
大丈夫か!?日本
政府は「注意しながら、Go To キャンペーン」を進めていくつもりのようです。
今回の感染症は、以前に報道されていたデータでは、武漢由来のものはわりと早期に抑えられ、
その後はヨーロッパを中心とした海外からの流入によるものが中心になっていたと認識しています。
連日、新規陽性患者数の増加が報道されています。
以前よりPCR検査の実施数が増えているので、以前との直接比較は困難です。
しかしながら、感染は等比級数的に広がりえるし、市中での感染率が一定に達すると、その勢いは2倍を超えて広がることも考えられます。
しかも、抗体検査の結果(これも陽性率の感度に対して信頼していいものかどうかという懸念はありますが)を参考にすれば、多くの日本国民は未だ感染していないと考えられます。
医療現場がまだひっ迫していないからまだ大丈夫といったような発言も聞かれます。
確かに、一時期の医療崩壊を警戒する頃に比べると、まだ医療現場はそこまでひっ迫していない印象も受けます。
ただし、ここで抜けている認識は、感染拡大が広がれば、医療従事者の感染も拡大するということです。
医療施設でそれなりの感染者が出た場合、その施設は新規の外来診療を止めざるを得ません。そうなると単にベッド数での判断はできなくなります。
そうなると、それこそ予測していない事態が起こり得ると考えます。
「急がば回れ」といいます。「自粛」が過剰で、やり過ぎだったとの認識なら今のままでいいのかもしれませんが、私は「自粛」は結果として感染を防ぐ目的では大正解だったと考えます。
自粛せずとも、「しっかりした感染対策」で対応可能というのなら「経済活動」を促すことも大賛成です。
しかしながら、「感染を確実に防げる」という試算もなく、「これ以上経済を止められない」という認識だけで現在の状況になっている可能性を非常に危惧しています。
感染拡大が「おさまる」か、「広がるか」。
わかりもしないうちに、「おさまる」ことを期待して進み始めるのは危険極まりないのではないでしょうか。
すぐに「自粛」を促すことも、経済的な懸念が存在しますが、少なくとも「おさまる」方に走り出していいものでしょうか。
あるトンネルの中にいるとして、洪水によってあふれだした水が右からくるか、左から来るか分からない。
そんな時は、立ち止まって、どちらから来るか確認してから逃げだすほうがよいのではないでしょうか。
目的地に近いという理由だけで、一方に走り出すのが得策とはいえるでしょうか。
また、感染者の数がここまで来たら、あるいはこうなったら「自粛を含めた厳格な感染コントロールを行う」というビジョンはあるのでしょうか。
「具体的な数字」を作ってしまうと、その数字の前後で一喜一憂して融通が利かないという側面はあると思います。「政府が優秀でその判断が賢明」ならば我々国民にわかりにくくても、自分達の理屈で方針を決定してもいいと考えます。
しかしながら政府は「優秀で、判断が賢明で、その決断に信頼がおける」のでしょうか。
『失敗の本質』の中で、日本軍はグランドデザインが欠けており、敗戦もしくは撤退について考えることは、「勝つという意思の欠如」あるいは「士気の低下につながる」という懸念から選択肢から除外されていたことが指摘されています。
都知事選挙の際に、小池都知事が他の候補者から「このまま感染拡大が広がったらどうするか?」と質問された際に、「医療崩壊につながらないよう、感染拡大防止につとめる」といったような発言に終始され、具体的な考えは聞かれませんでした。
だからといって、都知事選で他の候補者がよかったというわけではありません。そのような案を名言できる方がいれば、もっと票を集めることができたでしょう。追加で10万円をくばったところで、劇的に状況が改善するとも思えません。
『失敗の本質』の帯には、小池都知事も推薦との文字が銘うたれていましたが、ご本人は本当に中身をごらんになっているのでしょうか。読まれているのなら、今一体何をお考えなのでしょうか。
街角インタビューの「えー、具体的数字がないからわかりにくいー」みたいな報道は不要です。
「具体的な数字である必要はないので、どの程度まで戦略を練り込まれているかをつっこむべきです」
「ご専門の有識者の方と検討の上、適切な対応をとってまいります」には何の中身もないことを認識すべきです。「未曽有の状況で、明確な答えなど誰もわからない時」は、特定の言動を行って責任を問われるよりは「めんどくさいから、判断を後まわし」にしながら「状況に応じて適切に対応してまいります」と発言するのが「政治的な正解」なのかもしれません。
各都道府県知事の「東京が犯人」的な認識もどうかと思います。疑ってないから検査にまわっていないだけで、自分達の周りにも感染は存在しているかもしれないのです。結局、「日本という空間は地続きであり、感染はどこに紛れていてもおかしくない」という認識は「政府のおえらいさん」の中には芽生えなかったようです。いざ感染が拡大した時も、「東京」のせいにして自分達の不手際にふれることはないでしょう。
私の危惧が、全くの的外れであることを祈ります。
もし感染拡大がコントロール不能なところまで及んだ時に「政府としては、十分な注意を喚起していたと認識しており、感染拡大に対する直接的な責任はないものと認識しております」
的な発言をしたとしたら、私はこの国の政治家に完全なる失望を抱くことになるでしょう。というより、これ以上失望しようもないとこまできてますが。