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今日の資生堂パーラーを築いた1990年のブランドリニューアル~“パーラーブルー”誕生秘話・後編~

こんにちは。資生堂パーラー公式noteです。
前回は現在のブランドカラーとなっている“パーラーブルー”が生まれた経緯をお届けしました。
今回の<後編>ではともに生まれ変わったお菓子のパッケージのエピソードを中心にお届けいたします。<前編>に引き続き、当時のリニューアルメンバーで資生堂パーラーOBの鈴木真さんにお話を伺いました。
それではインタビューの続きをどうぞ!



仲條正義さんと過ごした時間


-ロゴやコーポレートカラーと一緒にお菓子のパッケージもリニューアルされましたよね。どのように進められたんですか?

当時、仲條さんの事務所が銀座3丁目にあったのですが、仲條さんが出社されるのはいつも決まって夕方。それまでに自分の仕事を終わらせて、連日夕方から事務所に駆けつけていました。
当時の仲條さんはとても忙しく、次から次へと打ち合わせが入っているので時間を割いてもらうのが大変でした。その合間を見つけては横にへばりついてデザイナーの助手みたいなことをしながら、パッケージひとつひとつのデザインづくりを手伝いました。
今もその時のおかげで文字の切り貼りやコピーの拡大縮小が得意ですよ。もちろん終電時間ギリギリになることもたびたびで……


先日、現物のパッケージを見る機会があったのですがその迫力に驚きました。ビスキュイ缶はまるで車の塗装のようでした!

仲條さんは缶の印刷にもかなりこだわりを持っていました。当時は下地づくりから印刷機に7回通すことが一般的だったのですが、白色の缶は下地の金属色が響かないように、無地で光沢のある缶にはインキの厚みによる質感が出るように11回も通されていました。
さらに形状やエンボスにもこだわられていて、自らサンドペーパーでモックを制作し、缶を設計して型を起こしていました。缶メーカーさんからも「今までこんなお菓子の缶はつくったことがない」と言われましたね。
試行錯誤の連続でしたが、みんなで楽しみながらチャレンジしていました。まさに芸術作品をつくるような感覚でした。
だからこそ存在感のあるパッケージが出来たんだと思いますよ。

1990年当時の鈴木真さん
当時のビスキュイ
写真でも伝わる存在感
花椿ビスケット(左・リニューアル前、右・リニューアル後)
リニューアルを機に現在の八角形に
メイン商品とは一線を画したお菓子(左・デリスマイヤーズ ラム、右・フリアン)
この白色を出すのがとても大変だったとか


本物志向のパッケージ


-当時、お菓子メーカーでそこまでデザインにこだわることは珍しかったのでしょうか?

当時そこまでお菓子のパッケージに力を入れているメーカーは少なかったと思います。
とはいえお菓子を贈答用として使われる方も多いので、いただいた方に贈り主のセンスの良さが伝わるようなものにしたかったですね。中身はもちろんパッケージを含めたブランド全体の新しい世界観をつくりたいとの想いでこだわりました。

また、仲條さんの友人にパリ駐在のフードコーディネーターがいらっしゃったのですが、その方が現地の最新トレンドのパッケージを送ってくださるので、それを見ながら仲條さんと集まって勉強会をしました。
当時はパリがお菓子や文化の最先端でしたから……ブルー×ゴールドの配色はそういった本物志向や海外のトレンドのインプットから生まれたのかもしれませんね。

勉強会部屋の様子
海外のお菓子やパッケージの試作が並んでいる
当時の定番商品(左・マロングラッセ、右・アストラモンド)
オリジナルの蒸着紙を使ったパッケージはまさにリッチ!


リニューアルの成功で、全国のお客さまに資生堂パーラーをお届けできた


 ―お菓子のリニューアルで資生堂パーラーのイメージは変わりましたか?

パッケージが欲しくてお菓子を購入されるお客さまもたくさんいらっしゃったので、そのくらいインパクトがあったのだと思います。
それまでは資生堂パーラーのイメージ=レストランだったのですが、お菓子の販売規模が広がるにつれて、新しい資生堂パーラーのイメージも徐々に浸透していきました。
このリニューアルをきっかけに全国の百貨店から出店のオファーをいただき、たくさんのお客さまに資生堂パーラーを知っていただけたことが嬉しかったです。

リニューアル後のお菓子売り場
資生堂パーラービル(現・東京銀座資生堂ビル)


インタビューを終えて

新しい資生堂パーラーをつくるきっかけとなった1990年のブランドリニューアル。
その当事者の一人に直接お話を伺うことで、いま当たり前のように目にしている資生堂パーラーの背景や過去と現在のつながりを実感することができました。

取材を快くお受けしてくださりました鈴木真さん。
貴重なお話をありがとうございました!


さて、2回にわたりお届けしたブランドリニューアルのエピソード……いかがでしたでしょうか?
皆さんも資生堂パーラーのロゴやハンディバッグを見かけた際には、このような物語があったことを少しでも思い出していただけると嬉しいです。

現在のパッケージも2015年に仲條さんが再びリニューアルされたのですが、その話はまたの機会に。


それでは次回のnoteの更新も楽しみにお待ちください。



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