暮夏
叶わぬ願いと知っていても
若いあなたが訪れただろう浜に
面影を探して腰を下ろした
もう一度逢いたかった笑顔へ
たどり着くことができなかった此岸の事情に
いくつになったらケリがつけられるだろうか
やりきれなさで蓋をして
知らずに流れたあの日の午後
あなたに起こった出来事は
日数をおうごとに重く胸に迫る
月が見ていた哀しみも
人知れず流した涙も
この思い出深い海に
還るだろうか
暑さが募る暮夏の候
多くの魂が愛する人達の元へと戻り
安らぎのひと時を過ごすのだろう
せめて慈しみ深い盂蘭盆会でありますようにと
焚きしめた薫香に思いをのせる
今年も祈りの時期を迎えた