観音さまに投げとばされた私の師には
これまた最強の師がいらっしゃった。
残念ながらその大師匠とはお逢いすることは叶わなかった私だけれど
娑婆の荒波にもまれ沈み込みそうになる時
決まって大師匠のあの笑顔を想う。
すると、なんだかお声が聞こえてくるような気がするから不思議だ。
「バカヤローどもだ。気にするな。オレがついてる!」と。
そんな大好きな大師匠の 秘書だった方の書いたエッセイを此処に ........
何度読んでも、おかしくて吹き出してしまう。
こんなエピソードを読んでいると、なんだか全然お坊さんらしくないなぁと思うけれど、実は天台宗の大僧正で、戸津説法の講師にまで選ばれた程のお方だった。
その戸津説法の結願の日のお話しでは
「天台教学も時代と共に歩み続け、変化していかなければならない」
とし
「密教を独立させ、顕教の中には大般涅槃経を入れるという構想が、教学を再興させる方法ではないか」
というユニークな見解を示された。
そして
「講師などと堅苦しくするんではなく、褌一つでみなさんと大般涅槃経を語れるときが来るように・・・・・」
そう、結ばれたのだという。
こうして数々の武勇伝を知ると、大層がさつで乱暴そうなイメージのS大師匠だけれど、師はあえてこう仰っている。
「本当は実に上品な方で、心の繊細なこの上なく優しいお方なのである」
と。
私も、心からそう思う。
御縁を頂けたことは、この上ない誇りである。