この家どうするの?(41)葬儀屋さん今昔17「どうしたものか」
やっと、葬儀屋さん編・本題です。現在の葬儀もろもろ。個人の体験や感想です。つらくなるかたは、お読みにならないでください。
(1023文字)
まちの葬儀屋さん
A葬祭さんの自社ビル。20畳ほどのお部屋に棺桶ひとつ。いまでこそ、家族葬・直葬の時代だが、父とわたしだけでは広すぎて。
むかしからの、まちの葬儀屋さん。
もの言わぬ父。棺桶の前で鉄パイプの椅子に座るわたし。出棺まで……どうしたものか。
思い出したように立ち上がり、顔の扉を開けた。
透明アクリルケースのようなカバーがついている。最近は、最後のお別れで、ドライアイスを吸い込む「後追いの悲劇」もあるという。
扉を閉める。父は孤独死。警察が来て監察医のもとに行き、A葬祭さんがお迎えに行ってくれたのだ。そしてA葬祭さんに置いてもらって、火葬のきょうに至る。
やっぱり父だった。
祖母もこちらで
ちいさな町工場の経営者・祖母の葬儀も、A葬祭さんでお世話になった。フロアはちがうし、もっと広いお部屋だった。お通夜から、それなりに式がすすんだ。
たくさんのオプションがあった。焼香も時間がかかった。お坊さんがきて、すわっている時間が、やたら長かった。棺を父と、叔父と先代の葬儀屋さんの社長と息子さんが霊柩車に……。
あのとき。「次は父だ」という確信と自覚があれば、祖母の葬儀のダンドリを目に焼きつけてたはずだ。たしか平成7年、わたしは結婚していたが、まだ子どももいなかった。いつの間にか令和になっていた。そりゃ父も死ぬだろう。わたしも婆さんになったし。
葬祭屋さんの社長さん
むかしの記憶をたぐっていたら、50歳くらいの男性がやってきた。電話でしかお話ししていなかったが、きっと社長さんだ。
「父がお世話になり、お迎えも行っていただき……急に親戚5人来ますがスミマセン……本当にありがとうございます(……もごもご……)」
「おはようございます。長女さんですね。ご親戚のお別れ、大丈夫ですよ。出棺は昨日お伝えした時間通りに。」
「あの、じつは平成7年に祖母もお世話になってて、それで今回もA葬祭さんにお願いしまして……」
いやな仕事させてすみませんと言っていいものか? これがお仕事だし。なにも考えてなかった。
妙なコトバやお礼しかでてこない。
モゴモゴしてたら、複数の足音が近づいてきた。
遠い親戚5人がやってきた。
いつも こころに うるおいを
水分補給もわすれずに
さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。