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kaeruconet
10円の重さ
郊外へ車を走らせると、小さな無人販売所がよくあって、高原野菜などが一袋100円とかで売っている。
安く買えるのは有り難いけど、大根が5本200円とかだと少人数の家庭では消費しきれないのが難点。
先日、1本30円で大根を売ってる所を見つけ、早速今日行ってみた。
驚いた事に今日は特売日で更に安い20円。
買おうとしていたら奥からおじさんが出てきて、1本おまけにあげるよと言う。
そう。1本10円ということ。
そこの地域は、昔から飢饉が起きた不毛の土地。
酪農は盛んだが、米はあまり採れない。
大根や大豆ぐらいしか育たない、過疎の進む町。
丹精込めて育てた作物でも、規格に合わなければ売り物にはならない。
そんな外かれた野菜が今日の大根。
譲ってくださったおじさんは、腐らせて捨てるよりは誰かに食べてもらいたい。
そう考えているのでしょう。
燃料費が上がり、医療費も上がり、自給自足に近い暮らしをしてる人たちでさえ、決して生活は楽ではないんです。
10円、20円だって惜しいのが本音の筈。
でも、昔から言います。
持ってる人ほど締まり屋、無い人ほど施すと…。
冬支度が始まっている山の麓で育てた大根。
腰を曲げ、冷たい水で泥を洗い流す手間をかけ、たった10円で売る。
役人と呼ばれる人種には、絶対にわからないであろう、現実。
下座に生きる貧しき者達の心根。
その根底にある尊い思いは、正に仏心だと私は思います。
どうか良いことがありますようにと、おじさんの背中に心の中でソッと手を合わせました
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