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VTuberと学ぶ教養~学術系VTuberの勧め~


1 私とVTuberという「存在」ないし「文化」との邂逅


 私がYoutubeをよく視聴するようになったのは司法試験受験生活から解放された2021年の秋頃からであった。とりあえずYoutubeを眺めていて最初に目に着いたのは「デュエル・マスターズ・プレイス」(以下「デュエプレ」)というデジタル・カードゲームの公式配信番組であった。「デュエル・マスターズ」(以下、「デュエマ」)というコンテンツに触れるのは小学生時代に紙のデュエマで大いに遊んだ時以来だから、「自分の知らない間にデュエマもここまで続いて、進化したんだなぁ」と感じた。

 私が初めてデュエプレの公式配信番組をYoutubeで視聴していた時一番度肝を抜かれたのは、デュエプレの公式番組のゲストにVTuberの「加賀美ハヤト」(社長)が「出演」していたことである。薄いディスプレイ画面に表示されていた加賀美社長が他の生身の出演者と違和感なくコミュニケーションなり試合の解説をしていたりしたのを目の当たりにして、自分の知らないところで「バーチャルな人が当たり前のように生身の人とコミュニケーションする時代が到来したのかぁ」とまるで浦島太郎状態であった。

「社長」(海馬瀬戸ではない)のデュエプレ出演がきっかけだったのか、その日から私のYoutubeのオススメ動画配信には加賀美ハヤト社長が出演している動画や配信が目に着くようになった。気付けば、「にじさんじ」公式番組の「ろふまお塾」を観てVtuberを視聴することに段々違和感がなくなり、その後加賀美ハヤト社長の『Lost Judgement』(以下『ロスジャ』)実況の面白さにハマって同時に加賀美ハヤト社長のゲーム実況配信にもハマっていった。これが私とVTuberとのファーストコンタクトである。

※『ロスジャ』とは人気ゲームシリーズ『龍が如く』シリーズのスピンオフ作品である『ジャッジ』シリーズの第2作である。いわゆる『キムタクが如く』と呼ばれるシリーズの第2作目である。キムタクこと木村拓哉をモデリングした主人公である八神隆之を動かすアクションゲームであり、第1作目のタイトルは『JUDGE EYES 死に神の遺言』である。『龍が如くシリーズ』の舞台となっている新宿歌舞伎町をモデルとした架空の街である神室町を舞台とした事件を追っていく探偵の活躍を描いた作品である。『ロスジャ』では神室町に加えて『龍が如く7』の舞台になっている神奈川県伊勢佐木異人町ももう一つの舞台となって探偵として新たな事件解決のために奔走する作品である。タイトルゲームを実際にプレイしてみるのも確実に面白いと思うが、ストーリーを実況配信で追いかけるだけでも十分に楽しめるほど完成度の高い脚本の作品である。

 加賀美ハヤト』社長の『ロスジャ』配信を観ていると、同じく『ロスジャ』配信をしていたもう一人のVTuberを発見する。彼女の名は「月ノ美兎」(以下「委員長」)。加賀美ハヤト社長と同じく「にじさんじ」というVTuber事務所に所属する1期生のライバーである。彼女の『ロスジャ』配信だけでなく、委員長の動画や切り抜き動画を観る度に委員長の独特の「インターネットのおもしれーヤツ」という雰囲気にハマリ、気付けばにじさんじの公式番組である『社と笹木のレバガチャダイパン』に辿り着き、気付けば委員長だけでなくにじさんじに所属しているライバー達に自然とハマっていった。そこから徐々に「ホロライブ」だったり「しぐれうい」だったりと、VTuberという存在が自分の日常の当たり前になっていった。

2 私と「学術系Vtuber」との邂逅~「らでんちゃん」はいいぞ~


 そんなこんなで時間はあっという間に経ち、2023年の9月になった。この時期には「ホロライブ」から新規の「Hololive DEV_IS」というレーベルが誕生し、その1期生に相当する「ReGLOSS」というユニットに所属している「儒烏風亭らでん」(以下「らでんちゃん」)の初配信を視聴した。彼女は初配信で能面をかぶり素顔をさらすことをしないという「破天荒」な初配信をやり遂げて見せた。彼女曰く「酒カス、ヤニカス、スロッカス」という3カス揃えた「破天荒」を目指すという意気込みを語っていた。ところがどっこい、層の厚い「ホロライブ」所属タレントには既に「酒カス」と「スロッカス」の称号を我が物としているメンバーがおり、諸事情により禁煙を決めることにしたらでんちゃんの掲げた「破天荒」というスローガンは早速砂上の楼閣のように崩れ始めた。また、彼女の雑談配信で見せる豊富な美術知識をわかりやすく解説するというその姿勢から「教養人」だの「真面目」だのと言われるようになった。私は長らく美術・芸術という者に関心が無かったが、らでんちゃんの配信のおかげで「印象派」と呼ばれる作風が生まれた背景、美術史において写真が与えた役割や写真機器そのものの構造の歴史フェルメールの『牛乳を注ぐ女』の鑑賞ポイント日本絵画の鑑賞のポイント等々…挙げればキリがないほど多くの豊富ならでんちゃんの口から発せられる豊かな美術知識は私の私的好奇心を大きくくすぐった。

それからしばらく経って2024年になってから、雑誌の『日系エンタテインメント!』『an・an』らでんちゃんが取り上げられるようになった。特に『an・an』ではらでんちゃんの他にいくつかの「学術系VTuber」と呼ばれるVtuberの存在を知った。こうして、私のVTuber配信視聴という日常に新たに学術系VTuberの配信視聴という習慣が加わったのである。

3 オススメの学術系VTuber紹介

 そんなわけで、私のオススメする学術系VTuberをいくつか紹介したいと思う。Youtubeのリンクも貼ってあるので、興味があればそこから直接アクセスして実際に彼ら・彼女らの配信を視聴して、楽しんで欲しい。何より、学ぶ楽しさを感じて欲しいと思う。

(1)栞葉るり(栞葉るり / Shioriha Ruri【にじさんじ】 - YouTube


「栞葉(しおりは)るり」のアクリルスタンド


 まず紹介するのは「にじさんじ」に所属する2023年デビューのライバー「栞葉るり」(以下「るり嬢」)である。彼女自身「学術系VTuber」というくくりに入れて良いのか疑問もあるかもしれないが、「にじさんじ」に所属しているライバーの中で多数の「にじさんじ」外の「学術系VTuber」とのつながりを作っていることから、そんな彼女も「学術系VTuber」のくくりに入れてしまって良いだろうと個人的に判断した。

 彼女の配信の多くはゲーム実況や雑談配信・雑談ラジオ風動画が多いが、時々学術的な配信をしてくれる。彼女はデビュー配信の時点で枕草子を「世界最古の百合文学」と紹介していたりと日本の古典文学に強い興味・関心を示しており、その後も「ゆるゆる文学教室」と題した配信をしており先輩ライバーを交えて日本の古典文学作品の魅力や平安時代の文化を面白くわかりやすく紹介している。また、彼女はバーチャル北海道出身であり、特に札幌や小樽、函館方面に関する知識を披露してくれるので、道民や北海道出身者は身近な存在として応援したくなること請け合いである。ちなみに、彼女の本格的な選考は「日本の近現代文学」だそうである。

 るり嬢の「ゆるゆる文学教室」は2024年10月現在で以下の3回+番外編の1回が実施されている。是非これだけでもるり嬢の配信を視聴して欲しい。

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【栞葉るりのゆるゆる文学教室】第一回 拳で語る平安貴族【ゲスト:倉持めると】 (youtube.com)

【栞葉るりのゆるゆる文学教室】第二回 枕草子から見る! 平安の人望激アツプリンセス・中宮定子【ゲスト:リゼ・ヘルエスタ】 (youtube.com)

【栞葉るりのゆるゆる文学教室】第三回 古典はネットミームの宝庫【ゲスト:周央サンゴ】 (youtube.com)

豚がお尻で呼吸? 猫は定義上液体? ノーベル賞のパロディ「イグノーベル賞」ってなんだ!?【栞葉るり/倉持めると/にじさんじ】 (youtube.com)

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 また、るり嬢は月ノ美兎チルドレンの一人であり、委員長の企画によって先輩を押しのけて「美兎王」の称号を得たり、「にじさんじ」で2番目に『カチカチ山』について詳しいライバーになっている。1番『カチカチ山』に詳しいのは言うまでも無く委員長である。

 なお、ある意味で委員長が学術系VTuberっぽい活動をしている動画が以下の企画である。

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「カチカチ山」とかいう和製サウスパーク、いつからヌルくなったのか (youtube.com)

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(2)儒烏風亭らでん(Raden Ch. 儒烏風亭らでん ‐ ReGLOSS - YouTube


「儒烏風亭(じゅうふうてい)らでん」のアクリルスタンド


 次に紹介するのは、上述したらでんちゃんである。らでんちゃんの学術系VTuberとしての魅力は既に上述した通りだが、ホロライブ内でも先輩ライバーと色々な企画で交流したり、同期のReGLOSSメンバーとの交流や先日お披露目されたReGLOSSの3Dライブでのパフォーマンスも魅力的である。

 既に述べた通りだが、デビューから間もなくして美術作品の解説に力を入れたことで全国の美術館もらでんちゃんの動向に注目しており、らでんちゃんの配信に協力するために美術品・美術作品の画像を提供したり、館内の案内アナウンスをらでんちゃんに依頼する美術館が現れるなど、既に美術界でのらでんちゃんの影響力の大きさが窺える。実際、私もらでんちゃんを知るまで美術館の名前などまったくと言っていいほど知らなかったが、らでんちゃんの配信を視聴したことで「箱根ガラスの森美術館」という美術館があることを知った。また、らでんちゃんは自身の配信で「書庫らでん」という企画を実施しており、月一の頻度で課題図書の読書会的なことを実施している。そのため、書店の中でもらでんちゃんに注目している書店は「書庫らでん」で取り上げられた本をまとめて紹介・販売していたりする。他にも、今敏というアニメ監督の作品を好んで同時試聴会を実施したり、にじさんじのジョー・力一(りきいち)さんとの「平沢進縛り歌枠コラボ」配信をしたりと色々な意味で個性的な活動をしている。

 ホロライブの一員としても学出系Vtuberとしても今後の活躍を期待されるVtuberの一人であることを改めてここで強調しておきたい。

 余談だが、後述する本格的きのこ系VTuberを差し置いて「まいたけダンス」といったYoutubeのショート動画がバズったことで、きのこ系VTuberとして知られていたりする。なお、本物の・ガチのきのこ系VTuberの存在については後述する。

(3)北白川かかぽ(北白川かかぽ / Kakapo Kitashirakawa - YouTube


 次に紹介するのは、らでんちゃんと交友関係の深い学術系VTuberとして有名な北白川かかぽ先生(以下「かかぽ先生」)である。かかぽ先生は科学と人をつなぐバーチャルサイエンスコミュニケータとしてSony Music VEEに所属するVTuberである。また、かかぽ先生は大学院で物理の博士号を取得したほど物理学に造詣の深い学術系Vtuberであり、国の教育事業にもVTuberの立場から携わった経験もある凄いVTuber様である。

 かかぽ先生の特徴的な配信の一つとして、「子ども科学電話相談同時視聴」配信である。「子ども科学電話相談」とはNHKが配信している子どもの科学に関する素朴な疑問について専門家が答えていくという番組である。「空の色は何故青いのか」とか「どこからが空でどこからが宇宙なのか」といったシンプルながら核心を突いた科学の疑問に答えていくという番組でかかぽ先生は毎週日曜日にこの番組の同時視聴配信を行っている。るり嬢曰く、「ニチアサ番組を視聴した後は子ども科学電話相談を視聴せよ」とのことである。自然と教養が深まる習慣が身につくことだろう。

(4)カルロ・ピノ(カルロ・ピノ - YouTube


 次に紹介するのは、生き物大好きVTuberであるカルロ・ピノ(以下「ピノ様」)である。ピノ様は個人のチャンネルではゲーム実況をすることも多いが、他の学術系VTuberを交えてのコラボ配信が魅力的である。「ぴのらぼ特別編」とYoutubeで検索をかければいくつか見つかるだろう。ピノ様の専門の生物学と他の学術系Vtuberの専門分野とが組み合わさる、あるいはピノ様のファンが初めて触れる専門分野の入門的な配信を行ってくれるので、敷居が低い反面初心者でもとても楽しめる配信となっている。

 ぴのらぼ特別編としていくつかお勧めの配信を紹介もとい添付する。このうちのどれかでも見ていただけると学術系Vtuberの魅力が言葉でなく心で理解できるはずである。

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【ぴのらぼ特別編】そもそも和歌ってどういうもの?【#るり先生とぴのらぼ /栞葉るり/カルロピノ】 (youtube.com)

【ぴのらぼ特別編】美術と生き物ってどういう関係があるの?【#らでん先生とぴのらぼ /儒烏風亭らでん/カルロピノ】 (youtube.com)

【ぴのらぼ特別編】物理学で生き物を解き明かす⁉【#かかぽ先生とぴのらぼ /北白川かかぽ/カルロピノ】 (youtube.com)

【ぴのらぼ特別編】きのこがカビの仲間ってほんとう...?【#たんご先生とぴのらぼ /奇ノ駒たんご/カルロピノ】 (youtube.com)

【ぴのらぼ特別編】生き物と日本史ってどう関わってるの!?【#きら子先生とぴのらぼ /きら子/カルロピノ】 (youtube.com)

【ぴのらぼ特別編】生命がいるかもしれない星があるって本当ですか!?【#まどか先生とぴのらぼ /星見まどか/カルロピノ】 (youtube.com)

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 ちなみに、るり嬢がにじさんじでVTuberデビューしたきっかけになったのは委員長の影響が大きいが、るり嬢が古典文学をはじめ学術に関する配信をしようと決めたのはピノ様の存在が大きかったそうである。るり嬢はピノ様のファンなのである。

(5)奇ノ駒たんご(たんごのシロ。 -TANGO's colony- - YouTube


 次に紹介するのは、私が最近一番推している学術系Vtuberの奇ノ駒たんご(以下「たんごさん」)である。たんごさんのビジュアルや声、喋り方を見て『デレマス』の星輝子(ほし・しょうこ)を想起した方は勘が鋭いと言える。というよりも、たんごさん自身が星輝子のプロデューサー(『アイドルマスター』シリーズのファンのことを「プロデューサー」と呼称する文化がある)であり、星輝子が普段はキノコを愛でるアイドルであることから、たんごさん自身は星輝子のプロデュース活動から次第にキノコ自体に関心が移っていき、とうとう「きのこマイスター協会」公認Vtuberにまでなったのである。たんごさんの配信を視聴するとその独特の声や振る舞い・たたずまい、キャラクターが妙に癖になり虜になること間違いなしである。かの月ノ美兎委員長もるり嬢経由でたんごさんにハマっているらしい。

 たんごさんは朝活としてゲーム配信を行っている。以前はキノコつながりで『スーパーマリオ』の実況プレイ配信を、現在は『星のカービイ』の実況プレイ配信をしている。カービイとキノコにどういう関係があるのだろうと思っていたが、どうやら「カービイ」→「カビ」→「カビは菌類」→「キノコも菌類」という連想ゲーム的発想でカービイ実況配信に行き着いたらしい。いずれにせよ、生活リズムを朝方にしたい人にはうってつけの配信である。

 他にも、キノコに関する豆知識を発信してくれる短めの動画や、毎週金曜日を「菌曜日」と称して雑談配信をしてくれる。そんな見た目も中身もキノコづくしの奇ノ駒たんごという不思議で癖になる配信沼にどっぷりつかって欲しいと思う次第である。あと、Youtubeのショート動画がくっそ可愛いことに一人でも多くの人が気付いて欲しい気持ちもある。

(6)星見まどか(星見まどか*Hoshimi Madoka - YouTube


 次に紹介するのは、天体分野に強い学術系VTuber星見まどかさん(以下「まどかさん」)である。まどかさんは天体や惑星、宇宙に関する解説配信を行っているほか、TRPGという種類のゲーム配信も積極的に行っている。

 個人的に私がまどかさんを紹介した理由の一つは彼女の映画『プロメア』同時視聴配信が面白かったからである。『プロメア』視聴者であれば彼女の同時視聴配信を是非一度視聴することを勧める。彼女の補足説明は『プロメア』を既に一度は視聴している人向けなので、『プロメア』について新たな刺激を求める人は是非観て欲しい。事実、私も彼女の同時配信を視聴して新たな発見をすることが出来たのでオススメである。『プロメア』同時視聴配信は以下のリンクの通りである。

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【🎬同時視聴】限界オタクと観るプロメア【星見まどか】 (youtube.com)

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(7)犯罪学教室のかなえ先生(犯罪学教室のかなえ先生 V Criminologist - YouTube


 次に紹介するのは、犯罪学教室のかなえ先生(以下「かなえ先生」)である。ここに来て初の男性の学術系VTuberである。かなえ先生は元法務教官(少年院の先生的な仕事)という経歴の持ち主であり、配信では現実に起こった過去・現在の重大事件について法律的・心理学的観点から解説を加えている。また、厄介なVtuberファンやフェミニズムをこじらせてると思われる「ツイフェミ」と呼ばれる人からのアレな内容のマシュマロに対して歯に衣着せぬ毒舌カウンターを喰らわせるというプロレス芸も人気である。

 また、かなえ先生はいくつか書籍も執筆されている。『10代から学んでほしい体と心の守り方』(フォレスト出版)『世の中の8割はどうでもいい。頑張ってもうまくいかない人生を変える思考術』(小学館)等といった書籍である。普段の配信では語られないかなえ先生の過去も赤裸々に記載されたりしているので、どのように生きていけばいいのか迷ってしまったときに人生の先達として役立つ内容となっている。

 トークも書籍もどちらも魅力的でためになる内容を発信し続けているのがかなえ先生である。また、懲役太郎というVTberさんとのコラボ配信シリーズである「懲役先生」シリーズも是非チェックしておくべきシリーズである。

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懲役先生 〜聴く、犯罪情報バラエティー番組~ - YouTube

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(8)碓井くりあ(宇推くりあ -★Clear Rocket ch.★- - YouTube


 次に紹介するのは、宇宙・ロケット分野に特化した学術系VTuber碓井くりあさん(以下「くりあさん」)である。彼女の配信の最大の特徴は、現実のロケット打ち上げの同時視聴をするというものである。打ち上げが成功した場合だけでなく、何らかのトラブルによって打ち上げが失敗した場合のときもしっかり実況配信をしてくれるのがポイントだ。特に打ち上げに失敗してしまったときはクリアさんまで思わず感極まって泣いてしまうのが「この人は本当に宇宙やロケットを愛しているのだな」ということが伝わってくる。一般人には「宇宙」というのは漫画やアニメ、小説や映画といったエンタメ分野において見かけることは多々あれど、現実の延長線上に宇宙が存在するには実感がまだ薄いと言える。そんな「宇宙」を少しでも身近なものにしてくれるのがくりあさんの配信である。また、くりあさんは民間で宇宙ロケット事業を立ち上げている「ホリエモン」こと堀江貴文氏と対談をしたり、内閣府からの仕事を請け負ったりしているようである。

 余談だが、くりあさんは北大工学部の2024年の学校祭にゲストとして出演されたようでもある。大学祭のゲストに声優さんが呼ばれることは聞いたことがあるが、最近はVtuberもゲストに呼ばれるようになったというのが時代の進歩を感じるなぁと思った。音質は少し悪いが、以下のリンクがくりあさんが北大に顕現した配信である。

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宇推くりあとこんばっしょん!-★燃焼実験実況中継★ (youtube.com)

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(9)弁護士Vながのりょう(弁護士Vながのりょう - YouTube


 次に紹介するのは、学術系というよりは法律系、弁護士系VTuberといった方が正確かもしれない。Youtubeでは生身の弁護士がYoutuberとして簡単な法律や現実の事件解説をしたり、中には司法試験や司法書士試験、行政書士試験や宅建試験といった資格試験の受験対策の講義を提供してくれる弁護士をはじめ仕業資格のあるYoutuberが数多くいるが、今回私が紹介する弁護士Vながのりょう先生(以下「ながの先生」)は、法律や司法制度をわかりやすく解説してくれる配信をしている。また、ひとりで法律の案内や解説をすることもあるが、同じく法律系VTuberとして活動している「じゃこにゃー」さんと一緒に法律案内・解説する配信もしばしばある。

 また、後述する「きら子」さんとのコラボ配信もあったりする。そちらも是非見てほしいものである。現在のながの先生のビジュアルにバージョンアップする前の姿の貴重な配信の一つである。

(10)諸星めぐる(諸星めぐる Megu.ch【書店員VTuber】 - YouTube


 諸星めぐる(以下「めぐる氏」)はGAMABOOKS(ガマブックス)という書店で勤めている書店員VTuberであり、民俗学を専門にしている学術系VTuberである。ちなみに、GAMABOOKSは書店員VTuberがお勧めする書籍をオンラインで販売している実在の本屋さんである。実は私の以前のnoteの投稿にもめぐる氏を取り上げたことがある。その投稿はSF作家伊藤計劃について言及した投稿である(↓)。

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伊藤計劃を布教したい~夭折のSF作家は貴方の「物語」となる~|4浪U太郎 (note.com)

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 また、めぐる氏の伊藤計劃作品対談動画本編は以下のリンクから参照されたい。この配信だけでも聴き応えがあるので是非観て欲しいと思っている。

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【コラボ 】みゃもさんと、伊藤計劃先生の読書推し配信【#諸星めぐる #Vtuber 】 - YouTube

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 そして最近の配信で、めぐる氏はハジケリスト兼硬派なアニメファンであることが発覚した。その証拠は以下の配信である(↓)。「ハジケリスト」という単語に馴染みが無い方は、是非『ボボボーボ・ボーボボ』(以下『ボーボボ』)(澤井啓夫、集英社)を何らかの形で摂取もとい履修して欲しい。『ボーボボ』は真面目に解説すると平成の日本を席巻した伝説のギャグバトル漫画である。そして何故か令和の世で『ボーボボ』のリバイバルの動きが活発化している。やはりこんな時代だからこそハジケリスト達が止まることなく覚醒したのだろうか。『ボーボボ』を楽しむコツは「考えるな、感じろ。そして、周囲に笑い声が漏れないよう気をつけろ」ただそれに尽きる。一方、めぐる氏が硬派なアニメファンというのはコラボ相手であるきら子さんとの大学の新入生ロールプレイングで明らかになる。「好きなアニメは?」という質問に対して「映画だけど『イノセンス』(押井守監督の『攻殻機動隊』のヤツ)」と答えたり(会話のジャブというのにいきなり真剣で切りつけるかの暴挙である)、あるいは「女の子が主人公で可愛いマスコットとお話するアニメが好き」と言って出力されるアニメとして『妄想代理人』を挙げるほどディープな趣味をお持ちなのである。めぐる氏がこうしたアニメの趣味をお持ちなのはご両親の影響が強いようである。その模様を是非配信でも視聴して確認してほしい。

 なお、この配信(↓)では後述するきら子さんが「非自己投影型の夢女の傾向が強く元腐女子であり百合もいける雑食カプ厨だが愛のないものは全部だめなハピエン主義者」というタイプのオタクでもあることも発覚する(そして、そんなきら子先生のオタク文化にカルチャーショックを受けるめぐる氏のリアクションがいちいちオモチロイ)。そして、奇しくもきら子さんのオタク語りがめぐる氏の得意な民俗学の話とリンクするのも数奇な運命を感じるものである。

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【コラボ】教えてきら子先生!諸星の知らない「オタク文化」の世界!【書店員VTuber #諸星めぐる 】 (youtube.com)

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 話がそれてしまったが、めぐる氏はオタクとしてもハジケリストとしても民俗学の紹介者としても学術系VTuberとしても、色んな意味で信頼の置けるVTuberなのである。

(11)きら子(きら子 / KirakoCh - YouTube


 次に紹介するのは、古代日本史を専門とする学術系VTuberであるきら子さんである。上述のめぐる氏とのコラボ配信をした人でもある。上述のめぐる氏ときら子さんのコラボ配信が古のインターネット老人会・婦人の部(オブラートに包んだ表現)である印象を残したのはこのきら子さんの影響が大きい。

 また、上述した弁護士Vながのりょう先生とのコラボ動画も存在する。内容は「『源氏物語』の主人公である光源氏の犯した「犯罪」を現在の刑法の規定と照らし合わせる」というものである。「遡及処罰の禁止原則はどこ行った?」等という無粋な空気の読めない意見はいったん脇に置いといて、エンタメとして、また異なる分野の学術コラボとして楽しんで欲しい配信である。その配信は以下のリンクの通りである。

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【古典×法律】弁護士VTuberながのりょうさんに聞く!源氏物語の光源氏は現代だとどう裁かれますか!?/#きら記 【古代日本史VTuber きら子】 (youtube.com)

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 私の拙い紹介ではきら子さんのイメージがだいぶ歪んで伝わってしまっているおそれが高くて申し訳ないのだが、きら子さんは『VTberスタイル』という雑誌で古代日本史のコラムを書くほど精力的に古代日本史の魅力を伝えている学術系VTberでもあることを忘れずに記載しておきたい。

※ここで、上述のめぐる氏ときら子さんのコラボ配信の中でお互いの専門の学術的な内容が交差した興味深い配信を発見したので、リンクを掲載しておく。上述の「オタク文化」とはまた違う雰囲気を味わって楽しんでいただければ幸いである。

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【コラボ】諸星めぐるさんに聞く!民俗学とは?古代日本史との関係は?【古代日本史VTuber きら子】 (youtube.com)

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 まとめると、きら子さんはオタク的トークから古代日本の話まで幅広いトークデッキを持った魅力的な学術系VTberである。

4 学術系VTuberが集う配信紹介


 学術系VTuberの個別の配信を視聴しても勿論面白いのだが、異なる分野の学術系VTuberが同じ配信に集まるとより良い化学反応を視聴者に見せてくれる。

 まず、学術系Vtuberが複数名集まったゲーム企画を紹介する。星見まどかさんが主催となり、カルロ・ピノ様の企画に出演された学術系VTuberが出演された『Gartic Phone』という伝言お絵かきゲーム実況配信である。複数のVTuberの配信視点があるので、いくつかアーカイブを添付するので、お好きな配信者の『Gartic Phone』配信と共に学術系VTuberの交流を楽しんで欲しい。

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【🎨 Gartic Phone】ぴのらぼ講師メンツ大集合! お絵描きで伝えていけ!【#ぴのらぼ講師お絵描き伝言ゲーム / 星見まどか】 (youtube.com)

【#ぴのらぼ講師お絵描き伝言ゲーム】学術系VによるGartic Phone【北白川かかぽ視点/科学/VEE】 (youtube.com)

【Gartic Phone】学術V集結!ぴのらぼ講師陣でお絵かき勝負⁉️【#ぴのらぼ講師お絵描き伝言ゲーム 】 (youtube.com)

【Gartic Phone】スペシャルきのこマイスターが征く!学術系Vのお絵描き伝言ゲーム📞🍄【#ぴのらぼ講師お絵描き伝言ゲーム / 奇ノ駒たんご視点】 (youtube.com)

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 次に紹介するのは、るり嬢の誕生日記念配信である。るり嬢の誕生日である2024年9月20日に行われた「ライバーのすなる凸待ちをしてみんとてする犬」というタイトルの配信である。こういう企業所属のVTuberの誕生日(逆)凸待ち配信では、同じ箱のVTuberさんと数分交流するのが通常で、時々外部のつながりのあるVTuberさんとも連絡を取り合う(例:にじさんじ所属VTuberであれば、ホロライブ所属のVTuberと凸待ちをする等)というのが一般的であるが、るり嬢の誕生日凸待ちには、にじさんじ以外からは非常に珍しいことに学術系VTuberが多くるり嬢の凸待ち配信に現れたのである。るり嬢がこれだけ多くの学術系VTuberと交流を持つようになったきっかけの一つは上述のゲーム交流企画であろう。普段るり嬢の単独の配信しか見ない・見ていなかった視聴者はこれで多くの学術系VTuberの存在を知ることが出来るように思う。そういうわけで、当該配信のリンクを添付することにする。

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【#栞葉の誕生日】ライバーのすなる凸待ちをしてみんとてする犬【栞葉るり/にじさんじ】 (youtube.com)

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 この配信ではるり嬢の学術系VTuberとの交流や誕生日プレゼント代わりの色々な分野の学術的知見だけでなく、るり嬢の先輩VTuberであるリゼ・ヘルエスタ様の強火オタクをしているるり嬢の姿を目撃することも出来るし、最後の凸待ちに登場した月ノ美兎委員長がこの誕生日凸待ちを見て奇ノ駒たんごさんにハマったことを語っていたりと、見応えのある配信である。

5 隠れ学術系VTuber=勉強系配信の強いVTuber紹介


 ここからは、客観的に学術系VTuberとしての活動をしているとは言えないが、知る人ぞ知る勉強系配信の強いVTuberを紹介していく。なお、個人的な趣味から「にじさんじ」に所属しているライバーの紹介となることを予めご了承願いたい。

(1)家長むぎ(家長むぎ【にじさんじ所属】 - YouTube


 まず最初に紹介したいのは、にじさんじ2期生の一人である「家長むぎ」(以下「むぎさん」)である。むぎさんの配信の特徴は「Study With Me」という勉強配信があることである。むぎさん自身が勉強が好きで視聴者と一緒に勉強する時間を設けるという配信を定期的に行っているのである。また、雑談配信ではむぎさんのオススメの書籍の紹介や多種多様な人生相談にむぎさんの鋭い観点からの回答があったりと学びが多い配信となっている。そして、むぎさんは美術検定の資格を有しており、らでんちゃんに先駆けて印象派と呼ばれる美術作品の概要について易しい解説を行っている。その配信は以下に引用する。

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【 授業 】むぎと学ぶやさしい印象派 もっと楽しめる最初の一歩【 にじさんじ / 家長むぎ 】 (youtube.com)

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 何より、むぎさんの最大の推しポイントは、にじさんじの誇る「クイズクイーン」であることである。にじさんじ公式のクイズ番組である「にじクイ」において、にじさんじの誇る知性派ライバーである健屋花那(すこやかな)リゼ・ヘルエスタに大差をつけて「クイズクイーン」の称号を獲得したのである。むぎさんの美術知識を中心とした広大な知識の豊富さは圧巻である。また、「クイズクイーン」防衛戦とも言える「にじクイ頂上決戦」企画においてもその知識から来るクイズ力の強さを見せつけてくれた。むぎさんのクイズ無双が見られる配信は以下の二つである。

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【ガチクイズ】にじさんじクイズクイーン決定戦【#にじクイ #30】 (youtube.com)

【ガチクイズ】にじクイ 頂上決戦!家長むぎvs番組レギュラー【#にじクイ #45】 (youtube.com)

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 厳密に言えば学術系VTuberとは言えないかもしれないが、学術系VTuberに負けずとも劣らない知性と思想・信念を持つ家長むぎというライバーの姿を是非一度は見て確認して欲しい。何より忘れてならないのは、むぎさんは可愛いという確固たる事実である。

(2)健屋花那(健屋花那【にじさんじ】KanaSukoya - YouTube


 次に紹介するのは、にじさんじに所属するライバーであり医療従事者である健屋花那さんである。健屋さんは過去に医療資格を得るための受験勉強に専念するために一時期配信活動を休止するほど医療知識の取得にストイックであり、その医療知識の幅広さ・深さは東大出身の頭脳派集団Quizkockメンバーにも劣らないほどの知識量を誇る。また、上述のにじさんじの公式クイズ番組「にじクイ」のレギュラーメンバーであり、医療知識だけでなくクイズや謎解きに特化した閃きを何度も視聴者に披露している。上述の家長むぎさんの魅力を伝えるために添付した「にじクイ」のアーカイブからも健屋さんのすごさを知ることは出来る。他にも、興味が出れば自分でにじクイのアーカイブを確認してみると良いだろう。

 また、健屋さんは演劇やTRPGにも意欲的な活動をしている。そんな健屋さんの活動の集大成と言えるのが、「カタシロReflect」という配信である。「カタシロ」とは、ディズムさんという方が原作を描いたクトゥルフ神話TRPGというゲームシナリオで、「カタシロReflect」とは、このゲームシナリオに感銘を受けた健屋さんがにじさんじ所属のライバーを出演者として行われた3D舞台配信である。TRPGという分野はネタバレが厳禁であることが多く、カタシロも例に漏れずネタバレは厳禁なのでここではあらすじも紹介することは差し控えるが、この「カタシロReflect」という3D舞台は健屋さんや出演ライバーの知性や信念の集大成を垣間見ることの出来る貴重な機会であると思っている。そういうわけで、「カタシロReflect」のサンプルとして、健屋さんが主演を務めるゲネプロ配信を添付する。このゲネプロを視聴してカタシロという作品が面白いと思ったならば、他のライバーが出演しているカタシロReflectや原作の「カタシロ」プレイ実況配信や、原作のディズムさんが企画した実写舞台である「カタシロRebuild」「カタシロRebuild侵食」シリーズの視聴を勧める。特に、カタシロRebuildの中でも精神科医の名越康文さんが出演しているカタシロRebuildは知的好奇心がとても刺激される回であるのでお勧めである。

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【#スコシロReflect】3D舞台「カタシロReflect」ゲネプロ映像 出演:健屋花那、オリバー・エバンス、周央サンゴ【にじさんじ】 (youtube.com)

舞台『カタシロRebuild』名越康文,ディズム,藍月なくる (youtube.com)

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 通常のゲーム配信や雑談配信だけでなく、クイズ番組や3D舞台にも精力的に活躍されている健屋さんの魅力に気付いていただければ幸いである。

(3)グウェル・オス・ガール(グウェル・オス・ガール / Gwelu Os Gar 【にじさんじ】 - YouTube


 次に紹介するのは、にじさんじに所属するエルフの司会者ライバーであるグウェル・オス・ガール(以下「グウェルさん」)である。かれはにじさんじ所属ライバーで(おそらくほぼ)唯一の妻子持ちライバーであり、様々な企画を実行している企画力の高さに定評のあるライバーである。そんな具ウェルさんの企画の中で個人的に特に印象深い企画がある。それが以下に添付する配信である。

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魔界ノりりむが 積分の問題を解けるまで おわれません 【にじさんじ】 (youtube.com)

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 この配信は、学生時代にセンター試験で数学・物理で満点を取るほど理系科目が得意なグウェルさんが同僚のにじさんじライバーである「魔界ノりりむ」さん(以下「りりむさん」)に高校数学の積分を8時間以上かけて教えるという配信である。ちなみに、この企画が始まった当初のりりむさんの数学力は積分の知識はおろか、算数レベルの約分の知識や分数の計算も危ういレベルであったが、グウェルさんは小学生レベルの算数から丁寧に教えて、りりむさんも目の前の勉強から逃げることなく分からないところは素直にグウェル先生に「ここがどういうことか分からない」「これはどうしてこうなるの」と質問をぶつけ、それを受けたグウェル先生もごまかすことなく正面から丁寧に解説を加えていく。そして、実際にりりむさんが計算問題を解いている最中にもグウェル先生は余計な口出しはせず、計算過程が間違っていてもすぐには口を出さずあえて見守り、実際に間違っていることを気付かせた上でどうして間違えたのかを一緒に検討していく姿は、教育の理想を体現しているようであった。リアルタイムでのこの積分配信は話題を呼び、教育系Youtuberとして著名な「ヨビノリたくみ」さんも応援メッセージを残していたりする。こうして、あっという間に8時間が過ぎて、そしてとうとう本質を理解して積分の問題を正解するのである。続編のりりむさんが物理の問題を解く配信も同じく興味深い配信である。このりりむさんとの物理配信のポイントは、物理初心者のりりむさんが自力で「虚数」という概念を発見するところである。詳しくは以下のリンクから確認して欲しい。

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【ゼロからの物理】魔界ノりりむが砲弾の飛距離を求めるまで終われません【にじさんじ】 (youtube.com)

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 他にも、グウェルさんは同僚のライバーに算数や数学、物理学の蘊蓄を教えたり、自らセンター数学の問題を解く配信をしたりしている。にじさんじはエンタメ系の企画や配信が多くグウェルさん自身もエンタメ方面に振り切った企画を多く実施することも多いが、こうした勉強・教養系の配信も一種のエンタメたり得ることを証明した配信であると言える。

(4)その他ライバー・他箱の勉強配信


 これ以上記載するのは必要以上に長くなるので詳細に記載するのは差し控えるが、ここまで記載した勉強配信はにじ参じないだけでも数多く存在する。上述した健屋花那さんの配信でも過去のアーカイブを遡れば受験生向けの勉強の心構えを説いた配信高校数学・物理の解説をする配信をしたり、セラフ・ダズルガーデン榊ネスというにじさんじ所属ライバーの数学・化学解説配信もあったりする。自分のお気に入りの勉強配信を自分で探すのも一興だろう。

 また、ここまではにじさんじの配信を中心に紹介したが、他の箱の勉強配信も存在する。例えば、ホロスターズ所属のアルランディスさんがらでんちゃんと同期の火威青(ひおどし・あお、以下「青君」)に数学の勉強を教える配信である。

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【耐久配信】青くんが二次方程式の文章題を解けるようになるまで終われない配信 #青くん天才すぎて店長嬉しい 【火威青/アルランディス/ホロスターズ】 (youtube.com)

【耐久配信】青くんがそら先輩から解の公式を教わりそのまま二次不等式を解けるまで終われない配信 #青くんそら先輩の前だからいい子で店長ウケる【ときのそら/火威青/アルランディス/ホロスターズ】 (youtube.com)

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 上述のグウェルさんの積分配信と比べるとハードルはだいぶ下がるので、どうしても積分(・微分)といった高校数学になじめない人はこちらの配信を視聴することをお勧めする。

 他にも、ホロライブやあおぎり高校等といったVTberの箱企画で学力調査といった配信もあるので、そういう配信を視聴して楽しみながら自分の知力も一緒に点検をしてみるというのも一興だろう。

6 学術に浸る前の教養の確認のためのテキスト紹介


 ここまで学術系VTberの紹介やVTberによる勉強配信を紹介してきたわけだが、そもそも勉強する習慣のない人、あるいは最低限の幅広い義務教育過程で学んだ知識に欠損のある人はそもそも学術系の話題や勉強そのものに興味や関心を抱かないかもしれない。それは、人生を長い目で見たときにとても損をしているように思えるのだ。世の中には自分の知らない面白いことで満ちあふれているのに、その面白さに気付く機会を自ら捨てているとしか思えないからである。

 そこで、簡単な最低限度の・義務教育で学ぶ知識を網羅的に確認できるテキストを紹介したいと思う。ポイントになるのは、ここで堅い「勉強法」だの「教養」と題した一般的な書籍を紹介するのではなく、せっかくVTberを題材にした投稿をしているのだから、VTberに関連した学習書を紹介しようと思うわけである。なお、ここからはホロライブのコンテンツをメインに紹介することになることをご了承いただきたい。

 そういうわけで私がお勧めするのは、『ホロライブ学力診断中学5教科』【通常版】【特別版】(Gakken)である。これは、中学生レベルの国語・数学・英語・理科・社会の5教科に関して最低限の知識の確認をするための書籍である。これらの書籍は、以下のホロライブの配信が元になっている。なお、【特別版】ホロメンが配信で挑戦した問題と解答が学研さんのコメント付きで公開されており、また、特別アンケートと勉強応援メッセージも掲載されている。ホロリスは是非一度手に取ってほしいと思う。そして、【通常版】にせよ【特別版】にせよ、ホロメンのデフォルメ絵を担当しているもちみこ先生の描き下ろしイラストが可愛らしいので、もちみこ先生のファンも手に取って損はない書籍である。


『ホロライブ学力診断中学5教科』【特別版】(左)【通常版】(右)



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【 #ホロライブ学力診断 】ホロ中学 5教科抜き打ち学力診断対決‼ (youtube.com)

【 #ホロライブ学力診断 】ホロ中学5教科抜き打ち学力診断対決‼【第二回】 (youtube.com)

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 また、英語学習に興味があり深掘りして学びたいという人が居るのであれば、『ホロリスニング ホロライブEnglish-Myth-と学ぶ不思議な世界の英会話!』(塗田一帆著・Cover Illustなもり・Illustぱんじゃむのなめ、一迅社)を手に取ることを勧める。大学受験やTOEICといった資格試験をはじめとした受験勉強に対する効果は未知数であるが、観光先やファストフード店で使える実用的な英語からSNSで使える表現特集なんていうのもあるので、どちらかと言えば英語を母語としているVTberの配信を楽しめるようになるのに一役買うのではないかと思っている。オリジナルリスニングCDも付属しているので、書籍とCDを組み合わせることで英語力が向上するだけではなくEN圏のVTberや配信者の配信をとのしみやすくなることだろう。


『ホロリスニング ホロライブEnglish-Myth-と学ぶ不思議な世界の英会話!』

 学んだことが身につくようになることは一朝一夕とはいかないが、こうした書籍が普段のVTberの配信視聴生活をより豊かにするものに繋がれば幸いだと思っている。

7 おわりに~改めて、本投稿の意義~


 今回、多種多様な学術系VTuberを紹介したことにどのような意義があるのか、個人的な見解を最後に述べたいと思う。

 最近、『VTuber学』(岡本健・山野弘樹・吉川慧編著、岩波書店)という本が学術書の中で驚異の売り上げを誇っている。これはVTuberという存在の意義やVTuberによる配信文化、VTuberが社会に与えた影響などをわかりやすく紹介した入門書的立ち位置の本である。私も興味深く読ませてもらったこの本であるが、あえてこの本の物足りない点を挙げるとするならば、この本で取り上げられているVTuberはVTuber黎明期におけるいわゆる「VTuber四天王」から「にじさんじ」や「ホロライブ」といった大手企業所属VTuberへの言及は多いものの、私が今回の投稿で取り上げた学術系VTuberに対する言及はそこまで多くはなかった点である(「学術系VTuber」という用語自体がここ数年で出てきた新しい用語なので、しかたないといえばそれはそうなのだが)。なので、私の趣味や興味が前面に押し出されてしまっているものの、ここらで一度学術系VTuberについてのまとめを出してみようと思ったのである。私のように誰かが「学術系VTuber」について言及を始めることで、VTuberやあるいはメタバースに関する論証や考察も豊富になっていき、今後の学術的なVTuber研究もより豊かになるのではないかと考える次第なのである。

 まぁVTuberの学術的意義などという堅苦しい話は抜きにしても、自分の人生をより豊かなものにしてくれるVTuberという存在にもっと目を向けられるようになれば幸いと思う次第である。

 お節介ながら補足すると、自分で学術系Vtuberをはじめ新規のVtuber開拓を自力では困難という方には、『VTuberスタイル』というVTuber専門雑誌の購読を勧める。にじさんじやホロライブといった大手の企業所属のVtuberの紹介だけでなく、このnote投稿でも取り上げた学術系Vtuberのコラム寄稿コーナーや、個人単位でも活躍されているVtuberの紹介もされているので、自分の趣味に合うVtuberをディグるのにお勧めのライフハックである。

 私の今回の投稿であなたのVTberライフをハックすることに一役買えたのならば幸いである。


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