮神社のえべっさん。商売繁盛の神さま。
ことし2024年は、神事の「福男えらび」が復活しましたね。
広大な境内とえびすの森。
ひっそりと百太夫神社があるのです。末社になっています。
毎年1月5日にお祭りをするのですよ。
ここで傀儡師 (かいらいし) とよばれるのは、西宮神社の「えびす講」を全国に広めるひとたち。
わたしたち傀儡師は、ふだん西宮神社でご奉仕を。また、えびす神社の信仰を全国にひろげるため旅に出ます。
木の「あやつり人形」とともに。
花よ めぐる季節よ
みなが まつ
つぼみふくらむ春をまつ
枯れ木に花を咲かせましょう
ここは桜の名所なり
夙川公園もすぐそこに
のめや うたえや
西宮は 酒どころ
五つ酒どころ 灘五郷
ふじ色の電車 はなやぐ西宮駅のまぶしさよ
舞えよ おどれよ いまをさかりに
えびす通りに花ふぶき ほれ。
みどりも もえる 季節が かわる。
ごらんよ ごらん
みどり葉 こかげに
もえるは いのち 草よ木よ。
めぐみの雨よ 夏をよぶ声。
花がみどりに かわるころ。
みどりの笠に なるころは
木箱もゆるりと うごきだす
わが人形と かくれんぼ
せみしぐれに遊ぶ
さくらが 大きな家になる
みどりの屋根に こだまする
しぐれ かみなり 夕立に
いま旅立とう わが人形と
えびす講の「えびすかき」と
傀儡師がくる 傀儡師がきた
せみしぐれに かくれんぼ
傀儡師の旅
傀儡師たちは淡路島に渡り人形浄瑠璃や文楽の発祥といわれています。
どこへいったの?
ぽん ぽん ぽん
木箱が はねる
なにかが とびだす
ぱらり ぱらり とんとん
びょょ~ん
まるいあたまが とびだした!
木の人形が とんできた
また木箱に もどっていくよ
傀儡師と人形が やってきた
めぐる 季節よ 花よ
どこに いこう 木箱をだいて
落ち葉といっしょに
おかえりなさい
1月は えべっさん。
これから つぼみは ふくらむよ
つぎは あなたの すむまちへ
めぐる季節よ 花よ……
……「傀儡師の四季」おしまい
終わりのないのがおわり……
ガタンゴトン ガタンゴトン
いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに
さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。