ホットカルピスの思い出
先日、知人からカルピスを頂いた。
甘い物は苦手なので義妹にでもあげようかな…等と思いながら、ひとまず仏前へ。
カルピスと言えば思い出す人がいる。
十代の頃可愛がってくれたお巡りさん。
駐在所に遊びに行くと、いつもカルピスをご馳走してくれた。
そのお巡りさんとはバイク仲間。
彼はBMWに乗ってた。
確か、警部補だったと思う。
「白バイに憧れて入ったけど、学歴が邪魔して幹部候補なんだ。
だから白バイ隊にはなれなかったんだよ」
悔しそうに言っていた。
「下心はないから遊びに来いよ (笑)」
そう言われて駐在所にもしょっちゅう遊びに行ったし、彼が私の家に遊びに来たりもしていた。
お巡りさんと知り合う少し前までの私は、アンコの入ったパンが大好きなイケナイ少女だった。
ある日、何気にその話をした。
そしたら彼はこう言った。
「それ以上の物を食べてたとしても、俺には聞かせるな。
いいか。
もしもまたパンが食べたくなったら、真っ直ぐ俺の所に来い。
旨いカルピスをいつでも飲ませてやるから。
仲間の元には絶対に戻るなよ」と。
そう言って、灰皿とカルピスを出してくれた。
こんな警官がいるなんて、夢にも思わなかった年頃の出来事。
その後、移動になって頻繁に会うことはなくなったけど、会うと変わらぬ笑顔で泣き笑いしながら接してくれる。
元気でいらっしゃるかしら…… 。
雪のチラつく寒空の中、凍えた身体を温めてくれたホットカルピスの味は、生涯忘れないと思う。
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