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この時期しか食べられないもの、に弱い。

食べるのが好きな母のお陰で、私は小さい頃から様々なものを食べさせてもらっていた。日々母が作る料理は、季節のものを彩りよく、和洋中様々なバリエーションが食卓に並べられ、子どもながらにすごいなぁ、と感心していた。

春には庭で筍が取れ、もっと暖かくなるとつくしやヨモギがそこらじゅうで摘めた。つくしは子供の私にはあまり魅力的な味ではなかったが、筍ご飯やよもぎ餅は子供の頃から今に至るまで大好きだ。
子供には贅沢と思われるものも、惜しみなく食べさせてくれた。旅行先で食べ、美味しすぎて親の分までほとんど平らげてしまった松茸の土瓶蒸しは、母が土瓶をわざわざ購入し松茸の時期になると毎年作ってくれた。今思い出しただけでもよだれが出てくる。

そんな子どもの頃の経験と母譲りの食への貪欲さは、日本から遠く離れた地でも私を生かしてくれる。
正直言ってここには美味しいレストランも、おしゃれかカフェも、焼きたての香りが漂うパン屋さんもない。スーパーには萎びた野菜、冷凍しかない魚、やたらに量が多い肉。こちらに来てすぐの頃は日本とのあまりの違いに絶望し、食べる楽しみがなくなり少し体重が減った。

しかしそのうちに、ないなら作るしかない!というマインドに切り替わり(そう思う他はない)、日本ではほとんど手を出さなかったパンや発酵食品も手作りするようになった。徐々にこちらの時期ものも分かるようになり、ちょっと離れた街の大きいスーパーに行ける時は、その時期のものが手に入れられるよう気合いを入れて挑むようになった。

そして先日、久しぶりに心ときめく食材をゲットすることができた。
ホワイトアスパラと鯛である。ホワイトアスパラはスウェーデン産と書いてあったので、鮮度がいいと期待して買ってみることにした。鯛は冷凍ではなく、生の丸ごと一匹。(大きいスーパーには鮮魚コーナーがある)色はグレーなので華やかではないが、味はまごうことなく鯛。今夜は鯛めしだ、とウキウキしながら帰路に着く。

鯛めしは以前に何回か作ったことがあるので問題なく作れる。内臓を抜いたり鱗を取ったりするのが手間だが、美味しい鯛めしのためなら何のその。内臓を抜くのが下手なのでいつも手惑いながら魚よ、下手ですまん。と心の中で思う。

鯛めしは娘も大好きでよく食べてくれるので嬉しい

さて、問題はホワイトアスパラである。実は勢いで買ったものの、調理したことはない。こんなときネット時代で良かった、と思う。いくつかのレシピを読み比べて何となく上手くできそうなものを選び、やってみる。
結果は、、まずまずかなぁ。味は美味しかったが、皮をもっと徹底的に剥くべきだったのか?筋っぽさが残ってしまった。娘にも食べさせたものの、なんかかたい。と言われて撃沈。味はいいんだけどなぁ。

シンプルに茹でて塩バターソースでいただく

アスパラは少し残念な結果になったけれど、ぜひまたリベンジしたい。時期ものを見つけた時のトキメキ感はなんだろう。限られた期間でしか手に入らない儚さに惹かれる?いや、そんなきれいなものじゃなく、タイムセールみたいな買わなきゃ損!感に踊らされているだけなのかな。

なんにせよ、ときめきを、ありがとう。

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